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赤い傘

作者: ありす

梅雨の雨が降り始める頃

僕は出会っては行けないものに出会ってしまった。

濡れたアスファルトの香り

僕は友人と別れた後急に降り出した雨に打たれていた。


雨宿りしようとコンビニに入る

入店チャイムがなると同時に若い店員がチラッとこちらを見たかと思うと


「いらっしゃっせー...」と気だるそうに言った。


雑誌コーナーに立つガラス越しに見える外の様子的にまだまだ止みそうにない。


しばらくは無理そうか …


溜息をつきながら適当に雑誌を手に取り読み始めた。


雑誌を1冊読み終わった所でまた外に視線を向ける

行き交う人はまだ傘を差していて雨はまだ止んでなさそうだった。


時計を見ると17時読み始めて1時間くらい経っていた。


このまま待っていても埒が明かないかと思い

立ち読みだけじゃ申し訳ないから雑誌や食べ物を少し買って行く事にした。


「ありがとうございましたー...」


気だるそうな店員さんの声を背に店を後にする


さっきよりは雨足が弱まってはいたが傘をささないとストレスに感じる程ではあった。


深いため息の後パーカーのフードを被り家路を急ぐ


小走りで跳ね上がった雨をズボンの裾が吸って気持ち悪い

歩道橋を渡ればもうすぐ家だ。


階段をかけ登り橋を渡る

視線の先に赤いヒールを履いた足が目に入った。


横を通り過ぎる

最初は気にとめなかった。


下りの階段を降りる途中でちょっとした違和感を感じた



なんであんな所で立ち止まっているんだ.....?



後ろをチラッと見ると真っ赤な傘だけが見えた。



変なやつかもしれないし関わる必要も無いなと思いながら再び前に視線を前に戻す。


視線の先に見覚えのあるヒールが入った。


一瞬時が止まる


真っ赤な傘

さっきの女と同じ真っ赤なヒール

背中に冷や汗が伝う

階段の後にいたはず....

なのに全く同じ女が目の前にいる


深々と差した傘がちょっとづつ上がっていく

目を逸らしたいのに釘付けになって目が離せない


全身真っ赤

青白い肌

真っ赤な唇

女の口がニタァ...と開いたと同時に

逃げなきゃと後ろに飛び出した。


ドンッッ!!!


振り向いた瞬間

何かにぶつかった

よろめきながら視線を上げると

さっきまで前にいた女が

ニタァ..と顔を覗き込みながら


「傘..入リまスか...?」


うわぁぁぁ!!驚きと恐怖で階段から足を踏み外してしまった。



そこから記憶が全くない


気付いたらサラリーマンの男性に揺すられていた。


「ちょ、ちょっと大丈夫ですか??」


「女は!女居ませんでした?」


サラリーマンは若干引き気味で

「何言ってるんですか?誰もいませんよ…?」


辺りを必死に見渡したがサラリーマンの人以外誰も居なかった。


あれは見間違い...?


サラリーマンの人が心配そうにする中


「大丈夫です...ちょっと気分悪くて...」


とその場を後にして家路に着いた

気のせいだったのか…




でも誰が説明出来るだろうか..

帰ってきた自宅のドアノブに

見覚えのある真っ赤な傘が掛かっていた。

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