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婚約破棄する期間は、もう既に締め切りました!  作者: 無乃海
【後半】 物語は佳境に入ります…編
35/66

第29話 隠しキャラの好みの女性は

 いつも通り、ルル視点となります。


再び、隠しキャラが絡んでのお話…となりました。

 私達は無事、プチ旅行から自宅に帰って参りました。例のヒロインの対策会議こと女子会は、突如攻略対象のお1人が現れたことで、女子会という雰囲気はなくなりましたわね。今度お2人がこちらに来られる時には、私達に連絡していただくことになりました。ヒロインに出会ってしまった時には、私達が助けたり、ヒロインに会わない為に、私達が囮になるとか、そういう対策をならば出来るかと。


一応、代表の連絡先は、麻衣沙となりましたのよ。私だと、また1人で突っ走ってしまう恐れがあると、麻衣沙とエリちゃんが仰って。エリちゃんにまで、とは…。ううっ…。年下のエリちゃんにまで、そう思われてしまいました…。私ってそんなにも、()()()()()のかしらね…。


久しぶりにダンス教室へと、顔を出しに行きましたわ。旅行自体は楽しみましたけれども、色々と考えることが出来まして、鬱憤が堪ってしまっていたのでして…。何も考えたくない、何かに熱中したい、そういう時には…ダンスが、私にとっては丁度良いのです。身体を動かしたい、ただそれだけなのですが。結構これが、鬱憤晴らしに向いておりますのよ。令嬢として、ダンスは嗜みのようなものですから、誰にも反対されませんしねえ。…ふふふっ。


講師とダンスしておりますと、光条さまが来られました途端、講師が気を使ってくださって、ペアを交代されますのよ。…いえいえ、気を使われなくても、良いですのに…。仕方なく、光条さまとペアを組みまして、踊り始めます。ああ、そう言えば、光条さまの方も…ペアがいらっしゃらないのでしたね…。私も此処ではお相手はおりませんけれども、講師の先生が踊ってくださるので、それで良いのですわ。


光条さまは、彼を狙う女性がおられない代わりに、ペアになる女性もおられませんのよ。この教室の女性の講師は、他の初心者の生徒さんに、ほぼ付きっ切りですしねえ。本当に踊る女性のお相手が、いらっしゃらなくて…。


ですから、私が諦めてご一緒するしか、ございませんのね…。樹さんが付いて来られました時も、光条さまは…踊られませんでしたもの。その節は…申し訳ないことを致しましたわ。ペアがおられなくて、困ってしまわれたでしょう…。あの日は、樹さんと光条さまを引き合わせたくなくて、サッサと帰ってしまいましたものね。あの後は…どうされたのでしょう。…さぞ、お困りになられたことでしょうね。


そうは言いましても、私の正式なペアのお相手ではありませんので、謝ったり…致しませんわ。寧ろ、あの場合は、婚約者である樹さんを優先するのが、正解でしたのよ。()()()()()()()()()()、蔑ろにしてはいけないのですわ。絶対に…。


そう思いながらも、クルクルと踊っておりますと、目の前の光城さまが苦笑され、「そう言えば…」とお話を振って来られます。…うん?…どうされたでしょう?…何となく…嫌な予感が致します…。私は昔から、良い予感は全く当たりませんのに、悪い予感は…よく当たりますのよ。悪い予感など…当たらなくとも、良いですのに…。ふう……。


 「この夏休み中に、街の方に用があってね、出掛けていたんだが…。変な…女性に、絡まれてしまってね…。いやあ、本当に参ったよ…。」


…ん?…変な女性?……に絡まれた?!……それって、もしかしなくとも、例のヒロインではございませんの?!


 「彼女は、何故か…俺のフルネームを知っていてね…。いやあ、初めて会った筈なんだけどなあ。俺は記憶力が良い方で、特に女性と出会った記憶は、絶対に忘れない筈なんだけど…。然も、彼女は…特徴的だったからね。化粧も服装も一度見たら…忘れないだろ、あれは。」

 「………。」


それって、間違いありませんわよね…。一度見られましたら、忘れられないようなお人は、例の(ケバい)ヒロインしか…おられませんわよね…。私は遠い目を致しながら、光条さまのセリフを聞いておりましたわ。やはり、ハーレムエンドをされる気…満々ですわよねえ。…ということは、教授にも接触されるおつもりかしら?


 「それに彼女は、正確に言うと…大学で見掛けた人物、だったよ。ほら、君の婚約者の斎野宮先輩が、君と食堂に行った時の……。」

 「そうですか…。やはり…彼女…でしたのね。」


…ああ。やっぱりそうでしょうね…。…と言いますことは、彼女は隠しキャラルートを、知っていらっしゃるのですね?…攻略されていた、ということでしょうか?何にせよ、隠しキャラルートも攻略されるのでしたら、私の断罪が増えるということですわねえ。先日の矢倉くんと美和乃さんではございませんけれど、()()()()()()()()()()()()…嫌ですわね、絶対に!






