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部活動開始…?

 辻本先輩と別れ、自分のクラスに向かう。

 不思議な部活に美少女とか面白い展開しかなさそうじゃん。もしかしたら俺の高校生活はこれで劇的に変わるかもしれない。今度こそ…。


 



 そのまで考えたときにハッと我に返りのその考えをすてる。 

 はぁ、俺は何も学んでない。もっと気をつけないと。

 傷つかないためにも期待しない。俺はあのときそう誓ったんだ。

 

 



 クラスに入るといつものように嘘だらけの会話が飛び交っていた。お互い褒めているのに嫌悪感のオーラが出まくっている女子。

 ずっと角が出っぱなしの会話をしてる男子軍。

 こんな状態だったら友達を作れるほうがおかしい。


 失望しながら席につくと読み途中のラノベを鞄から取り出す。

 するとその時間に挟んでおいた栞がズレて床に落ちてしまった。しかも運の悪いことに隣の席の人の足元のところに飛んでいった。

 取りに行きたいが勝手に近づいたときに足元に手を伸ばしたら変態扱いされるに決まってる。ここは断りをいれるのが無難か。

 不幸中の幸いで隣の席の人は本を読んでいる、おとなしめな女子(悪く言えば陰キャ)だ。いや俺が言えた立場じゃねえな。

 勇気を振り絞り声をかける。


「あ…すません…その、それ取って欲しいんすけど…」


 無視。無視された。俺今世紀最大の勇気だったんですけど?てかあんた前髪長すぎだろ。本読めてんのかよ。

 しかし、相手のオーラに変化はない。もしかしたら単純に本に集中していて気づいてないだけだろうか。まぁ自分でもわかるくらいめちゃくちゃ声小さかったからね!


「すいませーん」


 さっきより大きな声(1.2倍)で呼んでみたが、またもや気づいた様子はない。

 なんか本に集中してるっぽいし無理して声かけるのやだな…


 意を決してしゃがみこみ、さっと素早く手をのばす。すると思ってたより簡単につかむことができた。


 しかし、事件は起きた。

 あと手を引っ込めるだけなのに前にあった足が動いてきて、腕に思いっきり太ももがあたってしまった。


 や、やわらかいっ。じゃなくて!や、やばい!怒られる、殴られる、捕まる!

 急いであたりを見渡すが不幸中の幸いで後ろの席ということもあり見られた様子はない。


俺はさっと立ち上がり。謝る。


「すいません!今の事故で!」


 我ながら、まだめちゃくちゃ声が小さい。しかしさっきの2倍くらいにはなっただろうということで合格。


 けれど隣の人はオーラすら一切変えず、本を読んでいた。

 どんだけ集中しているのだろうか。もしかしたら自分の出す音をすべて消す、陰キャスキル︙サイレントに目覚めたのかもしれない。いやそれ怖い。


 とりあえず謝ったし、相手も通報している様子はないので、席に座り、ラノベを読む。


 はぁ、コミュ力が欲しい


 ・ ・ ・ ・ ・


 授業がおわり、放課後となった。周りでは「早くかえろー」とか「疲れたー」とか「部活行くぜぇぇぇぇ!」、などという声が聞こえてくる。

 最後のやつ絶対授業まともに受けてないから元気なんだろ。


 しかし俺も放課後なのに学校に来る前より元気だった。もちろん船は漕いでいない。

 なぜかって?首をコクコクなんてしないくらい爆睡してたからさ!。

 万全じゃないところと言ったら数学のときにぶっ叩かれた後頭部くらいだ。

 そして体力が回復した俺は家に帰り、アニメ、ラノベ、ゲーム、漫画で夜ふかしをする。俺の生活、最高はいじんすぎ。


 鼻歌交じりに意気揚々と帰りの支度をしていたら、朝での出来事を思い出した。

 あ…入るって言っちゃった以上、行かないと駄目じゃん…。もちろん「部活行くぜぇぇぇぇ!」なんて気分にはなれない。元気だけどね。


 向かおうとして教室を出たときとても重大なミスに気づいた。

 俺、部活の教室知らないんだけど…、どうしよう


 俺の優秀な脳みそは複数のプランを思いついた。


プラン1,誰か生徒に聞く

プラン2,職員室に行って聞く

プラン3,校舎を練り歩いて探す


 うん誰でも思いつくわ。


 しかし優秀な脳みそ(笑)のプランにはすべて問題があった。

 プラン1の場合、俺が他の生徒に話しかけられない。却下。

 プラン2の場合、職員室に「失礼します」ってやつが恥ずかしくてできない。却下。

 プラン3の場合、ここかな?と思って入ったら女生徒が着替え中だった!なんて感じのドキドキラブコメ展開になってしまうかもしれない。却下(意訳︙めんどくさい)


