第1話 「プロローグ」
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「きゃーっ、ほら俊介も手を上げて」
ジェットコースターの最期の急斜面、滝壺に飛び込むように落ちていく。
水飛沫が2人を濡らす。
「あー、面白かった。これに乗るの2回目ね、2時間並んだかいがあったね」
『そうだね、でも落ちる時に、よく両手を上げられるなぁ』
「あったり前でしょ、お約束よお約束」
帰り通路の先で、写真を売っていた。
「あっ、私達が写っている写真がある」
「この間は買えなかったから、買っちゃおうっと」
その写真には、ジェットコースターに乗っている、俊介と萌が写っていた。
萌たちは大きく両手を上げ、俊介はバーにしがみついているかのようだ。
『いいよ、買わなくても』
「ううん、買うの。記念になるでしょ」
「へへへ、お・や・く・そ・く」
『なんだそりゃ』
なんとなく、俊介が黙り込む。
「どうしたの?」
『ん、いや、睦月がいたら、きっと一緒にはしゃいでただろうなと思ってさ。もう3ヶ月か早いもんだ』
「そうね」
萌は、言葉を濁した。
「ねぇ、なぜ今、睦月のことを思い出したの?」
『いや、ごめん。はしゃいでいる萌が、睦月に似ていたから』
「ううん、責めてるんじゃないの」
「睦月のことを思い出してくれたことが嬉しいの」
自然と涙が1粒流れ落ちた。
『どうしたんだよ、泣いているのか?』
「まさか、2時間並んだから欠伸が出ただけよ」
「次行きましょ!ってお腹空いたわね。お昼にする?」
『そうだな、でもどこも超満員だなぁ』
「うふふ、今回はお弁当よ」
「たしかこっちにピクニックエリアがあるはずよ」
「あったあった。俊介。ここで食べましょう」
萌は、ビニールシートを広げてお弁当を出した。
『すごいな、朝早かったのに、よくこれだけ作れたな』
「うふふ、2人で作ったから」
『お母さんと作ったのか? 今度お礼を言わなくちゃな』
「俊介、今日はとても大事な話があるの」
「食べながらでいいから聞いてくれる?」
『ああ、もちろんだ。 あっこの卵焼きうっめぇ。』
『で、話って? もしかして愛の告白?』
「うふふ、さてどうかしら」
「お願いが1つあるの」
「聞き終わるまでは質問を待って欲しいの」
『わかった。でもこの唐揚げも美味いぞ』
「あさっての定演の前に、どうしても聞いておいて欲しいの」
「だから、無理にお願いして、遊園地に連れてきてもらったの」
「それは2人の女の子の物語なの」
「双子で顔はそっくり、性格も一緒」
「意地っ張りで、負けず嫌いで、それでいてさっぱりとしていて」
「好きな物はみんな同じ。洋服や靴、ピアノの曲、アイドルグループから俳優まで。
そして初恋の人も」
『おいっ、それって』
「女の子の名前は、睦月と萌」
「1月生まれだから、睦月と萌なの」
「知ってた?」