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2.すみません、俺が引きました。

そこまで話してから、俺は相手の目をじっと見つめた。


先程までの話は、全く言葉を挟むことなく聞いてくれている。

真剣に聞いてくれてるのか、もしくは余りにも馬鹿馬鹿しい話で呆気に取られてるのか…それが知りたかったからだ。

この先の話をするかは、相手の反応次第にしようと思っている。


向かい側に座る相手…ハニーブロンドの柔らかそうなふわふわの髪に、同じくハニーブロンドの長いまつげに縁取られたアメジストの瞳、鼻筋はスッとしてそのしたの血色の良い唇は驚きの為か薄く開いている。そんな将来イケメンになるだろう少年は、その大きな瞳でじっと俺を見つめ返している。


(くっそ、まじでイケメンだな。今はまだ幼いから可愛いが勝ってるけど、将来絶対モテモテ間違いなしじゃん。羨まし…じゃなくて!どっちだ?頭がいかれてると思われたか?それなら、冗談ですって誤魔化すか…でも、信じて貰えたら、これからの計画がやりやすくなるんだけどなぁ…)


そんな事を考えながら見つめていると、漸く相手が口を開いた。


「もしかして、常願高校?」


…………は?

いや、ちょっ…ちょっと待て。

何で、何でお前……


「何で俺の高校名知ってんの!?」


あ、そういえば全然敬語つかってないわ。

前世の話をしなきゃってテンパり過ぎて、基本的なことすっぽぬけてたわ。

ビックリしすぎて、逆にちょっと冷静になってきた俺は、そんな今さらな事を考える余裕が出てきた。

いくら子供だからって、階級が上の人にここまでため口はダメだろ自分。本当、今さらだけど。


「やっぱり!誰!?名前は!?」


あ、気にしてないっぽい?じゃあ、良いのか?

とりあえず、このままの口調で話しとこう。

今さら変えても何かアレだし…。


「いやいや!まずはこっちの質問に答えてくんない?」

「私もなの!!」

「え??」

「私もその飛行機に乗ってたの!!私も常願高校の生徒だったのよ!!!」


(まじか…!)


今度はこっちが口を開けて固まる番だった。

まさか、相手まで転生者だとは思わなかったからだ。


(え?まじでそんなのあり得る?でも、高校名は合ってるし、嘘をついてる感じはない…よな?…ん?あれ?そういえば、何かちょっと違和感が…??)


「もう!!こっちは答えたんだから、そっちも答えなさいよ!!名前は!?」


ポカンとしていたら、相手がしびれを切らしたらしい。

イライラ…いや、ソワソワかな?そんな様子で、ソファーから腰を浮かしこちらに身を乗り出していた。


「あぁ、ごめん。前世の名前は山本 明だよ。」

「山本…明?…あぁ!山本くん!山本くんかぁ!あの、何でも平均的、可もなく不可もなくな山本くんね!?」

「いや、確かにそうだけど、本人目の前にそれ言う?普通?」


確かに、目立たないまるでモブのような人間だった自覚はあるが、大抵の奴は皆モブみたいなもんじゃん?その方が都合が良いときもあるし。


「ごめん、ごめん。まさか同じ境遇の人に会えるなんて思ってなかったから…しかも、婚約者としてなんて。」

「本当にそうだよなぁ。俺もマジでびびったわ。」

「これはもう、奇跡としか言いようがないよね!」

「それは言い過ぎ…とは言えないか?」

「そうだよ。この記憶を持ったまま、どうやって婚約者と接したらいいのかって、かなり悩んでたんだから!でも、山本くんだって分かって本当に安心したよ。話してくれて、ありがとう。」

「それは良かった…ん?」

「どうしたの?」


ここまで話していて、さっきから気になっていた違和感がなんなのか、薄々気が付いてきた。

神様よ…これはあんまりじゃないか?

何がどうして、こんなややこしいことしてくれたん?思わず関西弁が出ちゃったじゃないか。

俺は意を決して、相手…ベルワイト侯爵の息子、ルーカス・ベルワイト卿に問いかけた。


「ちなみに、君の前世の名前は?」


暫しの沈黙の後、彼…いや、彼女は小さな声で呟いた。


「………川井 春華」


やっぱりかあぁぁあぁぁぁ!!!



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