    ****************************






 「その彼女なんだけどね、俺と会った途端に、俺に『光条徳樹(のりき)さんですよね?…やっぱり、居たんですね〜。私、和田鮎莉(あゆり)と言います。私のこと、覚えて置いてくださいね?』と、話し掛けて来たんだ。その後も聞いてもいないのに、俺の後ろをついて来ては、ベラベラと1人で喋っていたよ。はっきり言って、俺の好みから…だいぶ外れているなあ。できれば、俺は…二度と関わりなくない、かな。」

 「………。」


……あらら〜〜。居たんですねって、貴方…失礼にも程がありますね…。一応このお人の正体は、とある社長令息なのですからね。隠しキャラを攻略されておられるのでしたら、そういう最低限の情報も、知っておられる筈でしょうに…。本当にあらゆる面で、残念なヒロインさんですわねえ。


到頭、隠しキャラからも、否定されてしまいましたわね。これで彼のヒロインさんは、6人の攻略対象のうち4人からは、確実に…拒否された模様です。あの性格では、そうなりますよね。どうして、あのような自分勝手なお人が、ヒロインに生まれ変わったのでしょう?…他者に対する思いやりを持てるお人が、ヒロインに生まれ変わるべきですわ…。


NEWヒロインを期待したいのですが、私が何故だか…ヒロイン役を、乗っ取っております所為もありまして、NEWヒロインが私だと認識されていそうでしてよ。誰にってそれは、この世界の神様(?)みたいな存在に…でしょうか?


 「実は…彼女、聞くところによりますと、あのようなケバ…濃い化粧と、センスの悪い服装をされておりますが、元々は案外とモテ系の可憐なご容姿、だそうなのですわ。光条さまもそのお姿でお会いすれば、気が変わられるのでは…なくて?…案外と好みのタイプかも、しれませんわ。」


私は敢えて、ヒロインの容姿が元々は良い…とのことを強調して、光条さまにはお伝えしてみましたのよ。彼が興味を持たれれば、気が変わられるかもしれませんものね。親切のつもりで、お教え致しましたわ。彼の反応を拝見したくて、本当の真意を確かめたくて、という思いもありましたけれど。そして…あわよくば、私から離れてくださることを、心から願いまして。…そうですのよ。決して、単に自分がヒロインになりたくないから、ではありませんことよ!


 「いいや。寧ろ…興味が失くなった、というべきかな?…きっと彼女の性格は、悪趣味な化粧と服装を戻しても、中身は全く変わらないだろう。俺は、見掛けよりも()()()()()()()()()人間には、ハッキリ言って関心が持てない。俺の好みは…最近自分でも知ったばかりだが、純粋な心の持ち主で、明るく前向きな性格の女性が好み…みたいだ。…ああ、単細胞の部分があるのも、退屈しないかなあ。」

 「………。」


しかしながら、私の企みは…露と消えましたわ…。余計なことを、お伝えするのではなかったわ…。更に興味を失くされるとは…。…う~む。確かに…光条さまが仰られる通りで、彼女のあの性格は…本来の性格のようですわ。前世からという…。ですから、彼女が反省を試みるという性格を持っているのかさえ、私達にも見当が付きませんわね…。何となく、前世でも嫌われていたような、そういう気が致しますのよねえ…。ですが、前世でも性格よりも外見でモテていた、そういうお人も沢山おられましたから、この現世でも同様だと思っておりましたけれども。


…んん?!…光城さまのお好みのタイプって、何だか…ゲームのヒロインそのものですわねえ。純粋で明るくて前向きだった、ゲームのヒロインに。なるほど、なるほど……。彼のヒロインも、ゲーム通りの性格でしたら、きっと…彼が惹かれておられましたのにね。……ん?…単細胞の部分がある?!……それって、私のことを仰っているみたいに思えるのは、気の所為…でしょうか?…私のことではないにしても、退屈しないというセリフには、失礼ですわよ…と思わなくもないですが。


光城さまはそう仰られた後に、にっこりと微笑まれます。…ううっ。目が…潰れそうです…。樹さんもそうですけれども、どうしてこうイケメンの男性の皆さんは、笑顔を振り撒かれるのでしょうね?…悪役令嬢にまで振り撒かれなくとも、良いですのに。キラッキラの笑顔を振り撒かれますと、ヒロインでもないのに、一瞬で…()()()()()()()()()()ですのよ。…危ない、危ない……。


でも、私には前世の記憶があり、そして…ここが乙女ゲームの世界だと、知っております。そう簡単には…恋に落ちませんことよ!…お~ほほほっ!私も、そういう意味を込めまして笑顔を返しますと、光城さまがボソッと呟かれます。辛うじて聞こえて来たセリフに、…はて?…と首を傾げることになりましたのは、私の方でしたわ…。


 「本当に手強いな…。彼が…苦労する筈だよね。ここまで言っても、()()()()()()()()()()()()とは、予想外過ぎだよ……。」

 隠しキャラとヒロインの出会いが、夏休み中にあったことを、隠しキャラ本人から語られましたね…。これにて、2人の出会いシーンは、終わりにしようと思ったのですが…。多分、違う形で書くことになる…と思います。



※年末期間は、30日まで毎日更新予定です。

※此方の作品、『婚約破棄する期間は、もう既に締め切りました!』の特別番外編を、別作品にて始めました。実際の行事に合わせた企画となりますので、この作品が終了後も、別作品の方で不定期投稿する予定でおります。昨日、クリスマス・ネタで投稿済みです。宜しければ、其方もご覧くださいませ。


別作品名『婚約破棄する期間は、まだ締め切っていませんが!?』です。此方も合わせて、よろしくお願い致します。

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