至高のモフリティを求めて
唐突だが、僕は事故で死んでしまった。
例によって例の如くトラックだったから詳しくは割愛する。まるで流れ作業のように死んで、神様こと転生爺さんと面会を果たした訳だ。
「で、転生先に何か要求はあるかの? 冒険したい、とかそんな感じの」
「モフモフな生物と戯れたいです」
即決だった。
僕はモフモフが好きだ。けど、悲しいかな動物関連のアレルギーが異様に多く、モフモフを飼う事が出来ず、モフモフ出来なかった。
モフモフしたい。モフモフに包まれたい。モフモフに癒されたい。俺の食指の動くような飛びっきりのモフリティに出会いたい。そんな欲求が日々募っていたのだ。
……因みにモフリティって何だよって突っ込みは受け付けない。モフリティは考えるのでは無く感じるものだからその問いは不粋極まり無い。取り敢えずモフモフしてから出直して欲しい。
兎にも角にもモフモフの新しい境地。それを僕は知りたい。何ならモフモフしていれば羽毛でも良い。鳥類は顔が怖いから敬遠していたけど、異世界のモフモフ可愛い鳥類がいるならそれで構わない。と言うかウェルカム。
「うむ、其方の徳だと……このベーシックなゲーム風異世界じゃな」
やったぜ! 第三部完!!
と言うか、ベーシックなゲーム風異世界ってワード、何気に頭おかしい気がするのは僕だけだろうか?
「この世界には当たり前のように冒険者が存在する。その中でもモンスターテイマーと言うジョブがあるのじゃ。それなら其方の願いも叶うじゃろう」
モンスターテイマー!! これは素晴らしい!!
ところで転生爺さんすら冒険者とか、ジョブとか、モンスターテイマーとか言うのって何だか世も末な気がする。
あ、これさっきも言ったな。
「ではチートの方じゃが……特別なモンスターで良いかの?」
「是非に!! 新世界のモフリティを俺に下さい!!」
ふむ、と転生爺さんは考え込んだ。
ややあってからそうじゃ!と奇声を上げた。
「なら、育成に時間ととんでもない労力が必要じゃけど、代わりに他の追随を許さない飛行性能と耐久性を誇る最強のモンスターがいるのじゃが、どうかの?」
飛行性能と言うとやはり鳥だろうか。
まぁ確かに強いに越した事は無いが、僕の目的は断じて最強などでは無い。
あくまでもモフモフが目的なのだよ。強くてもモフモフしてなければ意味が無い。あと、可愛さも必須。
「……モフモフ可愛いですか?」
そう言うと転生爺さんは不自然な程ニッコリと微笑んだ。
「至上のモフモフじゃ、その手触りはシルクにも劣るまい。そしてつぶらな瞳は最早アイドル級じゃ!! ただ、さっきも言ったがそうなるまでにはかなり掛かるのが難点じゃがの」
シルクと聞いて喉が鳴った。
ああ、シルク。それはモフモフを比喩する場合の最高到達地点。
ほら、ラノベとかでヒロインの髪を『シルクもかくやと言うほど〜〜』とか、『シルクも羨むような〜〜』とか言うだろう?あ、あとシルキーとも言うな。
要するに、シルクにも引けを取らないのであれば俺も納得の行くモフリティを備えているのは明白。
そしてつぶらな瞳はアイドル級!!
「それでお願いします!!」
♪ ♪ ♪
この時僕はとんでもない失敗をやらかしていた。一つは転生爺さんの不自然な程の笑みの理由を考えなかった事。そしてもう一つは長い育成期間について何の疑問も抱かなかった事。
そのせいで転生して十年後、僕は初のモンスター召喚でとんでもない地獄を見ることになったのだ。




