ギガ! モフモフインフェクション!
モフモフ、それは至高の財。
モフモフ、それは溢れ出る生命の奔流。
モフモフ、それは熱いエナジー。
迸れパトス! 爆ぜろシナプス!!
燃え尽きる程ヒィィィト!!
「行けよランプ。空へ舞い上がれ!!」
その声に応えたのは鳥のようなシルエット。
それは鶯か?……否。
それはハチドリか?……否ッ!!
「あれはまさか……蛾なのか!?」
「その通り、蛾だ」
グライダーのような羽根、エビのような尾を持ち、その身体は鶯色のモフモフに覆われている。
これがランプのーーモフモフの持つ可能性の具現化。
「キュイ!!」
名前はよく分からないが、きっと蛾だ。多分、メイビー。
「はっ、飛んだからどうした!! 生意気な蛾を打ち落とせ!!」
ブラッククローの攻撃が迫るがランプは避けようともしない。
見えていない? ーー否ッ!!
こうなったランプにさ最早避ける必要すら無いのだ!!
ブラッククローの爪はモフモフによってその衝撃を吸収され、驚異の反発力によって押し返される。
至高のモフモフは天然の鎧となりあらゆる攻撃を無効化し、この世全てのモフラーを魅力する。
「そんな訳あるか!?」
「あるんだよ。それがモフモフだ。モフモフの真髄を理解出来なかった事、それがお前の敗因だ」
「そんな間抜けな敗因があるかッ!!」
全身がモフモフの悦楽を感じている。
そしてそのモフモフの悦楽はやがてランプへと集結し、モフモフエネルギーに変換される。
「毬藻になってから出直して来いッ!!行くぞランプッ!!」
「キュイィィッ!!」
ランプのモフモフエネルギーが高まりーーそれは一条の光へと変わる。
「ギガァァァ、モフモフゥゥゥ」
「インフェクションッ!!」
ランプの口吻から放たれた光はモブ君とブラッククローを包むと霧消した。
「たかが目眩し! どうと言う事はーー」
「気付かないのか?ーーお前ら、モフモフになってるからな?」
モフモフエネルギーを受けたものはモフモフになる。
つまり、ブラッククローは羽毛が多過ぎて行動不能。モブ君の頭皮ももれなくフッサフサだ。
「負けた、だと!?」
「やったぜ、第三部完ッ!!」
僕はこうして大勝利した訳だ。めでたしめでたし。
♪ ♪ ♪
「うひょぉぉお!! この手触り!! このキューティクル!! 押せば押し返してくるし撫でればフカフカ!! 文句なし!! 最高のモフリティーだ!!」
僕はランプを沢山モフモフした。
ランプも何だかくすぐったそうにしている。……と言うか最近ランプの表情が豊か過ぎるんだよなぁ。
手触りはシルキー、つぶらな瞳はアイドル級、だったか。
「ま、転生爺さんに一言、これだけは言いたいんだけどさ」
僕はこれまで苦労を想い、思い切り息を吸い込んだ。
初日にゲロを吐かれ、大量の雑草を集める羽目になり、フンの処理やら何やらかんやら。
相当酷い目に遭ったものだと。
結局の所、割に合っているが転生チートとしてはいかがなものだろうかと。
そして叫んだ。
「いや、確かにモフモフだけどさぁ!!」