表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約破棄する期間は、もう既に締め切りました!  作者: 無乃海
【後半】 物語は佳境に入ります…編
40/66

第33話 その後の2人の現状

 前回からは、数日経って後日のお話です。前半・後半共に、日時は異なります。


前半は瑠々華、後半は麻衣沙視点となります。

 樹さんに、到頭バレてしまいまして、麻衣沙と岬さんには、当分の間は内密とすることになりましたわ。しかし、私は…顔に出やすい性格でして、麻衣沙に嘘を()いても、直ぐにバレてしまいますのよ。ですから、今回の件も…直ぐにバレてしまうと、思っておりましたわ。


麻衣沙のご様子が、何となく…おかしくて。何と…言いましょうか、ぽお〜〜と呆けておられるかと思えば、そわそわと落ち着かない素振りをされたり、将又…お顔を赤く染められたかと思えば、今度は真っ青になられたりと、常に落ち着かないご様子でしたわ。普段でしたら、わたくしがボ〜としており、常に麻衣沙にご忠告されておりますのに、今日は()()()()()()()()()でしてよ…。…う~む。このような日が来ようとは…。


如何(どう)やら…麻衣沙は、メールが送信されて来るのを、気にされておられるご様子でして。チラって覗き見ましたら、いえ…メール着信音に気が取られ、思わず見てしまったと…。コホン…。兎にも角にも、悪気はございませんでしたのよ。見えてしまったものは、仕方ありませんものね…。


メール送信者は、岬さんで。その時の…麻衣沙のお顔と言いますと…。岬さんからのメールには、一瞬だけ…お顔を緩ませられては、無理矢理冷静な表情になろうとされているらしく、痙攣されているかの如く、頬がピクピクされておられまして。


表情が…変ですわよ、麻衣沙さん…。その後、岬さんのメールをさり気なさを装って、目を通された途端に、見事に固まっておられます。…岬さん、何を…書かれておられますの?……麻衣沙が固まるなんて、何が書かれてあるのか…と、とても気になりますわねえ。


更に、岬さんからのメールではなかった場合には、麻衣沙は明らかに、がっかりとされたようなご様子でしたわ…。岬さんの時とは異なり、彼女の眉が下がっておられますもの…。ハの字に……。これは、これは…。麻衣沙は…恋をされて、おられますのかしら?…岬さんに。麻衣沙が…岬さんに……恋?!えっ、いつの間に!?


…あっ!?……そう言いましたら…先日、樹さんが「麻衣沙嬢は、今はそれどころではない筈なんだよねえ…。」と仰っておられましたが、この状況が…そういう事なんですね?……なるほど、なるほど。樹さんは、岬さんが()()()()()()()()()()()を、知っていらした訳ですね?


お2人は幼馴染でもあり、大のご親友でもある訳ですから、岬さんが樹さんにご相談されておられるのかも。…う~む。男の友情というヤツですねえ。お2人の麗しのご友情を、私は想像してみましたのに、何故か…禁断のボーイズ・ラブ的シーンを思い浮かべてしまいまして…。…うううっ。いけません!!慌てて頭の中から、打消しましたわ…。


このような想像をしてしまいますと、お2人をお見かけした時に、そのような目でしか…見られなくなりそうです…。このような想像をしたと知られましたら、樹さんに射殺されそうな気が、致します…。危ない、危ない……。1人の時で…良かったですわ…。


誤解のないように…言わせていただきますと、わたくし個人としましては、ボーイズ・ラブには興味ありませんのよ。腐女子ではございませんわよ、決して。少なくとも、その現世では。但し、前世で全く興味がなかったとは、あまり記憶のない以上、否定し切れない部分があるのですが…。性格は…変わっておりませんようなので、多分ですが…興味を持っていたとは、思えないのですよね。


それでも、真っ先にボーイズ・ラブ的なシーンが思い浮かぶのは、樹さんと岬さんのお2人が、あまりにも普段からご一緒なので、邪推してしまった模様でして…。もしかしましたら、私の心の闇が、作り出そうとしたのかも、しれませんわね…。常識外れなヒロインに、ヒロインと恋に堕ちない婚約者に、私の悪役令嬢としての役割から、何とか逃れたい一心で…。


…オホン。それはさて置きまして、麻衣沙が岬さんに、恋をなさっておられるのでしたら、私は何を差し置いても、麻衣沙を応援したいですわ。麻衣沙は本当に、良い子なんですもの。例え、本来の乙女ゲームのヒロインが登場されたとしても、負けてほしくはありませんのよ。それこそ、ヒロインの邪魔をしてでも、お2人を恋人としてくっ付けてやりますとも!


