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婚約破棄する期間は、もう既に締め切りました!  作者: 無乃海
【後半】 物語は佳境に入ります…編
48/66

第40話 婚約破棄は締め切ります

 今回で本編は、最終話となりました。いつも通り、主人公視点です。


瑠々華が気を失っていた間に、何があったか…周りから説明されました。

 あの後、樹さんに何度か口づけされまして、長めのキスもされた私は、沸騰寸前まで…行きましたわ。…ストップ、ストップ、樹さんっ!…初心者の私には、これ以上は無理ですわっ!…ギブアップ、致します!…これ以上は、ご勘弁を!


…ということで、樹さんから離れまして、今は…麻衣沙達女性陣の傍におりますのよ。あれから麻衣沙達には、私が気を失っている間の状況を、ご説明いただいておりますのよ。逆に、私の気が付いてからの状況は、お話してはおりませんけれど。今のところ、バレてはいない模様でして。……ほっ。


 「樹さんが蛇に噛まれて、全員が凍り付いておりましたのに、ルルまで気を失われてしまい、私達も…動揺致しましたのよ。噛まれておられなくて、良かったですわ。樹さんはもう、半狂乱になられて取り乱されますし…。ヒロインも、樹さんが庇われる事態は、想定外のようでしたわ。光城様や矢倉君に、すんなりと拘束されましたもの。」

 「…ええ、本当に…。ルルお姉様が倒れられて、私も…驚いたんですよ。(ただ)でさえ、毒蛇だと思っていたので…。気を失われただけで、良かった…。」

 「…本当に。ルルさんが倒れた後、蛇に噛まれたのは王子は、治療しないまま…ルルさんに付き添うと言われて。あの場の全員で、宥めたんだもの。羽生崎教授と婚約者さんがおられたお陰で、毒蛇ではないことと、ルルさんがショックを受けただけと分かって、王子もやっと納得したのよ~。」


…ううっ。居た堪れませんわ…。私が気を失った所為で、本当に皆様にはご迷惑をお掛け致しましたのね…。もう既に、教授と婚約者の女性は、帰って行かれたそうですので、お礼を申し上げることが出来ませんでしたわ。残念です…。後日大学にて、教授にはお礼を申し上げましょう。


しかし、樹さんがそのような態度を、取られていたとは…。半狂乱で治療を受けずに…などと、ご自分よりも私を…大事に思ってくださったのね…。嬉しいというよりは少々呆れて、苦笑してしまいましたわ。乙女ゲームには、そこまで取り乱すような描写は、見られませんでした。この心配症は、現世の樹さんならではのもの…なのかしら?…う~む、肩の荷が…重い。私が倒れる度に、過度のご心配をされないように、お願してみましょうか?…このままでは、私の方が()()()()()()()()()()()、いられませんもの…。


ヒロインは既に警察に引き渡し、私も目覚めたということで、女性陣のみ…我が家である藤野花家へ、移動致します。今日は緊急事態で、結局何処にも行けなかったものですから、明日は一緒に遊びに行こう、ということになりまして。折角、美和乃さんと矢倉君が出て来られたのに、ご案内すらしておりません。張り切って、私と麻衣沙とエリちゃんとで、ご案内致しましてよっ!


そういう訳で、女性陣は私の家にお泊りし、男性陣はそのまま…斎野宮家でお泊りです。そう言えば、光城さまも…来られるのかしら?…男性陣の方がお1人、多いのですが…。他は全員婚約者&カップルですので、何となく…気が重いのでして。女性にはお困りではないですし、私は告白された訳ではありませんのに、何か…悪い気がしてしまいます。理由は自分でも、さっぱり分かりません。やっぱり…乙女ゲームの所為なのかしら?


その夜、私は再び…夢を見ました。前世の世界で乙女ゲームをしております、私でしたわ。自分の部屋で1人、独り言をブツブツ呟きながら、ゲームを攻略しておりました。


 「この中では、王子がサイコーだよね~。何と言っても、一途だし。眼鏡くんは当初、悪役令嬢にも気がある素振りだし。公務員子息は、幼馴染の気持ちも分からない鈍感だし。幼馴染くんは、自分から告白出来ないチキンだし。教授は良い年のオヤジなのに、未成年に相談してるし。他に、真面な攻略対象が…いないなあ。」


…うわあ~。結構辛辣なことを…宣う私は。何様(なにさま)だったのでしょうか…。簡潔に申しますと、私の推しキャラは…樹さん、だったようですね…。


 「それに比べて、麻衣沙ちゃんには癒される~。悪役令嬢にしておくのが、勿体無いっ!…私が男子だったら、絶対に麻衣沙ちゃんを選ぶのに~。攻略対象達は、見る目がないわねえ。もし…私が生まれ変われたら、麻衣沙ちゃんを…堕としたいなあ…。でも、男子に生まれるのは…抵抗あるかなあ。そうだ!…()()()()()()()()()()、いいよね?…うん、そうだ。そうしよう……っと!」


…ああ。なんだ……。私の一押しキャラは、麻衣沙でしたのね…。同性ですけど。実際に彼女には、猛アタックしました…ね。道理で麻衣沙のことが、大好きな筈ですわね。恋愛がしたかった訳では、ないんですよ。単に前世のこの頃は、まだ私は()()()()()()()()()…ですね…。多分……。






    ****************************






 次の日は予定通り、皆さんと街に出掛けました。結局、光条さまは他に予定があるとのことで、朝早くに帰られたそうでした。何となく、ホッ……。


そういう訳で、私・麻衣沙・エリちゃんに、プラス樹さん・岬さん、後から来られた右堂さんの6人で、美和乃さんと矢倉君をご案内致しましたのよ。有意義な時間を過ごせましたわ。ヒロインは強制退場となりましたし、今後は当分の間、ご登場されませんけれども、このメンバーでは…今後もお会いしようと、約束を取り付けましたのよ。前世のお仲間が増え、また…今回で結束出来た実感があり、これからも仲良く出来ると思えば…嬉しいですわ。…ふふっ。


