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プロローグ
「魔王は倒した!!長きに渡る魔王との戦いは終止符が打たれた!!」
加速の魔法をかけられた鳥の足には一つの文と一房の髪の毛。
漆黒の魔力を纏うそれは、自分が従えている主人のもので間違いはなかった。
ーーああ、私達は負けたか。
理解した。あの魔王たる主人が最後を迎えたこと。
人間を焼き払っていた炎、踏み締めていたこの足も全部の力が抜けていく。主人がいないなら、自分の命もどうでもいい。願わくば、主人と同じところへ行けます様に。後期とばかりに一斉に襲いかかってくる人間を受け入れながら、そう思った。
そう、思っていたのに。
ーー私、人間になってしまったようだ。