うちの子は最高だ!!
僕はそれから毎日毎日餌になる雑草を摘み続けた。その結果ーー。
「随分と大きくなったなランプ」
なんか、全長が成人男性程まで成長した。
「キュイィィ!!」
ランプは『凄いでしょ』とでも言うかのように頭部を持ち上げた。
あ、因みにランプはこのイモムシの名前だ。可愛い名前にしてやろうと一晩唸る羽目になったのは苦い思い出だ。
名前の由来は地球の『芋虫』の作者の江戸川乱歩からだ。僕がエドワードだから『エド』被りしてしまうので『ランポ』が残り、ランポよりもランプの方が可愛いとなってランプとなった。
二文字しか原型を留めていないのはご愛嬌だ。
「慣れると可愛いもんだよなーうりうり」
人差し指で腹部をツンツンするとむにぃと、弾力のある肉が指を押し返してくる。
ただ、調子に乗ってツンツンし過ぎるとストレスを感じて吐いてしまうから注意が必要だ。加減が難しくて二回ほど吐かせてしまったことがある。
あの時は罪悪感がヤバかった。
♪ ♪ ♪
「でなー、俺が小屋から出ようとするとランプが肩辺りに足乗せて『行っちゃやだー』ってやってくんの!! もうめちゃくちゃ可愛くてさ!!」
朝、僕はいつも通りラインハルトとモフモフ談義をしていた。話題はもっぱらランプが可愛い事について。
ランプは名誉モフモフ民だからセーフだ。一応身体には産毛みたいなのが生えてるしモフモフ出来る。
「なあエドワード。最近ずっとランプの話しかしてないよな。他のモフモフの話もしないか?」
「おう、確かにな。ただいかんせんランプが可愛いくてな……」
「と言うか、お前餌やりだけしかやってないのか? テストも近いしモンスターバトルの練習とかもしないと落単だぞ」
「うっ」
モンスターバトルは文字通りモンスター同士で闘わせることを指す。
尚養成学校では必須科目であり、一定以上の戦績を上げなければ進級が危うくなるんだけど……。
ランプ、戦えるのか? 何だか無理ゲーの匂いがプンプンするぜ。
♪ ♪ ♪
「ってな訳でーーランプは戦えるか?」
「キュィィ……」
ランプにそう尋ねると身体を器用に丸めて『戦いはいやー』と反戦の意思を示した。
うーむ、可愛いのだけど少し困る。落単してしまうとモンスターテイマーとしてはかなり痛いところではあるからなぁ。
「でもそうしてくれないと僕も困るんだよ。僕もランプを戦わせたくないけどこればっかりは……」
「キュイ、キュイ!!」
尻尾のツンツンを持ち上げるとそう鳴いた。『ご主人が困るなら頑張る!!』と言っているのだろうか。
「良いのか……? 戦うんだぞ? また吐くかも知れないのに?」
「キュイッ!!」
じいっと、熱のこもった視線を感じる。
ランプはやる気のようだ。
「ランプ……控えめに言ってお前最高だな」
「キュッ!! キュウ!!」
『任せてよ!! ご主人!!』だそうだ。
至高のモフリティとかは最早関係ない。非モフモフでも構いやしない。
俺のランプは最高だ!!