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3.イケメンズルい

二人の間に気まずい沈黙が落ちる。


(くそぅ…このいたたまれない空気、どうしろっていうんだよ…!)


俺達は暫く無言で下を向いていた。

『川井 春華』

確か、前世のクラスメートで、 仲が良い二人の友達と楽しそうに三人でつるんでるところを見たことがあるな。

ちなみに、その中の一人が前世の俺の片思いの相手だったりする。

あんなことになるんなら、告白でもしておけば良かったなぁって生まれ変わった後に何度も思ったっけ…。

まぁ、そのおかげ?で彼女の事も覚えてたし、結果オーライ?ん?何か違う?


とりあえず、この沈黙をなんとかしなければ。


「びっ美形でよかったな?」

「良くないわよ!!!」


秒で怒られた。

いや、その気持ちもわかるけれども。


「もうちょっと、なんかないわけ?何よその慰めかた!?

何で男の身体に生まれ変わるのよ!?普通、こういう時は前世引き継いで女じゃないの??絶対に間違ってる!!」

「いや、ごめん。ちょっと落ち着けって…」

「なによ!澄ました顔してるけど、あなただって性別逆転してるじゃない!私と同族なんだからね!?可愛い顔して男口調で『俺』って行ってるの、違和感半端ないんだから!!」

「……」


そう、俺も彼女と同じく、前世と性別が変わっている。

今の俺はランバーソン伯爵家の長女、アメリア・ランバーソン伯爵令嬢として生きている。

母親譲りの少し黒ずんだ赤毛のストレートヘアに、こちらは父親譲りのピンクの瞳、若干目付きはきついが、顔はまあまあ整っていると思う。両親が美形だしね。チャームポイントは右目の下にある泣き黒子かな。

初めて自分の身体を確認した時はビックリしすぎて大泣きしてしまい、メイドや両親をかなり心配させてしまった。

中身は高校生のつもりでも、身体が小さいと精神も引きずられるんだな。あんなに泣き崩れるとは、自分でもドン引きだよ。

泣き止んだ後は、顔から火が出るかと思うくらい恥ずかしかった…。

よって、彼女の境遇は全くもって笑えない。むしろ、気持ちは痛すぎるくらいよく分かる。

だからって、そんなにはっきり言わなくても良いじゃないか。

ちょっと君、テンション上がってるにしても、デリカシー無さすぎない?泣くよ?


俺は自分を落ち着ける為にも、テーブルの上の紅茶に手を伸ばした。

紅茶はずいぶん冷えていたが、猫舌の俺にはちょうど良い。

一口飲んで、カップを戻す。

よし!!


「そっちこそ、女口調でしゃべってるじゃねーか!端から見たらオネェだからな!?」


冷静になれませんでした。

きっと、精神が肉体に引きずられてるせいです。決して俺が元々器が小さいとかじゃないです。断じて。


「なっなっなんですって~~~!!!」


彼女…現世ルーカスは顔を真っ赤にして眉をつり上げていき…急にへにょんと下がった。


(あ、ヤバい…!!)


「そんな事、私が一番分かってるわよぅ…。」


そう言うと、アメジストの瞳からポロポロと涙を流しうつ向いてしまった。

やっちまった…そういえば、相手も俺と同じ6歳の子供だもんな。

しかも、中身は女の子なのに泣かせるなんて、男としてダメだろ。今のお前は女だろって突っ込みは無しだ。


「ごめん、悪かった。言い過ぎたよ。」


そう言いながら、ポケットから取り出したハンカチをルーカスに差し出す。

少しの間ハンカチを見つめたルーカスは、おずおずと受け取ってくれた。


「…こっちこそ、無神経なこと言ってごめんなさい。」

「いや、いきなりこんな形で仲間に会えるなんて思わないよな。混乱してうっかり色々言っちゃうのは、しょうがないよ。」

「ありがとう。そう言ってもらえると、助かる。」


涙が止まってきたらしいルーカスと目が合う。

その瞬間、ドキッとした。

まだ少し濡れた瞳、恥ずかしさのためかうっすらピンクを帯びた頬、そして上目遣いにかむような笑顔で見つめられたら、いくら中身男の俺でもちょっとときめいてしまう。

くそぅ、これだからイケメンはズルい。

男にときめくなんて屈辱だが、ルーカスは中身女の子だからセーフ。ノーカンだ、ノーカン。


「そういえば、小説の物語がどうとか言ってたけど、どういうこと?」


そうだった。ここからが話の本番…!

俺が口を開こうとした時、部屋にノックの音が聞こえてきた。


「ルーカス、アメリア嬢。入ってもいいかな?」


ルーカスの父親、ロベルト・ベルワイト侯爵がいらっしゃったみたいだ。


(今回はここまでか…。)


とりあえず、ルーカスが仲間になってくれそうなので、良しとしよう。

次はいつ会えるかな?

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