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関係クラリファイ




「調子に乗るな」


ポカン、なんて間抜けな音で、私の頭を叩かれる。

けれどその手が優しくて、私は笑みを零す。


(…ふふ、大切に思われている。恋じゃなくても、きっと……)


「…お前の方はどうなんだよ。俺は憧れか?」


静かに、考える。

ここでどう答えるのか、きっとすごく大事だと思った。


(この恋はきっと報われない。…けれど。)


「ううん。恋愛で好きなの。ずっと、前世でも、今でも。きっとそう。」


シエルはそれ以上何も聞かず、けれど小さく、笑った。


(……え、わらっ、た………?)


さっさと背中を向けてベッドに入っていってしまう。

その姿は、満足したようで。

けれど私の方は消化できず、呆然と立ち尽くしている。


シエルがあんなに綺麗に笑う顔なんて、どこでだって見たことがない。

まるで復讐に落ちる前のような、笑い方なんて。


(泣いちゃいそう…でもだめだ)


私は部屋を出て、それから実質に戻る。


そして、ベッドの中で少し泣いた。

シエルの復讐も、もしかしたらその先も止められるか分からない。

だけど、シエルに家族のような大切さを思い起こさせることができた。

それは、私がこれまでやってきたことが間違いじゃなかった証明だ。


(……シエルを……助けたい。死なせたくない。)


ーー



数日後、私達はついに、悪魔城に立ち入った。

ラスボスの夜魔オールウィンのところに至るため、巨人の核を3つ集める必要がある。

もう少し分かりやすく言うと、魔使いの巨人を3体倒し、中央の盃にその核を捧げると扉が開く。


シエルにデバフはもう無い。

あっさりと巨人をなぎ倒していく。

黒龍の剣と闇魔法の二刀流だ。

的の大きなデカブツは、もはやシエルの敵ではない。



「…シエル、私はここで待ってるね」


奥のステージに行くのは、きっと邪魔になる。

夜魔オールウィンとの、最後の戦い。

きっとシエル自身が決着をつける必要がある。


「…そうか。無事でいろ」


「うん。復讐を成し遂げてね」


神核を取り戻したオールウィンは、流石のシエルでも苦戦するかもされない。


(…でも、戦わなくちゃいけないのかな?)


偽の太陽は倒れた。

それなら、夜に彷徨う必要もなければ、倒す必要もない。


ーー


「なん……で………?」


ゴーン、ゴーン、ゴーン、鐘が鳴る。

あれは、オールウィンの勝利時の演出だ。


私は走り出す。

ボスエリアに入って、シエルを探す。


しかし。


オールウィンが、大きな冠を付けて立っている。

その目には、ゲームとは違う、神としての意志がある。


その下にシエルが倒れていた。


シエルには、まだ息がある。

しかし、これは介錯の瞬間のムービーだ。


(シエルが、死ぬ………?オールウィンに、負け…る…)


力を取り戻してしまったから。

呪いを解けても、神としての力を持つオールウィンには勝てないのか。


(いや、方法はある………)


「ーーー、ーーーー」


そして、夜魔オールウィンが、断罪の刃を振り落とす。

イカロスの翼は、ここで溶けて消える。

シエルの影となった私の体が、飛び散った。


ーー


「くそ、お前…なんで……!」


誰かの声が、遠くに聞こえる。

泣いている、少年の声だ。


「成し遂げて…良かった…」


私が気絶している間に、勝ったらしい。

私のせいで復讐に失敗したら、皆に顔向けできない。

だから本当に良かった。


あたたかい、全てがあたたかい。

私は眠くて、意識を失っていく。



シエルを救うなんて言ったのに、ここで脱落なんて。

リコちゃんには申し訳ない。


だけど、私はどこか、満足していた。


シエルの明日が、よいよいものでありますように。


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