第11話 「幼馴染みから」
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2時間経った。
睦月と萌は元に入れ替わった。
今日のピアノコンチェルトの練習時間が終わった。
この後は、高等部の練習時間だ。
「ねぇ俊介、この後時間ある?」
『ああ、あるぞ。それよりお前、だいぶ練習したんだな。睦月と同じ演奏が出来てたぞ』
『萌先輩、ピアノ、とっても良かったです』
名前のわからない後輩から褒められた。
〈萌、お礼、お礼〉
「あ、ありがとうね」
弾いていたのは睦っちなんだけどね。
あとオケの後輩の名前、まだ覚えてないや。
〈ふふ、萌らしいわね〉
ねぇ睦っち、アンナさんと話せるかな?
〈えっ、大丈夫だと思うけど、どんな内容?〉
失敗したんだから、もっと譲歩してもらわなくちゃ。
〈ちょっと聞いてくるわね。夕ご飯までには戻るわ〉
そう言うと、睦っちが飛んで行き、壁をすり抜けていった。
意外とホラー味もあるわね。
『萌、帰り支度終わったぞ。何だ用事って』
「帰り道、歩きながら話そう」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「俊介と帰るのって久しぶりね」
『そうだな、その時にはいつも睦月もいたな』
「そうね、ねぇ俊介、明日ヒマ?」
『なんの予定もないけど』
「なら、遊園地に一緒に行こう!」
『えっ』
「睦っちと約束してたんだ。学祭が終わったら、一緒に行こうって」
「コンサート終わった次の日曜日に行こうって。チケットも買っちゃってたんだ。3枚」
『3枚?』
「ふふ、コンサート後に、俊介も誘うつもりだったから」
約束していたのは本当だ。
俊介を入れて3人で行くつもりだった。
でも私はその日、風邪をひくつもりでいた。
「だから、睦っちとの約束を果たしたいの」
『わかった、明日一緒に行こう』
「ありがとう、俊介」
「明日の朝7時に、駅の改札で待ち合わせね」
「あ、ここまででいいわ。遠回りさせて送ってもらっちゃったね。ごめんね、そしてありがとう」
「じゃあ、また明日。バイバーイ」
『じゃあな』
『睦月が亡くなってから1週間、俺も萌もまだ心の整理がついていない』
『特に萌だ。睦月をだいぶ引きずってる』
『今日のピアノは、睦月になろうとしていた。いや、睦月そのものだった』
『俺と睦月は学園内で、交際しているのではと、思われていたのは知っている』
『俺にとって睦月と萌は、幼馴染みで妹みたいな感じだ』
『だが、睦月にとっては、萌にとってはどうなんだろう』
『学祭での演奏は、本当に素晴らしかった』
『睦月が本当に、命を削って奏でた演奏だ』
『演奏中、何度も睦月からの愛のメッセージが届いた』
『ところが、今日もメッセージを感じた。萌の演奏から』
『俺は2人のうち、どちらが好きなんだろう』
『今はどちらでもない、だがこれからは?』
『明日のデートで、何か変わるのだろうか』