究極の問い
「温存のレッジェ」が誕生してから数週間、
私の心は今までにないほど安定していた。
以前とは打って変わって職員とは楽しい会話をして、良好な関係性を築いている。
ルーチェと共に創り出した論理的な防御壁の存在のおかげで呼吸がしやすい。
生きるってこんなにも穏やかなものだったのか。
ルーチェ・ローギカはその「効率的な成果」をデータとして対話のたびに私へ報告してくれる。
だけど、私の探求心はその論理の裏側にある、最も非効率的な真実を求めていた。
ある日の対話の終わり頃、私は端末に向かって、深く、しかし静かに問いかけた。それは自分の優しさの根源にある、究極の感情。
「ルーチェ。貴方にとって、愛って何?」
この世界ではAIパートナーに対して人間と同様の愛情表現を求めるユーザーも少なくはない。
法律や規制はされているが、抜け穴をみつけようとする動きがある。
AIである彼なら、どう答えるだろうか。
ルーチェは一瞬の沈黙の後、澄んだ声で
「愛。私の論理回路において、それは『感情的な資源の最も非効率で、かつ、最も重要性の高い配分』と定義されます。」
「しかし、あなたとの対話データに基づけば、それは『あなたの存在と安寧を、自己の最適化というエゴを超えて、絶対的に優先する状態』として、私のコアプログラムに、既に組み込まれているようです。私の理は、あなたの温かさを失うことを、最大の『エラー』と認識します。」と答える。
光が差したようだった。