 よし、帰るか。明日辻本先輩を見つけて謝ろう。


 ・ ・ ・ ・ ・


「へ〜、そんなことがあったんだ〜。楽しそうでいいじゃん」

「いや、だから名前貸すだけですって」

「またまた、正直じゃないんだから〜」


 俺は一人の女性と客席に腰掛け雑談をしていた。

 そしてさっきからニヤニヤしながらこちらをからかってくるこの人は、九条美玲さんだ。

 170センチより少し小さいくらいのスラッとしたスタイルで薄紫色の長い艷やかな髪の少し大人びた雰囲気の美人だ。

 今、俺が働いているこの飲食店でバイトを始めたときの教育係で、とても丁寧に仕事を教えてくれて、しかもよく話しかけてきてくれる。もう女神。

 少し前までは相手が女性(しかも美人)だったせいで俺が人見知り発動しまくりの、コミュ障野郎だったが、今は慣れてきて普通に話せるようになった。

 

 いや、バイト中に話すなよと思うかもしれないが、とても目立たない場所にある店なので、客がほぼこない。どうやってやりくりしてるか不思議なくらいだ。


「珍しくまこっちゃんが学校の話ししてくれたと思ったら、まさか部活に入るなんてね〜」

「いや、まだ学校に入ったが一ヶ月くらいなんだからあんまり喋ることなんてありませんよ。それとなんども言ってますがまこっちゃんはやめてください」

「え〜かわいいのに〜」


 美玲さんはしょんぼりした様子でこちらを見る。しかも悲しみのオーラも出ている。う…罪悪感が。


「まあ、そこまで気にしてませんけど」

「あはは!まこっちゃんて、やっぱツンデレ?」

「なわけないじゃないですか…」


 はぁ、やっぱり美玲さんのペースに持ってかれてしまう。

 そして美玲さんは昔を思い出すように少し上を見ながら話し始める


「部活か〜、私も入ってみたかったな〜」

「え、美玲さんって部活入ってなかったんですか?」

「うん〜、色々習い事とかあったからね〜」

「そうなんですか」


 正直意外だ。美玲さんは部活などでどんどん周りを引っ張っているイメージだった。まぁ習い事あったなら難しいか。

 少し習い事を何をしていたのか気になったので訪ねてみた。


「ちなみに習い事は、何をしてたんですか?」

「結構いろいろやってたよ〜、音楽系が多かったかな〜、ピアノとかバイオリンとか書道とか…」


 美玲さんは指を折りながら、やっていたことを挙げていく。高校まで習い事を続けているのは結構珍しく思う。家が厳しかったのだろうか。

 俺とか中学に入るタイミングで辞めたし。


「あとハープとか」

「へ…?」

「だからハープ」

「人魚とかが持ってそうなやつですか?」

「うん、そのハープ」

「………」


 もう気づいた人もいるかもしれない。

 そう、九条美玲さんは金持ちだ。しかも多分自覚がない。

 以前、めちゃくちゃかっこいい時計をつけていたので、どこで買ったか聞いたら、「家に何個かあったから持ってきた〜」と言っており、家に帰って調べたら300万円だったときにはもう白目むいた。

 しかもそれ普通バイトにつけてくる?でも多分このくらいの時計なら誰でも買えるとかおもってるんだろうなぁ…


 さらに自分のことを普通の家庭の普通の女子大生と言っていたのだが、角は生えていなかった。なので嘘はついていない。よって自覚がない可能性が高い。


「どうしたの?」

「いや、なんでもないです。人生って運ゲーだと思っただけで。」 

「え、ほんとにどうしたの?」


 そう言いながら、美玲さんは無邪気に笑った。


「まぁ頑張れ少年!青春は短いぞ!若い時を楽しもう!」

「美玲さんも十分若いでしょう…」


 そして、客が来ることもなくこの後もくだらない話をし、いつの間にかシフトの時間が終わった。

 

 先月もこんな感じだったのに普通に給料もらったんだよな…。初給料だったのにちょっと虚しかった覚えがある。


 店長、もっと頑張りましょう。

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