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婚約破棄する期間は、もう既に締め切りました!  作者: 無乃海
本編終了後の番外編
57/66

後日譚2 ヒロインが去った後には

 前回と同じく3話続いた同一人物視点は、今回で終了となります。今回は、完全に後日譚のお話です。


※気分が悪くなる表現が、多々見られます。ご注意くださいませ。

 俺は斎野宮家を去った足で、そのまま留置所に向かった。この事件を管轄することになった、警察署の留置所に…である。警察官に面会を希望すると、いくつかの手続きの後、面会することが出来た。そうして、1日ぶりにヒロインと再会したのであった。……ああ。もう、()()()()()()()()のだな…。


彼女(ヒロイン)の様子は、とても落ち着いている。そして俺の顔を見た時、一瞬…嬉しそうにしたものの、期待した誰かと違っていたらしく、明らかに…がっかりしたような顔に変化した。失礼な奴だなあ。俺だって、君に会いたくて会いに来たのでは、ないんだよ。俺には、君の考えを知る必要があったから、来ただけだ。昨日みたいに巫山戯(ふざけ)たセリフを吐くならば、サッサと踵を返すだけ。


そう思いながらも仏頂面で顔を合わせると、彼女(ヒロイン)は行き成り豹変した。明らかに胡麻を()る表情に、変わっていたのである。如何(どう)やら、俺を利用してでも…此処(ここ)から出してもらおう、という魂胆が丸見えだった。…なるほど。ヒロインを目指すだけはあって、これぐらいでは…へこたれないようだ。そのメンタルの強さだけは、認めてやるよ。


 「……徳樹(のりき)さん。あなただけです…。私のことを本気で、心配してくれる人は。あなただけが…頼りなんです……。手助けしてくださいますよね?」


元ヒロインは目に涙を浮かべて、うるうるさせた瞳で、俺を上目遣いで見て来た。生憎と俺は、こういうあざと可愛い仕草には、慣れているんだよな。少し前までの俺は、女子をいつも侍らせていたから、こういう仕草が女性のアピールだと知っている。この目の前の女も、こうやって見ると容姿は悪くない。但し俺には、初対面の時の印象が悪すぎて、既に手遅れだけどな…。


 「悪いが、俺は…君を助けに来た訳では、ない。俺は、君の本音を訊きたい…と思っている。何故、君は…乙女ゲームに、拘ったんだ?…拘らない方が、幸せになれるとは…思わなかったのか?」


彼女は俺の本心を聞くと、またまた豹変した。今度は眉を顰めて、思いっきり不愉快そうな顔をしたのだ。…この女、俺が利用出来ないと知った途端に、手の裏を返したな…。嫌な女だな…。


 「思わないわよ…。折角、乙女ゲームのヒロインに生まれ変わったのに、ヒロインの役割を楽しまないと、勿体ないじゃない。なのに…悪役令嬢達が前世の記憶を利用して、私の邪魔をしたのよっ!…どうせ私を貶めようとして、あなた達を騙したのに…違いないわっ!」

 「こうなっても君は……飽く迄も、自分が悪くないと思っているんだな…。彼女達は、記憶を取り戻した時から、ヒロインに婚約者を奪われるかもしれない、婚約者に酷い仕返しをされるかもしれない、そう怯えて…距離を取っていたのに。」

 「そう見せかけたのよ、アイツらは…。()()()()()()()()()()()んだから、性格が悪いのよっ!」

 「………。俺には、君の方が…遥かに、性格が悪いと思うけど…。よく振り返って見ろよ。君は俺達に…どういう態度だったかを。俺達の気持ちを無視して、纏わり付いたくせに。」

 「あ…あれは…。そうでもしないと、出会えないじゃないっ!…イベント起こさないと、攻略出来ないのよっ!」

 「抑々、君が勉強しなかったんだろ?…勉強せずに、堀倉学園付属大に合格出来るとでも?…君は乙女ゲームで、この世界を知っただけだ。この現実世界を本当の意味で、何も…見ようとしていない。堀倉学園付属大は、お金持ち学校としても有名な学校だ。君の家が寄付金を払えるほど、金持ちだと言うのなら兎も角、勉強で入るしかない外部生には、かなりの高倍率の受験校なんだ。何も努力せずに入れる学校では、ないよ。」

 「………。」

 「それから、斎野宮先輩も語っていたが、現実の俺達は、親の反対する結婚をすれば、親から勘当されることになる。駆け落ちする道しか、残されていない。俺達みたいな家柄の子はゲームとは違い、簡単には()()()()()()()()()()がある。ゼロからスタートする程の生活能力が、ほぼ…ないんでね……。それでも君は、俺達と結婚…したかった?」

 「………。」

 「そうだよね…。ゲームにはそういう情報は、全く出て来ないだろうから、知らないだろうね。俺達と結婚するということは、妻になる人は大変だよ。妻が失敗をすれば、嫌みを言う人もいるし、取引先からも信用がなくなる。だから…顔と名前を、しっかり覚えてもらわなければならない。その人物の家族も家柄も、出来れば趣味嗜好も、人付き合いも…出来るだけ全て、覚える必要がある。勉強が出来ない君に、それが出来るのかな?」

 「………。」






    ****************************






 当初は…自分は悪くないと、ギャンギャン文句を言う元ヒロインは、自分の都合の悪い話になった途端に、黙り込む。俺達と共に苦労する気はない、妻の最低限の役割も出来ない、と…認めたようなものである。まあ、想像していた通りだが。


 「まあ、それはもういい。君は、俺達のことを何も見ていなかった、と分かったから。それよりも、何故…瑠々華嬢ばかり、目の(かたき) にしたんだ?」

 「……瑠々華?…ああ、あの…樹さんの婚約者…ね。彼女は乙女ゲームで、私に酷い仕打ちをするのよ。だから、()()()()()()()()()()()()よ。」

 「………。」


俺は…呆気に取られていた。たった…それだけの理由なのか?…何も…されてもいないうちから、やり返すと…?…それが…正常な理由になると、本気で思っているのか?


