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婚約破棄する期間は、もう既に締め切りました!  作者: 無乃海
【前半】 乙女ゲームのフラグを折りたい…編
29/66

第24話 翻弄された1日でした…

 今回も、ダブル主人公の麻衣沙視点となります。


ルルは…どうしているのかな?…まだ、ショック状態だったりして…。

 あの時は、岬さんの愛の告白(?)に、わたくしは…翻弄されてしまいまして、すっかり聞き流しておりましたが、樹さんはルルの行動を把握しておられる…という事実(※実は、覚えておりました。)を、自分1人となりましてから思い出しまして、呆気に取られておりました。樹さん…何をされて、おられますの?…ルルがお知りになりましたら、絶対に怖がられますわよ?…嫌われる以前の問題…ですわよ。このままでは…樹さんのお気持ちは、ルルには絶対に伝わりませんことよ?


今はわたくしも、本当は…他人ごとではありませんの。わたくしも真剣に、考えなくてはなりません。この世界…乙女ゲームの世界の事情を。本当にこの世界は、乙女ゲームの世界そのもの…なのでしょうか?…パラレルワールドだとか、現代版の異世界だとか…と、思っておりましたが。何方(どなた)かが前世の世界で、ご自分の過去の記憶を思い出されて、それを元に…乙女ゲームを作られたのでしたら。


その場合は、実在した人物を参考にされたり、現実とは異なる物語を作られたり、されたのでは…ないかしら?……きっと…そうなのですわ。だから、こんなにも似ている、ということなのでしょうか…。その場合は、異世界から前世現実世界への転生者、というお話になりますけれど。


そう思うならば、乙女ゲームのヒロインと例のヒロインとの差も、また…攻略対象が悪役令嬢を選んだ事実にも、納得が出来ましてよ。例え、乙女ゲームの通りのヒロインだったとしましても、攻略対象全員がヒロインを選ぶのもおかしいですし、今までずっと側にいるお相手を、悪役令嬢だからと切り捨てるのも…おかしいのでして。誰にでも…人間である以上は、負の部分がある筈なのですもの。やはり、現実と乙女ゲームでは別物だった…と、考えるべきなのでしょうね。


ルルもわたくしも、知らず知らずのうちに、考えすぎでしたのよ。乙女ゲームだと信じておりましたから、恐怖心もございましたが、乙女ゲームとは別物…と、改めて考えましたら、気が楽に…なりましたわ。今更、樹さんと岬さんの気が変わられることは、ないでしょう。乙女ゲームに振り回されて、馬鹿みたいだと思われるかもしれませんが、わたくしは…()()()()()()、理解出来るようになりましたのよ。


それに…エリさんと出会えたことは、わたくしもルルも…転生者という、共有するお友達が出来た形となり、とても有意義なものでしてよ。彼女と出会わなければ、一生…乙女ゲームへの恐怖心に、囚われていたかもしれませんわ。遠回りでも、これで…良かったのですわ。正解だとは言いませんけれども、後悔は致しませんわ。否定もしたくありません。ですから、わたくしは今後も、自分達の信じる道を歩むことに致します。その上で彼ら攻略対象達を、きちんと自分の目で見極めたいと思いますのよ。ルルも…お早く気付いてくださいませ。


岬さんには、(いず)れ…わたくしの覚悟が、出来ました時点で、この世界が乙女ゲームに似た世界である事を、わたくし達の事実を…お伝えするつもりですのよ。勿論、信じてくださるとは限りませんけれども…。それでも、彼がわたくし達の相談に乗りたいと仰ったことですから、受け入れていただきたいですわ。


樹さんの方は、ルルにお任せ致します。最悪の場合は、ルルが申し上げなくとも、わたくしが岬さんに申し上げれば、自動的に…岬さんから樹さんに、伝わることでしょう。その場合、ルルは…軟禁…なのかしら?


それはさて置きまして、エリさんと日程もお決しましたし、最後となる悪役令嬢にご連絡を入れましょうか…。お会いするお約束を、取り付けなければなりません。わたくし達の名前を出せば、電話越しにもお相手は、慌てたご様子が感じられ…。やはり…彼女は、転生者なのでしょう。…と確信しておりましたら、彼女が電話の向こう側で、()()()()()()()()を言われたのです…。


 「私、何も邪魔してません!…寧ろ、ヒロインの恋を応援していました!」

 「………」


…え〜と。もしかしなくとも、彼女…霧島(むとう)さんも、天然なのかしら?…邪魔していません、までは良く分かります。そうですわね。わたくし達も、邪魔だけはしないようにと、振る舞って参りましたわ。ですから、お気持ちは察しますわよ。ヒロインの恋を応援していました…とは。わたくしがお相手でしたから良いものを、転生者だと()()()()()()()()()()、ですわね…。


 「霧島さん、貴方のお気持ちは、十分にご理解致しました。そのことで、お話がございますのよ。どちらかと言いましたら、助言に近いお話ですので、あまり固苦しくお考えいただかなくても、大丈夫でしてよ。」

