こんな力って……。
これからは妹→恵と書くことにしました。
ロッジがありました。
…ん?何でロッジなんだろう?まあ、いいか。
ちなみに、ロッジの大きさは木で作られた2階建てだ。
そして今、森の中にいる。葉と葉の間から優しい光が降り注いでいる。
「うわぁ〜、すごいね!お姉ちゃん」
「うん、すごいね」
さて、景色を十分に楽しんだあと件のロッジへと目を向ける。
「う〜ん…使ってもいいのかな、これ…?」
「いーんじゃない?看板にも書いてるし」
「へー、看板………」
ん?看板?あ、ホントだ。
家の前に看板が建てられている。
え〜と、なになに?
『このロッジはあなた達にプレゼントです。どうぞ遠慮なくお使いください。ウェスティア』
なんと…女神様からの贈り物らしい。
「じゃ、入ろうか恵」
「うん!」
恵は楽しそうに笑みを浮かべロッジの中へ入っていった。私もその後に続いて入る。
「おお、キレイ…」
「そうだねー…お姉ちゃん」
二人とも放心したように立ち尽くしていた。
内装は落ち着く色合いの木をふんだんに使われて、うまく日の光が入るように窓ガラスが付けられていた。
…このロッジいったい、いくらになるんだろう…そんなことを考えてしまうのも仕方のないことだと思う。
それから暫く二人で家の中を散策していると、「お姉ちゃーん!ちょっと来てー!!」と声がしたので向かってみる。
恵を見つけると、その隣に傷だらけの狼を見つけた。
「えっ!?どうしたのその子…」
「部屋を見たらいたの…どうしよう…」
う〜ん…まぁ、危害は加えてこなさそうだし…
「よし!応急手当をしよう。救急箱あったから取ってきて、その間に傷を見とくから」
そして「わかった!」と笑顔で返事をしつつ飛び出していく恵を見送ると、狼に話しかける。
「あなた…人の言葉が分かるのね?」
『何故そう思う?』
「…私の言葉にしっかり反応してるし、それに話掛けてるじゃない」
『確かに』
「何でそんなに傷だらけなの?」
『少し、ドジを踏んでしまってね』
「じゃあ、貴女は何者なの?」
『うーん、まあ、狼の神獣「神狼」よ』
「へーー……」
えっ!?神獣…って…なんで目の前にそんな大物がいるのよ……
おっと、恵が戻ってきた。
「お姉ちゃん!持ってきたよ!ハァッ…ハァッ…」
よほど急いできたのだろうか息が荒い。
「ありがと、あとは任せて」
そして手早く患部に手当てを施す。その間に、余程体力を使っていたのか神狼は眠ってしまった。
「んっ…とここをこうして、…よし!!」
「できたー?」
「うん、オッケーだよ。眠っちゃったしそっとしておこうか」
「うん!良かったぁ…」
ずっと不安そうにしていたが、私の知らせを聞いて安心したようだ…
良かった…。
「恵、外に出てスキルの実験をしよう」
「わかったー」
外に出て、まずは恵のスキルから確認する。
「じゃあ、恵。自然操作スキルを使ってみて」
「うん!わかった!やってみるねー」
恵は地面に向けて手をかざしスキルを発動させる。すると恵の前から植物が生えてきた。
…おお。すごいなぁこれは。
「出来たよ!お姉ちゃん!すごーい」
起きた現象に恵自身も驚いている。
「うん。ホントにすごいね!」
「次はお姉ちゃんの番だよ!!」
ゴクッ生唾を飲み込み…
「い…行くよ?」
そして、スキルを発動させる――――
シーーン…
――が何も起きない…。
「あれ?どうしたのかな…発動しない…」
うーん、何か条件があるのかな……
「まぁ、いつか出るって!お姉ちゃん」
「フフ、そうね♪今は気にしないわ」
恵からの言葉に少し元気になる。
「じゃ、家に戻ろうか」
「うん!」
―――――家に戻るとさっき手当てした狼…神狼がいた。
「おお、良くなったんだね。」
「わぁ〜〜〜♪元気になったんだね!良かった!!」
「ねぇ、貴女の名前は何ていうの?」
『そうねぇ、とりあえず「フェリス」とでも名乗っておくわ』
「わかった。フェリスね。」
フェリスと話していると恵が首を傾げてこちらを見ている。どうしたのかな…
「えっ?お姉ちゃん…誰と会話してるの?」
「えっ!?…もしかして…聞こえて…ない?」
「う…うん…」
『あぁ、言い忘れてたけど、その子には私の声は聞こえないのよ』
「えっホントに?恵…フェリスの言ってる事聞こえない?」
「うーん、聞こえない…けどーフェリスっていうんだね!よろしくね!私恵!」
「おっと、私は雫。よろしくね!」
『よろしくとメグミにも伝えてくれる?』
「恵、よろしくって」
恵はニコッと笑い
「うん!よろしくね!!」
そうして、私達は神狼と仲良くなったのだった……。
というか、久しぶりにお姉ちゃんの名前出ました。