敗北必至!!
そして、僕とランプはモンスターバトルの日を迎えた。……迎えてしまった。
「ランプ……マジで行くか?」
「キュイ」
『勿論』、だそうだ。
だけども。現状、めちゃくちゃ不味い事になっているのを僕は知っている。
モンスターバトルは文字通りクラスのメンバーの従魔との対戦となり、その戦績が成績に直結する。
……ことモフモフについてにのみ熱血を注いだ僕だ。クラスのモフモフのスペック、モフモフ度合いは当然全て把握済みだ。
その上ではっきりと断言出来る。
ランプは絶対勝てない。
例えばラインハルトのシルバーならランプがノソノソと移動している間に噛み付かれて負ける。いや、噛み付かなくても前足で踏み付けるだけでカタがついてしまうかもしれない。
それにランプの天敵となる鳥類のモンスターを持っているクラスメイトは多い。
周りはランプの天敵だらけなのに加えてランプの性格自体が戦闘に向かない。
「……」
負けると、傷付くと分かりきっているのにランプをバトルに出すのは気が引けるどころの話では無い。
特に俺の愛するモフモフがランプを襲うのは……嫌だ。
おかしなものだ。少し前までは毛嫌いしていたと言うのに今ではモフモフと同じくらいランプの事が好きだ。大好きだ。超好きだ。
……だからこそ、辛くて堪らない。
「キュイィィ!!」
でも、ランプは僕の為ならと、そう奮い立つんだ。
……僕はこんな悲しい勇気を初めて見たよ。全く……。
♪ ♪ ♪
僕は抽選の結果、鳥類のモンスターとの戦いが確定した。
……ラインハルトと当たったら一撃軽い攻撃をしてもらって早々に棄権するつもりだった。
だけどもラインハルト以外のモブ君だと成績の為とガチめに仕掛けてくる可能性が高い。と言うか絶対そうなる。
ランプが弱いのは誰の目からも明白だし、狙わない理由がない。
モブ君たちにとって僕たちは、当たりくじな訳だ。
「おっと俺が当たりくじを引いたか。こりゃあ運が良い」
棄権の二文字が脳裏を掠める。
ただ……棄権と言うのは酷くシビアなシステムで、棄権を受理するかしないかは相手に選択権がある。つまり、棄権を受け入れずにオーバーキル……最悪死亡させる事も可能。
この学校は現場で活躍出来る人材を育成する事をモットーにしているだけあってルールもなるべくリアルに近付けている。故に、ここでランプが死んでしまう可能性は……高い。
「ランプ……」
「キュイ!」
だけどランプはそんな事を知らない。
毎日ノソノソと這って、大人しく、穏やかな性格を送っているランプはそれを知るよしもない。
「君のキモいイモムシ……食い殺してやるよ!!」
モブ君の従魔はブラッククロー。
カラスを巨大化させたような、モンスターだ。羽毛はモフモフと言うよりはゴワゴワしていて明らかに強そうだ。
「やる気だ……クソッ!」
モフモフとは言えランプに危害を加えるのは看過出来ない。
とは言え対抗手段など、ある訳が無い。
「モンスターバトル開始の宣言をしろ!」
「バトル開始ッ!!」
ああもう、ネタが来ても状況が悪過ぎて全然笑えないなぁ!!