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婚約破棄する期間は、もう既に締め切りました!  作者: 無乃海
【前半】 乙女ゲームのフラグを折りたい…編
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第20話 イベント③ 樹ルート

 いつも通り、瑠々華視点となります。


副タイトルは、樹さんルートでのイベントであることを、意味しております。

 その晩、私は夢を見ていました。今の私には、覚えのない人達ばかりで、何となくこれは夢なんだと、自分でも思っておりました。


夢の中の私は、何処にでもいる女の子で、私の一番仲の良い少女は、ヒロインみたいに可愛い女の子だと、私は理解していました。但し、顔は…何となくぼんやりしているのに、そう感じている…という状況でして。その友達の少女は、男子からよくモテていて、他の女子達からも好かれていて。


ある日、クラスでお芝居をすることになり、その友達は…何故か、私をヒロイン役に推薦したのです。当然、クラス中の男子と女子からは、一斉に非難の目を受け、私は必死でヒロイン役を下りたのよ。結局…その友達が、ヒロイン役を演じて…。私を推薦した彼女は、一体何をしたかったのよ。…私は誰もいない教室で、「馬鹿ヤロ〜!!」と大声で叫んだ途端……。目が覚めたのでした。


これは、前世の夢なのでしょうか…。今世では今までずっと、学校では常に麻衣沙と、ご一緒しておりましたもの。それに…あんな性格の悪い、()()()()()()()()()()()は、現世にはおりません。あの夢は、前世の記憶なのでしょうね。


今でこそ私も…分かりますが、あれは態とだったのでしょう。私がヒロイン役をやりたがったと思わせ、彼女は皆を誘導して、私に役を譲ったと…思わせていたのでしょうね。私は知らずとはいえ、あんな裏表のある人とお友達だと、思っていたのですね…。前世でも、私は…ヒロイン役など目立つ役は、やりたくなかったのに。夢の中の私は、そう必死に叫んでおりましたわ。過剰にヒロインになりたくないと思うのは、きっと…その友達の所為もあるのでしょう。


前世で…何れは、あの少女とは決別したことでしょう。私的には、ヒロイン役は()()()()()()()()、良いと思っておりますわ。ヒロインとしての推薦も、もうお断りなのでしてよ。現世では、麻衣沙とお会い出来て、本当に良かったですわ!


 「ルル、久しぶりに暇が出来たから、会いに来たよ。」


そう仰って、私の家に来られたのは、私の婚約者である樹さんです。いや、態々、私に会いに来なくても、いいですよ。樹さんがお忙しいお人であることは、私も知っておりますから、暇が出来たのなら、お家でゆっくりなさってくださいな。


 「樹さん、折角おいでくださったのですが、今日私には習い事がありまして、これからお出掛け致しますのよ。申し訳ありませんわ。」


これは本当です。今から、社交ダンス教室なのですもの。本来ならば、午前中が大学で授業ですから、土日のお休みに通っておりますのよ。ですが、今は夏季休暇中ですので、他の曜日も通っているのですわ。他の曜日は不定期で通っておりますので、光城さんもいつもご一緒とは限りませんのよ。


 「あっ、そうか。今日は、社交ダンス教室に行くんだね?…ならば、俺も行けば丁度いいよね?…俺も最近踊っていないから、練習がてら一緒に行こうかな。」

 「……えっ!?…樹さんが…ダンス教室に一緒に…?!」


…ええっ!?…樹さん、ダンス教室にご一緒されると、仰いましたの?!…あわわわっ!……もしも、今日…光城さまが来られましたら、鉢合わせされましてよ…。樹さんの軟禁疑惑が、()()()()()()()では…ないですか!…ど、どうしましょう!


私が…あわあわしているうちに、樹さんはさっさと立ち上がり、私の手から荷物をもぎ取ると、私の手を取って「さあ、行こうか。」と、行く気満々なのでして…。然も、我が家の運転手ではなく、樹さん専用の運転手さんの車に乗り込み、出発となりました。…えええ~!…光城さまが…来られませんように。そう心の中で祈りながら、私はそわそわしておりましたわ。…ううっ。心臓に悪いわ…。


車に乗っている時間が、いつもより長く感じます。我が家の運転手さんではないので、私は命令できませんし、これでは…私、途中で帰れないのではないですか…。まあ、この世界にもスマホはありますし、私も自分のスマホを持っておりますけれど。スマホには、自分専属の運転手の電話番号も登録されておりますし、何時(いつ)でも連絡は出来るのですが、樹さんが送迎されておられるのに、無視して連絡出来ませんのよ。…もう、今日はお出掛けせずに、我が家で樹さんをおもてなしをすれば、良かったですわね。今更…遅いですけれども。


よく考えれば、樹さんは前からこうでしたわね。最近は色んなことがあり過ぎて、すっかり樹さんの性格を忘れておりましたわ。樹さんの前で外出のお話をする度に、いつも「今日は暇だから、一緒に行くよ。」と、仰られていたというのに。


私って、学習能力が無さ過ぎでは?…それとも、私のおつむが…残念なのですの?…まあ、それでも例のあの…ヒロインよりは、マシ…と言うべきなのかしら?