今日は、樹さんに告白されてから初めてご一緒に、食事をすることになりました。個室で2人っきりで。以前は絶対に避けておりましたが、ヒロインが正式に退場された今、何も怖いものは…ありませんもの。多分…。それに樹さんには、もう…嘘は()きたくなくて。今から、私の本音を…お伝えするつもりでしてよ。


 「樹さん。貴方には…はっきりと、()()()()()()()()()()()が、ございます。」

 「……どういう話なのかな?…物凄く…嫌な予感が、するんだけど。」

 「先日、前世の夢を見て、大切なことを思い出しましたのよ。私の一押しキャラは、実は…麻衣沙でしたのよっ!」


私が樹さんに話し掛けますと、彼は…緊張で顔を強張らせられ、ジッと私を見つめられます。私が言い放ったセリフに、持っておられたフォークを…ポトッと落とされて…。フォークが落ちましたわよ、樹さん。お店の人を呼びましょうか?


 「………。ルル、まさか…同性が好きだと気が付いて、婚約破棄するとかでは…ないよね?」

 「……はい?……私は唯単に、前世の一押しが麻衣沙だったと、お伝えしたかっただけですよ?」

 「………はあ~。それならば、別に報告しなくても、良いよ…。それに、友達として一押しだけど、異性では俺が一押し、という意味だよね?」


…あらっ?…そうなのかしら?…あの前世の私は、中学生頃でしたから、恋愛もまだ未経験で、男性に…少し距離を置いていた頃でしょうか…。ハッキリ思い出せないので、何とも…言えません。彼氏より友達をほっしていた頃ですもの。いえ、友達が居ない訳ではなく、()()()()()()()()ほしくて…。


樹さんはいつの間にか、私の隣の席に座っておられます。ホッとされたようなお顔をされ、フッと噴き出されますのよ。…むう~。失礼な…。此方(こちら)はこれでも、真剣でしたのよ…。


 「…ルルは、本当に何を言い出すやら…。目が離せないなあ…。本気で同性が好きだと言われても、ルルならば…と信じそうだよ…。」

 「流石に今は、麻衣沙のことは大好きでも、お友達としてですわ。…そうでなければ、いくら何でも…プロポーズに、簡単には…OK致しませんでしたわ…。お相手が…樹さんでしたから、OK…致しましたのよ。」


私が麻衣沙を愛してると、樹さんが誤解されましたけれど、いくら何でもお友達としてですわ。今は、恋愛感情と友情の違いは、理解しております。私は勇気を出して、私の気持ちをお伝えしましたのよ、恥ずかしいけれど…。彼から告白されましたのに、私はまだ…お伝えしておりませんでしたもの。


そうしましたら、彼に…思い切り、抱き締められました…。そして、長めのディープキスも…。……んん!?……ちょっと、待って!……い、息が…!?

…ぎゃあっ!!……押し倒さないで!…ヘルプ、ヘルプ!!


…というような事態に、陥りましたわ…。樹さんのスイッチが何時(いつ)入られるのか、分かりません…。「ルルが煽ったんだよ。」と、彼は仰られますが、全く意味が…分かりません…。当分は、十分に気を付けて、行動致しますわ……。


麻衣沙もその後、岬さんと正式に…お付き合いされることになりました。嬉しそうなお顔の麻衣沙に、ご報告していただきましたのよ。…うふふふっ。麻衣沙、可愛い!…勿論、私も…ご報告致しましたわよ。お互いにおめでとう、と言い合って。


あれから暫くして、光条さまは…チャラ男をご卒業され、とある女性と…真剣なお付き合いを、始められましたようですわ。ちょっと驚きましたけれども、漸く唯一の恋を…見つけられたのかもしれませんね。おめでとうございます、光条さま。


これで、主要ゲームキャラは全員、ハッピーエンドになりましたわ。物語的には、めでたし、めでたし、なのでしょうけれども、私達の人生は今後も続いて行く訳でして、これで終わりではないのです。今後も、山あり谷ありの人生になるでしょうが、私は…()()()()()()()()()()、送りたくありませんのよ。ですから、何時でもハッピーで過ごせるよう。


今後、Newヒロインが登場しようとも、正々堂々と戦うことを…誓いましてよ。婚約破棄する期間は、もう既に…締め切りましたわ!……と。





                完

 ヒロインは退場した後の話は、本編ではさらっと流しております。


ヒロインはバットエンドになりましたが、それ以外の主要人物達は全員、ハッピーエンドになりました。瑠々華と樹カップル以外の、他のカップルのお話は、今後の番外編の方で書こうかな、と思っています。また、回収出来なかった話も、投稿する予定です。



※本編は、丁度切りの良い40話で終わりましたので、これで終了とされていただきます。ここまでお付き合いくださり、ありがとうございました。番外編を予定しておりますので、暫しお付き合いいただけると、光栄です。宜しければ、他の作品もご覧いただけると、嬉しく思います。


※次回は、登場人物一覧の予定です。その後、番外編が数話あるかと…。本編完結後の番外編に関しては、ゆっくりと更新する予定です。最終的な終了には…後もう少し、お時間いただきたいと思います。


※本編にはなくても良い話として、番外集ばかりを集めた『婚約破棄する期間は、まだ締め切っていませんが!?』も、宜しければご覧くださいませ。此方が完結後も、まだ当分は投稿するつもりです。

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