正と負は対で…。
夜があける。朝日が窓を透かし、容赦なく瞼の奥に届く。
「ん…」
体を起こしながら、重い瞼を持ち上げる。
「ふぁぁ〜。朝か…」
少し身体が重い気もするけど起きよう。
ベッドから降りて着替える。昨日買った服に。
身だしなみを整えて、一息つく。
……そろそろ起こそうかな。
と涎を垂らして寝ている恵と、大の字で寝ているフェリスを見る。
「恵、フェリス。朝だよ、起きて」
声をかけて肩をゆする。
「んぅ〜…」
「んぁー、……。ふぁ〜ぁあ。……おはよう、雫」
恵がまだ寝ている。
「恵ー、起きないと、朝ごはん食べちゃうよー」
そう言った瞬間ーー
「朝ごはん!!!!!」
ガバッと勢いよく起き上がってきた。
「…おはよ!お姉ちゃん」
「う…うん、おはよ」
少し辺を見渡して、恵がおはようと言う。その勢いの差に戸惑いながらも挨拶を返す。
「じゃあ、着替えてご飯行こう?」
「うん!」
―――――
「はぁ〜、おいしかった〜」
「そうね〜」
恵とフェリスが満足そうにしながら、椅子に腰掛けている。
「そうだね。……あ、今日はどうする?」
特に予定を決めていない事を思い出す。
「観光しよう!」
恵が目を輝かせていた。
「観光かぁ…」
「へぇ〜いいわね」
「…わかった、行こうか」
そうして街に来て2日目。観光します。
???side
うす暗い部屋の中、二人の男が話をしている。
「おい、アレはどうだ?」
「ああ、順調だ」
「よし…。」
何かを確認した男は薄っすらと顔を歪めていた。
「……もうすぐ…だな…」
「ああ……決行は明日だ。」
二人して気味の悪い笑みを浮かべていた。
雫side
「ッ……」
痛い…足元に飛んできた石があたった。
「だいじょうぶ?」
恵が心配そうな表情で聞いてくる。
「大丈夫だよ、ありがと」
「そう?」
「ちょっと見せてみなさい」
フェリスが足を出すように言ってきた。
おずおずと出すと…
「あら、これは……」
「大丈夫だよ、このくらい」
軽く言うが結構痛い。鋭利な部分が当たって、少し抉れている。血も出ているので余計に。
「もう、しょうが無いわね」
そう言って、フェリスが右手を足にかざすと、右手が光ったと思うと痛みが引いていた。
傷口を見ると、跡形もなくなっていた。
「ほい、完了よ」
「……すごい…すごい!今の何?」
「え?…ああ、治癒魔法よ」
「へぇ〜、すごいなぁ。私にもできる?」
「多分できるわよ、帰ったら教えたげる」
「私も教えてー!!」
と、一部を見守っていた恵が教えを乞う。
「じゃあ、一緒に教わろっか」と言うと、元気に返事が帰ってきた。
「そろそろ、日も暮れてきたし宿に帰ろっか」
「え〜〜、もう〜?」
「帰るよ。暗くなったら危ないし」
「……はぁ〜い」
渋々といった様子で恵は返事をする。
それから宿への帰路につく。
赤い夕焼けが綺麗だ。不吉なほどに。
宿に着く。同じ代金を支払い、夕飯を食べる。
部屋に入る。その時には外は暗くなっていた。
窓から月明かりが降り注ぐ。
私達は、ベッドに入る…。
……さぁぁぁ。夜風に晒された木の葉と葉が擦れ合う音が聞こえてくる。
そこで、意識を手放した…。
―――――朝かぁ…
「ふぁぁ〜」眠たいが、体を起こして伸びをする。朝の支度を終え、恵達を起こす。
「んぅ……。……おはよ〜お姉ちゃん」
「はぁ〜〜あ。…おはよう、雫」
二人に「おはよ」と返して窓を開ける。
気持ちのいい風が入ってくる。天気もいい。
「ほらほら、二人とも。支度してよ」
「「はぁ〜い」」
二人の気の抜けるような返事が聞こえた。
――恵達も支度を終えたので、今日の計画を話す。
「じゃあ、今日は主に―――――」
と話し始めたとき、門の方から爆発音と、鐘の音が聞こえる。
「きゃっっ!」
恵が突然の事態に驚いているが、今は気にしている余裕はない。
「恵!フェリス!行こう!」
「う、うん!」
「わかったわ」
急いで外に出る。多くの人が、街の中心…領主の屋敷を目指していた。
「いったい…なにが…」
「オイッ!!あんたらも早く逃げろ!魔物の大群だ!!」
避難している途中のおじさんが、教えてくれる。
…魔物の大群…?
「お姉ちゃんッ!」
「はっ、…わたしたちも急ごう」
そして、領主の屋敷についた。ひとまず安心だろう。
私達の他にもたくさんの人が避難してきている。
…ん?あの人は…誰だろ…。
「皆のもの!!よく聞け!私はこの街、ルーデリアの領主、ロデアス・ルーデリアである!」
なんと、領主様だった。厳格そうな見た目と声。年は50代くらいに見える。筋肉が程よくついているのが服の上からでも分かった。
「今、この街は魔物の大群に襲撃されている!まだ、我が領の兵士たちで対応できているが、限界が近い。この中に冒険者がいると思う。そこで、緊急依頼を受注する!報酬は金貨3枚だ。魔物の素材は狩った者が自由にしていい!…健闘を祈る!」
そこで話は終わった。
「どうなるの?お姉ちゃん…」
恵が不安そうな顔で聞いてくる。
「大丈夫だよ。私が守るから。」
「私もいるわよ」
私とフェリスの言葉に一瞬目を丸くしたあと、笑顔で頷いた。
「うん!」
街の名前はルーデリア