    ****************************






 少々、強引マイウェイの樹さんに、連れられてやって参りましたのは、私が通っておりますダンス教室です。ダンス教室の講師が、少々驚かれておられましたが、樹さんは私の婚約者と名乗って、講師に堂々と挨拶されておられます。……うっ。


此処でまで、その挨拶は…しないでいただきたかった…ですわ。婚約破棄された後に通うのが、居た堪れないではないですか…。以前は、樹さんも通っておられたダンス教室に、私も通っておりましたこともありましたわ。ですがそこは、未成年が通う子供のスクールでしたので、流石に大学生になる前に、こちらの教室に移動致しましたのよ。


今のところ、光条さまは来ておられませんから、ちゃっちゃっと練習致しまして、帰りたいところですわね。…と私は考えておりますのに、樹さんは満面の笑顔で、楽しそうに踊られておられます。とても帰りたいとは、言いにくい状況ですのよね…。…え〜と、どうしたら良いのでしょうね?


帰る切っ掛けを探しながら、踊っておりますと、いつの間にか来られていた光条さまと、目がバチリと合いましたわよ。私と目が合った彼は、不敵な笑顔を浮かべられ…。何となく…嫌な予感が……。それまでは、どう踊り終わろうかと考えておりましたのに、今は踊り終わるのが怖い。私、プチパニック中です。お陰で…私、ダンス終了間際に油断して、足が滑ってしまいましたのよ。


このままの態勢であれば、いくら彼に手を握られていても、お尻から床に着いて、お嬢様として有り得ない姿を、このダンス教室で披露したことでしょう。ですが、樹さんは咄嗟に私の手を強く引っ張って、支えてくださいました。ああ、恥を掻かずに済みましたわ。やはり樹さんは、頼りになられるお人です。


 「ルル、大丈夫?…踊り疲れたのかな?…ごめんね、楽しくて何度も続けて、踊り過ぎたよね…。少し休憩したら、帰ろうか?」

 「……ええ、そうですね。今日は…もう、帰りますわ。」


樹さんは私が踊り疲れたと、勘違いされておりましたので、帰宅する切っ掛けで丁度良いと、私も帰ることに同意致しましたのよ。普段の私ならば、このくらいは平然と踊っておりますのに。やはり私は、脳みそを使うよりも、体力を使う方が元気なのでしてよ。つまり、脳筋タイプ…なのですね。自分で思っていて、落ち込みそうです。…良いのです。()()()()()()()()な方が、お花畑のおバカさんよりも、マシなのですわ。


こちらばかり…見ないでくださいませ。光条さまの視線を感じつつ、私はマルっと無視致します。そうして目線を合わせないようにしておりましたから、お2人の目線が絡んでおられたとは、思いもよりませんでしたのよ。光条さまは今まで、私にしか絡んで来られませんでしたので、まさか…樹さんはご存じないでしょう、と過信しておりましたのよ。


そして、樹さんと2人でダンス教室を退出し、再び斉野宮家の車に乗り込みます。はてっきり、自分の自宅へ送り届けてくださると、ホッと一息吐いておりました。しかし、彼の「ルル、着いたよ。降りよう。」との声掛けに、私は何の疑いもなく降りまして…。……あれっ?……此処は…自宅ではありません…わね…。私が今まで、来たことがない場所でしたのよ。何処ですの……此処は?


 「此処はね、ルルが好きそうなデザートを沢山扱っている、最近出来たばかりのお店なんだよ。開店した当初から、ルルと一緒に来たいなあ、と思っていたんだ。俺が忙しくて中々来れなかったけど、今日外出するのなら、丁度いいかなあと思ってね。」


わあ〜い!デザート食べたい!…私は樹さんのお誘いに、今までの出来事を、すっかり忘れてしまった私は、ばあ〜と満面の笑顔になりまして。流石、樹さん!私の好物を、よく分かっておられますわ。長い付き合いだけはありますわね。私も、樹さんの好物はよく知っておりますし、()()()()()()でなければ、これからも私達、上手くやって行けそうなのですが。まあ、運命には逆らえないのですから、残念ですけれど…仕方がありませんわね。


樹さんに連れられてお店に入り、メニュー表を眺めながら、何にしようかと思案中です。あら、これも美味しそう。あらっ、それも食べてみたいわ。あらあら、あれも中々いいかも、という具合に迷っておりましたら、笑いを(こら)えた樹さんに、話し掛けられまして。


 「…くくっ。何も今日、全部食べる必要はないんだよ。()()()()()()()此処に来れば、食べられるのだからね。それよりも、『今日のおすすめメニュー』を食べた方が、いいんじゃないかな?…これは毎日変わる限定メニューだからね、今日を逃すと当分食べられないと思うよ。」

 「あっ!…確かに…そうですね?…樹さんが教えてくださらなければ、気が付きもしませんでしたわ。教えてくださって、ありがとうございます。」

 「どう致しまして。ルルが本心から喜んでくれる姿を見れて、俺も一緒に来れて良かったよ。」

 序盤に、ルルがヒロインになりたくない理由が、語られています。

その後は、樹さんのルートイベントが発生した模様でして。

但し、本来の乙女ゲームとは、イベントの内容も異なる予定です。

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