勿論、邪魔をする…と言いましても、虐めや嫌味は絶対に、申しませんことよ。悪役令嬢の道を進むのだけは、勘弁してもらいたいのです。私は麻衣沙が大好きだから、()()()()()()()()()()()であって、ヒロインとかが憎い訳では、ございませんのよ。それに私は、虐めるお人を好きにはなれませんので、自分もそうは…なりたくないのですよねえ。






    ****************************






 あの後、岬さんに、そ…その……抱き締められまして、告白も…されてしまいましたのに、わたくしは…何も応えることが、出来ませんでしたのよ…。唯々(ただただ) …慌てるばかりでして、どうしたらよいのか…分からなくなってしまいまして、狼狽えるばかりでしたのに。それでも、岬さんはわたくしの気持ちなど、最初から理解されておりましたかのように、冷静に…振舞われるのですわ。わたくしがこんなにも、戸惑っておりますと申しますのに…。岬さんって、このようなキャラでした…かしらね?……いいえ、()()()()()()()()()()()なのですのね…。


先日、岬さんが仰ったことは、一理あると思われます。転生者が存在する事実が、暗黙の了解として割と知られているとは、思いも寄りませんでしたが。まさかの…岬さん達が、転生者の存在を肯定されるとは…。本当にわたくしとルルの努力は、何でしたのかしらね……。少なくとも…必死に隠す必要は、なかったのではないのでしょうか?


それに…岬さんから告白をされるとは、夢にも思ってもおりませんでしたのよ…。ずっと嫌われておりますと思っておりましたので、わたくしにとっては…青天の霹靂のような出来事でしたのよ。本当に…わたくしので良いのですの、岬さん…?


 「麻衣沙が…ずっと俺を避けているのは、気付いていたんだ。それでも、俺が凹まずに済んだのは、瑠々華さんの樹に対する態度を見ていたから、だと思う。樹は凹むどころか、闘志を燃やしていたからな…。俺も負けずに、頑張ろうと思えたんだよ。それに…君は俺だけにではなく、他の人間にも同じ態度だったから、瑠々華さんの分かりやすい態度よりは、ずっとマシだと思っていた。」

 「………。」


わたくしが…彼を避けておりますことに、気付かれておられましたのね。確かに…ルルの態度は、あからさま過ぎまして、多分…樹さんでなくては、耐えられないかもしれませんね…。乙女ゲームの樹さんならば、疾うの昔に諦められたかもしれません。現実の彼は腹黒過ぎておられて、わたくしにさえも…理解出来ない部分の多いお人ですわ。まあ、ルルと比べてしまえば、わたくしの方がマシ(?)な態度…なのかしら…。ん…。比べる対象が…おかしいような気が、致しますけれど…。


抑々、ルルとわたくしでは、容姿も性格も趣味も何もかもが、全く異なりますわ。年齢より幼い雰囲気の可愛い系ルル。明るくて真っ直ぐな性格のルル。趣味は運動系であり、身体を動かすのが大好きな、活発なルル。


それに比べまして、老け顔で年齢より上に見られることの多い、わたくし。見栄っ張りで意地っ張りな性格のわたくし。趣味はお花とお琴など、家の中で出来るものばかり好み、根暗なタイプのわたくし。このようなわたくしの…どこが良かったのでしょうか、岬さんは。わたくしの都合の良い夢なのでは…と、そう思っておりましたのに。


 「麻衣沙が俺を信じられないのは、理解しているつもりだ。だから、これから俺は、乙女ゲームの俺と現実の俺が違うのだと、君に分かってもらう為にも、今後も君にアタックして行くつもりだよ。」


そう仰られた通りに、その後も彼からは引っ切り無しに、メールが送信されて参りますのよ。但し、この前よりも格段に、パワーアップされておりますわ。メールの内容が…。必ず、メールには…「君を愛してる岬より」とか、「君を愛する俺は」とかの一文が入っておりますのよ。は…恥ずかし…過ぎます……。(※これが、わたくしが固まっている理由です。)


 「ねえ、麻衣沙。私は何が起きても、麻衣沙の味方だからねっ!」


……うっ。私は、冷静さを保っておりましたつもりが、どうも…無理がございましたようですわ…。ルルの前でも、バレバレの態度を取っておりましたようですわ。ルルは、()()()()()()()()()()()()は、なるべく少しでも…されたくございませんでしょうに。それでも…わたくしを、心配してくださるのですね…。


 「マイお姉様!…ルルお姉様から、お聞きしましたよ。頑張ってくださいね!」


…ああ。エリさんにまで、応援されてしまいましたわ…。エリさんは、攻略対象の右堂くんと、お付き合いされておられましたわね。お付き合いとは、どういう感じなのかしら?…伺ってみたい気分になりながらも、自分と岬さんがと思いますと、わたくしは…もう何も他には、考えられなくなってしまいます。


岬さんとは、わたくしが生まれて直ぐからの婚約者でした。乙女ゲームと気付いてからは、特に意識しないようにして、参りましたのに。今更…どうお話したらよいのでしょう。今頃になって、どう接したら宜しいのでしょう。


前世での()()()()()()()だった、岬さん。そのことを再び思い出しました途端に、わたくしの想いが溢れて来るようですわ。貴方を意識しても、宜しいのですか?…傍に居ても…迷惑ではございませんの?


そして……本気で、貴方を愛しても…良いですか?

 ダブル主人公の麻衣沙が告白されましたので、一気に進展するかと思いきや…。


ルルが自覚する日は…来るのでしょうか………。



※筆者の私生活が忙しくなり、今年から更新の頻度を、減らす予定となりました。応援してくださる方々には、大変申し訳ありませんが、更新頻度・曜日などを未定とする、不定期更新とさせていただきます。

※現在3作品更新中で、その内の1作品である此方の作品は、短期間として開始しておりますので、此方の作品はなるべく優先させていただきます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