カレンの気持ちがわからない
いつものようにカレンを口説きに行ったらカレンの近くには人間の男がいて、そいつと結婚すると言った。
(はぁ?結婚?俺からの誘いを断っておきながら??人間の男と結婚??俺がどれだけ愛を囁いても「自分よりも弱い男は無理」と断ってくるあのカレンが結婚だ??)
魔王ギルはカレンの言葉に混乱し、激昂していた。
カレンより自分が強ければ問題ないのだろうと何度も挑んだが、カレンは強い。魔王の自分よりも強い竜族、しかも見た目も中身もドストライクなのだ。これはもう絶対に落としたい。
(あのツンとした態度、何があっても靡かないという姿勢、絶対に崩したい。俺のものにしてめちゃめちゃに甘やかし俺だけに甘える姿を見せてほしい!!!なのに、なのにだ。なんであんな弱い人間の男と結婚なんてするんだ。何か弱みでも握られているのか?いやいや、竜族が弱みなぞ人間に掴まれるはずがない)
意味がわからない。そもそも何を考えているのかいまいちわからないカレンであり、そこがギルにとって余計にそそるところでもある。
ギルはもう一度レオンのことを思い出してみる。身なりがよかったからどこかの王子か何かか。調査して一体どういうことなのか確かめる必要があるようだ。
(あぁ、こうしている間にもカレンはあの男と結婚してしまうのではないか?!魔族は別に多夫多妻でも問題ないが、竜族は一途だからな、結婚したらあの男以外とは一緒にはならんだろう。何より、あんなちんちくりんな男にカレンをどうこうされるのは絶対に許せない!!考えただけで虫酸が走る!!)
こうしてはいられない。一刻も早く邪魔をしなければ。
「失礼します、ギル様」
あれこれと悩んでいるギルのところに、突然部下の一人がやってきた。
「なんだ、今俺は機嫌が悪い。死にたくなければ失せろ」
両目を赤く光らせギルは部下に睨みを効かせる。
「ギ、ギル様、お待ちください!お伝えしておきたいことがありまして……」
部下は怯えながらもギルへとある話を報告してきた。その話を聞いてギルの表情が一変する。
「ふ、ふふふ、ふはははは。なるほどな、そういうことか。お前、今まで報告もなしに勝手にしていたこととはいえ、今回はなかなかいい働きをしているな。それをうまく利用すれば全てがうまくいく」
ニヤリ、と笑いながらギルは天井を見上げて叫んだ。
「いいかカレン!お前は俺のものだ!待っていろ!」