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モフモフじゃ無いじゃん!!

 と言う訳で十年後。今まで何やかんやあってモンスターテイマー養成学校に入学したがそこら辺は蛇足なのでキングクリムゾン。

 そして本日、僕は晴れてモンスターテイマーになる為の第一歩、即ち従魔召喚に挑む運びとなったのだ。


 だがここでモフモフ可愛いが来ることは僕にとっては確定事項。おまけに他に追随を許さない飛行性能を有し、耐久もこなせる万能っぷりを見せる僕だけの従魔。

 ワクワクが止まらない!!


「来たれ、僕の生涯に付き従う清廉なる従魔よ!!」


 そう詠唱すると足元の魔法陣が発光し、四方八方に暴風が吹き始めた。

 モブも何だか『凄いの来るんじゃね?』的な視線を魔法陣に向けている。


 やっぱり鳥類か?


 それとも異世界特有の新生物とかか?


 もしかして幻獣や神獣の類いか?


 ややあって、光が収まるとその場には……ん?


「え、緑色したゴールデンレートリバーのう●こ?」


 ……があった。

 全然、モフモフじゃなかった。

 モブ達も『もしかしなくても只のイモムシじゃね?』とヒソヒソと囁き合っている。


 イモムシ!?


「嘘だろ、モフモフ。……モフリティが、無い?」


 現実逃避をしていると、暫定イモムシはノソノソと動き出し……なんか緑色の物体を吐き出したのを見て僕は卒倒した。



♪ ♪ ♪



「ふぅ、酷い夢を見た」


 僕ことエドワード・レインワーズは医務室のベッドの中で目覚めるとそう呟いた。

 確か今日は従魔召喚の日だった気がする。モフモフ可愛い確定ガチャだ。

 億が一にも僕がイモムシを召喚する訳が無いのだよ。分かるね?


 ふと、何かがこちらを見つめているような気がして横を向くとーーヤツがいた。

 そう、イモムシだ。


「びぇぇぇぇっ!!」


「キュゥゥゥ!!」


 僕が絶叫すると嫌がらせのようにまた緑色の物体を噴出して来る。

 何なのコイツ!? 正直触れないんだけど!!


「どうかしたんですか!!」


 医務室の先生が大急ぎで僕のところに来た。ベッドは緑色に染まっていて、とんでもない事になっている。


「助けて下さい!! 何か、イモムシがッ!!」


「あらあら……また吐いちゃったの」


「何でそんな落ち着いてるんです!? 毒とか無いですよね!?」


 僕がそう言うと医務室の先生は呆れたようにため息を吐いた。


「従魔が主人に毒を吐く訳無いじゃない……」


 それもそうだった。思考がとっ散らかってたから思い至らなかったが従魔は文字通り主人に付き従う者。主人に仇なす事は決して出来ないのだったか。


「いや、でもどう考えても俺に向かって吐いてるんですけどコイツ俺の事嫌い過ぎませんか!?」


 毒では無いので一安心だが、だからと言って不潔過ぎる。

 転生爺さんめ、モフモフでも無いし可愛くも無いものを選びよってからに……。


「それ、ただ貴方がその子を怖がらせたからでしょ?」


 そう言うと医務室の先生はテキパキと慣れた手付きでシーツを変え始めた。


「その子はとっても臆病なモンスターなの。毒も無いし、大人しいけど、逆に怖がらせると直ぐに吐いちゃうんだから」


「怖がる? コイツが?」


 僕の隣で堂々と鎮座しているイモムシを眺める。緑色の頭部は何かエイリアンみたいで不気味だ。却って僕の方がビビって吐きそうだ。


「それに貴方が倒れてからずっと隣に居たんだからとっても主人想いの良い子よ。妙な勘違いは可愛そうだから止めなさいね」


 ずっと隣にいたと聞いて顔に青筋が走るのが分かった。

 僕がこのイモムシとずっと一緒!!

 あと、主人想いって言ってから心なしかイモムシが身体をくねらせて照れを表現してる気がするんだけど。その動作がめちゃくちゃキモい!!


「……善処します」


 こうして僕の地獄の日々が始まった。


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