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婚約破棄する期間は、もう既に締め切りました!  作者: 無乃海
【前半】 乙女ゲームのフラグを折りたい…編
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第15話 隠しキャラルートの全貌

 今回は、ダブル主人公の麻衣沙視点となります。

ルルは…自宅謹慎中(?)なので、今回はお休みとなりました。

 我が家の使用人は優秀です。昨日の夜に頼んだばかりですのに、もう今日のお昼には、写真が届けられましたわ。そうですか…。このお人が、光条様なのですね。遠目の写真だけではなく、望遠で撮ったと思われるもの、近場で撮られたもの、横顔だけではなく正面からのお姿も,、バッチリと撮影されておりました。

後はエリさんに、ご確認していただきましょうか。


近日中にお会い出来ないか…とご連絡致しますと、「今からなら、大丈夫です。」とご返答いただき、今回は()()()()()()()出向きます。急なご連絡ですので、本日は彼女のお家に、お邪魔させていただくことになりましたわ。


自分専用の運転手の車で家の前まで移動し、チャイムを鳴らしますと、エリさんが出迎えてくださいました。彼女のお家は、一般家庭よりは大きいのでしょうが、割と小ぢんまりしており、常勤のお手伝いさんはいらっしゃらないそうですわ。

お祝い事などの際には、家事専門業者の家政婦さんを頼まれるそうですが、普段は彼女のお母様が、お料理をされていらっしゃるそうですのよ。母親の手料理には、わたくしも心惹かれますわね。我が家では、一切ございませんもの…。


昼間は、お母様がお留守だそうでして、彼女が紅茶を用意してくださいましたわ。彼女が落ち着いたところで、使用人が撮った光城様の写真を、お見せ致しまして。彼の顔写真だけではなく、彼が学校に提出されている家庭調査書を、拝見していただくことに致しましたの。彼女が確認される間は、ご用意してくださった紅茶とお菓子を、わたくしはのんびりといただいておりますのよ。エリさんは、真剣なお顔で拝見されておられますが。…あらっ?…このお菓子、美味しいですわねえ。


 「間違いないですわ、マイお姉様。『光城 徳樹さん』こそ、隠しキャラです。この写真を見て直ぐにピンと来ましたが、折角でしたのでしっかりと彼の家庭調査書も、確認したんです。この写真を見て思い出したのは、以前にお伝えした通りですけれど、追加で思い出した事項があるんです。ゲームの彼は単に家の事情から、チャラ男を演じているだけ、という真面目な人物でした。大学外でヒロインと出逢い、その時にヒロインに一目惚れをします。ヒロインが同じ大学の生徒だとは、彼が知らないうちは再会するまで、何のアクションもありません。大学内で彼と再会するのは至難の業でして、()()()()()()()ゲーム終了となることもありました。」


念の為に、彼の家庭調査書も調べさせておりましたが、エリさんがご参考になられて良かったですわ。お陰で、隠しキャラルートをしっかりと思い出されたようですし、わたくし達も隠しキャラの思わぬ情報が得られまして、超ラッキーですわね。ですが…隠しキャラルート、どれだけ難関なのですか!…最初の出逢いイベントが大学外とは…。その後の大学内での再会も、恐ろしく難易度が高いですわよね…。隠しキャラと出逢えても、攻略が…難解過ぎますわ……。


 「…なるほど。隠しキャラだけございまして、難易度が高いのですね?…彼の容姿が整い過ぎでしたので、隠しキャラだとは確信しておりましたけれど、やはり攻略されたお人の意見は、心強いですわ。まさか…ヒロインとの出逢いが、大学外とは思いませんでしたし…。()のヒロインにも…チャンスがございますのね?」

 「…う~ん。出逢いイベントが起こるのは、時期的には…本来ならば、疾うの昔に出逢っている筈ですが…。今は、そろそろ再会する頃ですね…。」


隠しキャラとの出逢いイベントは、既に終了しており、再会する時期だとしますならば、ルルが彼にお会いした時期が、気になります。ルル、貴方まさか…隠しキャラの攻略ルートに、入られておられませんわよね?…と、わたくしは嫌な予感に囚われます…。


 「昨日、ルルが…光城様を尾行されまして、彼にバレた挙句に…()()()()()()()()ですのよ…。」

 「……ええっ!?……ルルお姉様、光城さんを…尾行されたのですか?」

 「……ええ。翌日に、わたくしと確認する前に…お1人で…。」

 「…あちゃあ~。ルルお姉様、これは…やっちゃいましたね……。」


エリさんにルルの一件をご相談致しますと、彼女は額に片手を当てられながらも、苦笑されておられます。…ああ、本当に悪い予感…となりそうですわ。ルルとは長い付き合いですが、こればかりは樹さんにバレましても、わたくし…助けて差し上げられませんわよ…。どうして…こうなるのでしょうね…。…はあ~。


エリさんもこのルルの行動には、頭を抱えておられます。


 「ルルお姉様の婚約者である斎野宮さんが、お姉様を大切にされるお気持ちが、私も…何とな~く、分かったような気がしますわ…。」






    ****************************






 「隠しキャラには特定の婚約者はいませんけれど、実はルルお姉様は…場合により、彼のルートでの悪役令嬢にも、該当されるんです…。ゲームでは、ヒロインが進むルートによっては、ルルお姉様が出しゃばって来て、彼のルートにも登場する訳ですよ。ゲームのルルお姉様は、婚約者も気になるけど、隠しキャラにも好意を持つという設定が、一部ルートにより存在するんですよねえ…。」

