運命のキス
この世界において魔法を、使えるのはごく1部の人間や魔族のみだ。ツェペシュも少しなら使えた。その力でマリアとの縁を切ったツェペシュ。だが、満たされない乾きに喘いでいた。
”女”、”女”だ!”女”の血が欲しい!!
乾きはマリアを得るまで終わらない。そう、マリアの血を1滴残らず吸い尽くすまで……。
フォルモントの話しを聞いた王子は自分に契約を譲ってくれとせがむ。しかし、自分がもらったものだとフォルモントは引かない。王子は渋々マリアへのキスを許した。マリアの額にフォルモントはキスを落とす。そうして、ついにマリアは目を覚ました。
「………血、血がほしい。」
開口一番そういうマリアの手をイリスは握った。
「まさか本当に目覚めるとは……!マリア!俺が分かるか?」
「ええ、王子。イリスでしょ?」
「そうだ!」
「おいおい、俺の女の手を握るんじゃねぇよ!」
「……やれ。」
「は?」
「この狼男を殺せ!!」
王子はその場にいた兵士達にそう命じる。
「なっ?!」
まさか王子が用済みになったら自分を殺そうとするとは思っていなかったのだ。フォルモントはマリアの手を取った。
「きゃっ?!」
フォルモントはマリアを抱き抱えて逃げる。
「くそっ!マリアを離せ!!」
王子も剣をもって戦うが狼男はなんとかその場から逃げようと必死だった。そして、フォルモントの逃走を王子は許してしまう。フォルモントは城の窓からひょいひょいと屋根を伝って去ってゆく。
「マリア!!」
イリスの声はマリアに届かず、虚しくその場に響くのだった。




