新たな世界
「ヴァンパイア・ブラッド・ラブ・スイート」にて
王子イリスが倒したはずのヴァンパイア、ツェペシュは謎の復活を、果たす。前作で死んだマリアがヴァンパイアとして蘇って?!
テレビに映るCMを見て少女は指さした。
「ねぇ!かなでちゃん!このゲーム知ってる?」
「知ってるー!あたしそのゲームの初版も前作も持ってるもん!」
「ええー!いいなー!面白い?」
「それが、私の推しのかなでが死んじゃって面白くないのよね。」
「え?そうなの?」
「うん、貸してあげようか?」
「うん!お願い!」
なんて子供が話していた。ゲームの中の世界にて、
「まったく、驚きました。マリアを死なせるぐらいなら!ヴァンパイアにしてでも生かして見せる!そうあなたがいうなんて、ねぇ?イリス王子?」
「エリーと言ったな、あの時、城に忍び込んでまでマリアを助けようとしてくれた事には感謝している。それで、マリアは目を覚ますのか?」
「それは運命の人しだいです。」
「……運命の相手が現れ、口付けをすればマリアは起きるのだろ?」
「ええ、そうです。」
「俺ではダメだった。俺ではマリアを助けられない……。」
「貴方も薄々勘づいているのでは?彼女が森へ行きたがった理由を……」
イリスは塞ぎ込む。
「ああ、知っているさ。認めたくないが、マリアはあのヴァンパイアの事が……、なのに何故あの男は現れない?」
「ここ最近の町での噂をご存知?」
エリーはイリスの眼を見ながら話す。
「ああ、ヴァンパイアが人々を襲っていると言う話だろ?それが奴なのか?」
「王子、私も、出来る限り彼を探していますわ。」
「俺も探している。なのに何故、ここに現れない?奴はマリアを見捨てたのか?」
「マリアがヴァンパイアになった事を知らないのかも知れませんわね。」
☆☆☆☆☆
町にてふらふらと歩いている男が1人いた。倒れた彼に通行人の女の子が声をかける。
「お兄ちゃんどうしたの?」
「ゔっ!」
「きゃっ?!」
男の口には牙が生えていた。男は少女の血を貪る。ことはしなかった。
そのままその場を去ってゆく。少女は怯えながら叫んだ。
「ヴァンパイア!!」
その声に周りの人間達も反応する。男はすぐにその場を去った。
「どこだ、どこにいる?!俺の……」
男は路地裏へと入ると、再び女を探す。
「俺の、……餌!」
☆☆☆☆
マリアは相変わらず目覚めない。イリスは再び口付けを試す。額へキスを落とした。だが、目覚めない。
「キスは本当に額でいいのだろうか?」
「ええ、そうよ。額へのキスこそが彼女を目覚めさせる為の手段よ。」
「お前が言うのだからそうなのだろう。」
マリアが目覚めぬまま1年がたっていた。そして、ヴァンパイアは女を探しては血を啜る。
「おんなだ、おんなの、血が……」
ここ1年、何故か女のみを狙った手口で、血を吸われる事件が多発していた。それもそのはずである。ツェペシュは死んでいなかったのだ。不屈の精神で再び蘇ったツェペシュ、だが、身体は壊れ、記憶も曖昧だった為、多くの女の血を必要とした。否である。彼は探していたのだ、無意識にマリアを。記憶は曖昧だが、大切な存在がいた事は覚えている。そう、大切な”餌”。
早くその血で満たされたかった。その血を求めるがどこにもいない。死にかけの身体を他の女の血で満たしても心は欠けたままであった。
「……誰だ、誰が、俺の餌なんだ!!」
ツェペシュはマリアを探す。そして、ついに城に目をつける。
「あそこか?あそこにあるのか?俺のえさ……はぁはぁ、……血、血が欲しい!!」
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