 「………。…では、ルルが、彼と出会ってしまったのは………運命なの?」

 「そうですね。ある意味、ゲームの宿命…という気がします。ですが、現実には色々と設定が変化していますし、ルルお姉様が、ヒロインのハッピーエンドの仕打ちを受けられることは、ないと思いますけど…。」

 「それが…そうとも言い切れないのでしてよ…。隠しキャラルートでのハッピーエンドでは、ルルは…どうなりますの?」

 「え~と、ハッピーエンドは…。ルルお姉様が関わるルートでは、お姉様は没落しない代わりに、光城家に藤野花家が乗っ取られます。お姉様は、彼の下僕のような扱いを一生受ける、という形で終わります。ゲームのルルお姉様は、鼻をし折られた状態でしたねえ…。」


エリさんが語られるゲームの内容は、わたくしには…衝撃の連続ですわ。攻略状況によっては、隠しキャラルートでも、隠しキャラにも好意を抱くルルが、悪役令嬢として活躍すること、ハッピーエンドで完結すれば、家を乗っ取られたルルが、彼の下僕にされること…等々、製作者側の()()()()()()()()()を、感じてしまいましたわね…。


 「…なるほど。そういう結末ですか…。ルルが、光城様を…怖がりそうですわ。ですが、冗談でもそのような状況下になりますと、現実の樹さんならば、光城家を徹底的に潰しに掛かりそうですわ…。」

 「…まあ!ルルお姉様…王子様に、とっても愛されているのですね!!」

 「…ええ。そうですのよ。ゲームとは反対で、現実の樹さんは、とても腹黒なお人なのですわ。ゲームではヒロインが監禁されましたが、現実ではルルに対して、軟禁される可能性が高くて…。ルル次第では、ヤンデレに近付かれておられるご状態でして。ルルが全くご理解されておられませんし、将来的には本格的にヤンデレ化されそうなのですわ…。」

 「………。ルルお姉様…。恋愛に疎そうですものね…。ハッピーエンドになる前に、そういう意味では…バットエンド化しそうですね……。」


これが現実となれば、黙っておられないお人が、おられます…。樹さんは当然ですが、岬さんも案外とルルを気に入っておられますので、お2人で完膚なきまでに、光条家を叩き潰されることでしょう…。そうなれば、樹さんのヤンデレスイッチが()()()()()()()()でして…。絶対に…阻止しなければ、なりませんわね。


 「ゲームのお話に戻りますね。ヒロインと隠しキャラとの再会後は、他の攻略対象キャラをどのくらい攻略するか次第で、隠しキャラの攻略ルートも変化します。ハッキリ言って、相当に面倒ですよ。隠しキャラだけ攻略すれば良い、という手は通じませんので。ですけど、他のキャラの好意を上げ過ぎると、隠しキャラは攻略出来なくなり、反対に…他のキャラの好意が全くなくとも、隠しキャラの好意も…下がるんですよ。」


無茶苦茶…高度なテクニックが、必要でしてよ…。彼のヒロインでは、攻略不可でしょうね…。ゲームの製作者側の意図が、全く理解出来ませんわ。何を以てして、このような難易度のキャラ設定に…されたのでしょう?…他の乙女ゲームでの隠しキャラとは、比べ物にならない程に、厳しい設定だと言えますわね…。


ヒロインと光城様の再会時期と、ルルと光城様との出会い時期が被りますことに、何とも言えない…不思議な感覚が致します。悪い予感…という意味で。単なる偶然とは思えない気が致しますのは、わたくしだけの思い込みでは…ないようですが。エリさんも、何かを感じておられるのかしら?


 「あの…マイお姉様。最後の攻略対象と悪役令嬢を、探しているんですよね?…もし見つかったら、私も一緒にお会いしたも…良いですか?…私で良ければ、お姉様達のお力になりたいんです。」

 「ええ!勿論ですわ!わたくしからもお願いしようかと、思っておりましたところですわ。ぜひ、4人でお顔合わせに行きましょう。ルルも喜びましてよ。」


エリさんには感謝致しますわ。ルルを本気で心配してくださる親友が、またお1人増えましたもの。これで、樹さんが最悪の行動に出られましても、女性陣でタッグを組めますわ。ええ、軟禁など…させませんことよ!ルルは生涯、わたくし達の親友でしてよ!いざと言う時には、岬さんもこちら側に誑し込んででも、樹さんの行動を()()()()()()()()()()のよ。…ふふふふふっ。


そういうことですから…。ルル…貴方も早く、現実に気がついてくださいませね?

 麻衣沙と英里菜だけの対策会議です。

(実は、ルルは暴走の結果、麻衣沙から、自宅待機というお留守番をさせられています。…という設定でして、今回は登場しません。)


前回登場した、隠しキャラと思われる人物が、今回隠しキャラだと確定しました。

隠しキャラのルートの秘密も、今回明かされています。

ゲームでも面倒臭いキャラ…となってしまいました。

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