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睦月と萌  作者: 乙 君
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第5話 「白血病」

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よろしくお願いします

「誰かっ、救急車を、救急車を呼んで」



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「お父さん、睦っちどうなるの?」


『わからん、朝は元気だったよな?』


「うん」


救急車の中には、私とお父さん、睦月の担任の先生が乗っている。



病院に着いて、動くベッド(ストレッチャー)で運ばれていく。


集中治療室だ。



しばらくして、お母さんと弟の大地がやってきた。


お母さんがお父さんに問いかけるが、お父さんは、首を横に振るだけだった。



もう17時、演奏会は無事に終わっただろうか?


部員たちは全員、睦っちが意識を取り戻すまでは、病院に行かないように言われているらしい。


俊介も来られないの?



お父さんとお母さんが診察室に呼ばれた。


しばらくしてから、お父さんから私と大地も部屋へ入るようにと呼ばれた。


担任の先生は、学校に戻ることになった。



病院の先生がおもむろに、


『では、お父さん、お話ししてよろしいですね?』


『はい、お願いします』


お母さんは、ハンカチで涙を拭ってる。


『お嬢さんの、睦月さんの病名は、【急性骨髄性白血病】と言います。いわゆる【白血病】です。』


『それで、娘は、睦月は、どうなるんですか?』


『骨髄液が適合したドナーが現れれば完治も可能です。ですがドナーが現れなければ、もって3ヶ月、およそ余命1ヶ月とお考えください』



お父さんはじっと自分の手を見ている。


お母さんは泣きながら、ずっと顔を伏せている。


大地は、どうしたらいいのかわからない感じだ。


私も、何も考えられない。



『お嬢さんは頑張りすぎました』


『おそらくこの数ヶ月、貧血やめまい、頭痛に吐き気と非常に苦しんでいたはずです』


『今日がコンサートだったと聞きました。

お嬢さんは今日この日まで、誰にも気づかれないように、我慢していたのでしょう』



『これより抗ガン治療を行います。ご家族のご協力が必要です。よろしくお願いします』



『早速で申し訳ないのですが、骨髄バンクについて、説明させてください。時間がないのです。特に姉妹兄弟、親、親戚の順で適合の割合が高くなります。そして、』



『先生、ICUの患者さんが』



『いま行く』


『ご家族の方は?』


お医者さんの目とあった。


『白衣に着替えて、入ってもらいなさい』



ICUでは、何台かの装置がピーピー音を立てている。



睦っちをみると、薄っすらと目を開いた。


「睦っち」私は叫んだ。



睦っちは、こっちに顔を向けて、何かを言っているようだった。


「何?何が言いたいの?」



先生が、近くまで寄ることを許してくれた。



「睦っち」


『えんそう、かい』


「うん、睦っち頑張ったよね、大成功だったよ」


『ありが、とう』



それが、私のお姉ちゃん、睦月、の最後の言葉だった。



享年14の早すぎる人生だった。

おちゃらけ神さままで行けませんでした

次回こそ、ファンタジーへ

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