 「君は…彼女を、何だと思っているんだ!…彼女は…心優しい、婚約者の立場に怯えた…君の被害者なんだぞ!…昨日、先輩達や矢倉君に話を聞いたのだが、彼女の前世は…庶民で、彼女は懐かしがっている…と聞いたよ。君のように自由になりたいと、彼女はいつも望んでいたんだ。お嬢様の暮らしは、自分には合わないのだと…。それに彼女は、藤野花家のご令嬢だ。彼女はご両親から、溺愛されているそうだ。彼女に何か実害が及べば、彼女のご両親も黙っていないだろうな。そうなれば、君は一生涯刑務所に入るか、極刑に処されるかのどちらかだろうな…。」

 「………。」


俺のこの言葉には、流石の悪女も…ブルっと身震いをしていた。彼女のような庶民でも、斎野宮家と藤野花家は有名であろう。今回は彼女に実害が及ばなかったが、次は…ない筈である。そう付け加えると、目の前の元ヒロインは…顔を更に青褪めてさせた。この女には反省を求めさせるよりも、今後こういう風に、自分がどういう目に遭うのか…と伝えた方が、手っ取り早そうだ。今後、()()()()()()()()()が居たら、こういう手を使うことにしよう。そう考える俺だった。


そうして彼女は翌日には、ある場所に送り込まれた。本来であれば、裁判をしてから送られることになる。しかしこの世界では、彼女達が知る前世とは、刑事罰則が異なっているようだ。その為、斎野宮家のような家柄が、圧力を掛ければすんなりと要求が通ってしまう、そういう刑罰も存在する。別に…違法捜査でも、違法な罰則でもない。この世界では、庶民にも認められている罰則である。


これは…後から聞いた話なのだが、1年生の合宿所にあの女は現れていたらしい。その後、あの女の母親と伯父が迎えに来た時、彼らは斎野宮先輩達に対して、お詫びを告げ頭を下げたそうだ。これは、彼らの家に圧力を掛けられたらどうしようもない…と、知っていたのだろう。彼らは賢明な判断をしていたのに、あの女は彼らの行為を無にしたのだ。


元ヒロインの居場所は、この世界には無くなった。現在の元ヒロインの居場所は、ごく一般的な刑務所ではなく、孤島の離れ小島の中にある、他に住民も居ない、観光客も全く訪れない、地獄の収監所である。刑に服する者も看守も、全て女性だけの収監所であり、人が滅多に訪れない場所だった。収監所から逃げたとしても、他の住民も居ない上、島は完全な孤島であり、どんなに泳げる者も…溺れるほどに波が激しいと、有名な収監所である。女性だけの島…と言ってもいいだろう。


此処を訪れる人間は、物資を運ぶ関係の人物のみ。それも、半年以上から1年ぐらいの間に1回の割合だ。いくら媚び諂(こ  へつら)おうとしても、女性ばかりでは効き目がないだろう。それどころか、ああいう同性は嫌われるだろうな…。


これも、あの女の選んだ道である。何度か分岐点があった筈なのに、すべて無視した…報いである。誰も同情しないだろう。今後心から反省をすれば、あの収監所から出られる機会も、あるそうだ。但し、それでも何年も先だと、聞いているが…。一生あの場所に居続けるか、それとも何年も先でも、あの場所から抜け出すのか、それは…元ヒロイン次第なのだろう。


あの後、俺にも漸く…春が来た。俺が元侍らせていた1人である。彼女は瑠々華嬢達と同じ転生者でもあり、乙女ゲームも知っており、如何やら俺の行き着く先を、心配してくれていたようだ。お陰で直ぐに、瑠々華さん達とも仲良くなっていた。そんな彼女を俺は…。本気で惹かれて行き…。


最近やっと、勇気を出して告白した。結果はOKをもらい、両親にも紹介して…とあっという間に、俺の正式な婚約者となったのだ。彼女は小学部から堀倉学園付属大に通っており、それなりに有名な家柄の令嬢である。その彼女が、瑠々華さん達と今まで特別仲良くしていないのは、彼女の性格が…控え目であったからに()ぎなくて。俺も取り巻きとして、気付いていなかったくらいだし…な。


…コホン。(※咳払いをする)…兎も角、俺の婚約者と…彼女と出逢えて、良かった。俺は…今、幸せ過ぎるほどの…幸せを、()()()()()()()()いる。

 前々回からの続き、光条視点となっています。


光条さんのお相手は、『名無しさん』として正式には登場していません。取り敢えず、彼もカップルとなることが出来ました。(カップルになるのは、少なくとも新学年になって半年後以降~1年以内と思われる。)めでたし、めでたし。


ヒロインの会話が、正直書いている本人でも、ムカついています。ですから彼女には、他の作品のゲームヒロイン『アレンシア』よりも、重い罰を受けていただきましょうか……。



※今回以降、前日譚と後日譚のお話が交互に近い形で、暫く続くと思います。

※番外編も、終了が見えて参りました。あともう少し、お付き合いくださいませ。

※今回、悪意のある言動が多めとなり、不快な思いをされた方々には、申し訳ありませんでした。また今後もあるかもしれませんので、ご了承くださいませ。

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