 「つまり、会いに来る…あなた達も、私と同じ転生者、ということですか?」






    ****************************






 どう切り返しましょう?…と悩みながらも、霧島さんがパニックになられないように、とご返答を致しますと…。彼女からはズバリと、核心に触れられてしまいましたわ。…う〜ん。電話で…告げることでは、ないのですが…。彼女のご様子から考えますと、ここは…肯定した方が、宜しいかもしれませんね…。


 「ええ、そうですわ。貴方が思っておられます通りですわ。」

 「えっ、本当に!?…やったあ!…私、同じ転生者に会うのは、初めてなんだよね~。わ〜い!…嬉しいな。転生者の仲間が、できたよっ!」


霧島さんの直球な疑問を肯定しつつも、こちらからは敢えて、はっきりと言葉には致しませんでした。それでも彼女には、十分なお答えでしたようで…。電話の向こう側で、お1人で…盛り上がっておられます…。…う〜ん。またまた…直球ですのね…。然も、嬉しさ全開という雰囲気で。…う〜ん。ルルとは…気が合いそうですわね…。何となく、ルルが()()()()()()()()()、複雑な心境ですわ。


エリさんに、OKのメールを送信致しまして、ルルにも、霧島さんのご返答と共にお会いする日程を、お知らせ致します。直ぐに既読となった後、ものの1分程度で「了解!」とのご返事が。ご自宅にご帰宅されてから、持ち直された様ですわね。エリさんには便宜上お答えしましたけれど、わたくしも…心配しておりましたわ。いつものことですけれども、今回の落ち込みぶりは、いつも以上でしたのよ…。


ルルも一刻もお早く気付かれますと、気が楽になりますのに。と言いましても、あの天然…ルルさんでは、自力で気付くのは難しいかと…。放って置きますと、いつの間にか…ご自分の世界へ飛んで行かれて、どっぷりと浸られるお人なのですのよ。それを引き戻すのが…いつも、()()()()()()()なのですのよ。まあ、わたくしもそういうルルが、大好きなのですけれども。


その時、わたくしのスマホが鳴りましたわ。…あらっ?…これはメールですわね。何方(どなた)からかしら?…とメールを開きまして………。………えっ!?


絶句……致しましたわ。思わず驚いて、スマホを落としてしまいましたわ、ベットの上に。ベットの上で…呆然としておりましたので。落としたのがベットの上で、良かったですわ。いつものようにお上品に、ベットの端に腰かけておりましたら、床に落としておりましたわね…。勿論、床にはお上品なカーペットが、敷かれておりますわよ。多少落としたところで、スマホが壊れるような、薄っぺらい敷物ではございませんわよ。それでも…床に落としたくない理由は、スマホをデコっているからでして。デコっている飾りが取れたかと、焦った次第でしてよ。


ただの飾りでしょう?…いえいえ、違いますわ!…実はこの飾り、本物なんですのよ。実は…わたくし達の学校では、スマホを本物でデコるのが、流行(はや)っておりますのよ。お金持ちの道楽では…と、呆れられるのは…御尤もでしてよ。わたくしもそれには、納得致しておりますわ。そう思うのならば…しなければ良い、というお考えもございますけれども、わたくし達にもお付き合いというものが、ございます。わたくし達のようなご令息ご令嬢は、子供のお付き合いと言いながらも、家柄同士のお付き合いも同然ですのよ。学校などの集団生活でも、一時(いっとき)も気が抜けないのですわ。いつ、どこで誰が…裏切るのか分からない、そういうお付き合いですのよ。


ですから、表面上は波風を立てては、いけないのです。飽く迄も、わたくしは貴方のお味方ですわ、と見せかけなくてはなりません。勿論、わたくしはスマホケースに、デコっているだけですので、交換すれば問題ございません。ですが、これは…ルルとお揃いで、同じ色違いの物をデコったのですわ。ですから…大切にしておりますのよ。一言で言いましたら、そういうことでしたのよ。


…ゴホン。お話が…逸れましたわね…。それで肝心のメールですが、岬さんからでしたわ。今さっきお会いしたばかりですし、このように私事のご用事で、メールをいただいたことは…ございませんでしたの。ですから、動揺し過ぎましたのよ…。


何故……今なのですの…?…送信されたタイミングが、グッドタイミング過ぎませんかしら?……まるで…監視されているようで。…いえ、まさか……。考え過ぎですわよね、岬さん…?


 「麻衣沙。どうしても…「お休み」が言いたくなって、初めて…私用のメールをしたよ。今後は、毎日でもメールして…いいか?…返事は、今日でなくてもいい。麻衣沙、おやすみ。良い夢を。」


わたくしは…真っ赤になりながら、岬さんのメールに目を通しながらも、散々迷った挙句に…メールを返信致しましたのよ。()()()()()()を…。


 「私用のメールは、別にわたくしは構いませんことよ。岬さんも…おやすみなさいませ。」

 副タイトル通りに、岬さんに、麻衣沙が翻弄されておりますね。


電話ではありますが、新キャラ『霧島 美和乃』さん登場です。何となく、ルルと似たキャラになっていますが、筆者の中では違う位置づけ…なんですよね。

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