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退魔師と魔法使い~二人が歩む軌跡~ 作者:伊藤 純
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第一話 旅人

気ままに旅をする退魔師青年と純粋な魔法少女の道中記です
人と距離をおきなかなか心を開かない退魔師レナード、事情を知る唯一の相棒の白狐ココ、まだ駆け出し中であるが、魔法薬で人々を治す夢を持つイーナ。
この2人と1匹が出会い共に歩む中、あるときは人の陰謀や悪意と闘ったり、あるときは退魔師としての使命の中、人々の想いにふれると様々な内容を描きたいと思っています。
第一話はプロローグの形ともなりますけど、レナードの旅の途中、ひとつの街につき、依頼をこなすこととなります。その内容は一般の人には解決できない。「霊」絡みであった。自分の使命を全うするためにレナードは依頼を受けることとなる
※初めてなので乱雑になりますが温かい目で見守ってください。
―退魔師と魔法使い〜2人が歩む軌跡〜―    

 涼しい風が木陰で昼寝している男の顔を撫でていた。その隣で一緒に昼寝していた白狐が起き上がり体を伸ばしていた。
「おーい、もうそろそろ出発しないとまた野宿するはめになるぞ」
白狐は呆れた感じで男の頬に顔を近づけて囁いた。
「…もう少しだけ…寝かせてくれよ」
男はそう言って寝返りした。
「あんまり街に行きたくないのはわかるけど、蓮のまずい料理食べたくないよ」
そう言った途端男は慌てて起きて白狐の頭を掴む。
「おまっ…! その名前で呼ぶな、俺はレナードって言っただろ」
「ごめんごめん。レ・ナ・ー・ド君」
「たくっ…いくぞココ」
そう言いながら身支度して白狐のココはいつものような感じで地面から起き上がる途中のレナードの頭にしがみついた。
太陽は真上より少し傾き始めた頃でレナードは歩き出した。革のブーツ、動きやすそうな服装、深緑のマント、どこからどうみても旅人風だがある特徴を除いては。
彼の腰には6本の剣が収められてる以外は…。

 一本につづく長い道のりを歩き続けて数時間、ようやく街が見え始めました。
「あっ!? 街が見えたね」
そう言いながらココは大きな尻尾をフリフリと振り始めた。
「いいとこならいいなぁ」
レナードは少し不安げに呟いた。遠くからみても立派そうな門構えに頑丈そうな塀が街を囲っていた。レナードよりも先に街に入ってく馬車があった。
―入るのになにか許可がいるのかな?
レナードはそう思った。レナード達も入ろうとした時、門の近くに立っていた兵がこちらに近づき。
「どちらから参られた?」
「ただの旅人です」
そう応えると、
「荷物検査と身体検査させていただくぞ」
反対側にいた兵が言いながらレナードの持ってる革袋と剣を取り上げ、もう一人はレナードの体をまさぐり始めた。
「女の人にさわられるのは歓迎するけど、男ではなぁ〜…」
両手を上にあげて冗談を言った。荷物検査してる兵がレナードの剣を抜いて調べ始めようとしたとき、
「うっ…うー…。おいこれ抜けないぞどうなってる?」
ちょっと不機嫌そうにレナードに問う。
「あ〜それね。これとこれとこれとこれ、この4本は抜けないから…中で錆びてるからかな」
レナードは申し訳なさそうに言って
「で、あとこっちは普通の剣だけど、こっちは鞘と柄しかないから」
一言添えた。一通り検査を終えて
「面倒な検査させやがって…ほらもう行っていいぞ」
「どうも〜」
不機嫌そうな兵に軽く言ってその場を離れた。
「おいココ頼む」
「はいは〜い」
お互い小声で話し、レナードの首にココの尻尾を軽く巻き付かせた。
「悪いな。またうまいもの食わせてやるから」
「女の子に食べ物で済ませる気?」
「じゃあどういうのがいいんだよ?」
「お肉〜」
「はいはい、うまい生肉ね」
「ひど〜い、ちゃんとしたお肉料理だよ。君のはいつも焦がすか生かどっちかでいつか殺されそうになるかドキドキしてるのに」
ご機嫌そうなココとやれやれという感じのレナードのいつもの会話が始まった。

宿屋につくなり、一人と一匹は一斉にベッドに倒れこむようにフカフカの布団を堪能した。
「わ〜やっぱりフカフカしてて気持ちいいな」
ココは横になったまま体をゴロゴロと転がる。レナードは後頭部に両手を枕みたいにあて、
「俺は草原で寝転がってるほうがいいな」
呟くほんの数分経ってすっとレナードは立ち上がり、
「俺ギルド協会に行ってなにか金になりそうな依頼探すつもりだけど、ココはどうする?」
出かける準備をしながらまだゴロゴロと転がってるココに聞くとちょっとムスっとした表情で
「もう少し堪能してたい〜」
とごねていた。
「夜はもっと堪能できるからさ。いい依頼があったら欲しいもの買ってやるからさ」
子供をあやすように言った。
「う〜…わかった一緒にいくよ。でも約束だよ」
「お前に嘘ついた事ある?」
レナードは言う
「ない。」
ココが嬉しそうに答える。
「よしっじゃあいくよ」
「おー」
ココは元気よくまた頭にしがみつき首に尻尾をまきつけた。
宿屋をあとにしてギルド協会に向けて歩きだす。

 歩くのに差し障りないくらい人はいたけど、レナードにとって人混みが苦手なので早足で早々と協会に向かって歩いて行った。協会に着くなり備えつけてあった椅子に腰をかけ息を整い始めた。
「ふー…ふー…」
そんな様子を見てココは優しく前足で頭を撫で始めた。ココのおかげか持ち直したレナードは立ち上がり、掲示板に貼ってある依頼書に目を見張る。
隣町に手紙を届ける、畑にでてくる害虫退治、武具作成に必要な材料採取などなど様々あるが、どれもレナードに見合うような依頼はなかった。
諦めて受付で聞こうと歩き出した。
受付で最新の依頼かその日限りの依頼がないか聞いてみた。
受付の人は
「ちょっと聞いてきますね」
と言って奥にいる人達に聞いて回りだした。
 協会の奥、掲示板の奥でなにかざわつき始めたことにレナードはそちらのほうに少し足を向け始めた。どうやらお尋ね依頼の更新がされたみたいだった。
近くの山道に現れる山賊ミックスや、女や希少生物ばかり襲うジャルンなど賞金は高い、当然その辺の小物とは別格な風貌な雰囲気がでている。更新された依頼を見ていた人達は挑むか挑まないかの相談をし始めていた。
その相談者の中のあるひと組の会話に
「…町ひとつ消した殺人鬼ってまだ写真てないのかな?」
「みたいだね、手がかりは住人の日記の一部分だけでなんにもないからな」
「泊まっていた殺人鬼が夜中急に暴れだして見境なく切り刻んだってことなんだしな」
「でもそれ5年前のことでしょ?もう捕まってるんじゃない?」
「さっき受付に聞いたけど、まだらしいぜ」
「写真があったらな〜…もし本人と目合わしたら全力でにげるしかないか」
と言いながらお尋ね依頼の貼紙から離れて協会をあとにしていった。
 すると受付の人が
「おまたせしました。ひとつギルドで扱えれない依頼がありましたけど、詳細みます?」
ちょっと申し訳なさそうにレナードの前に依頼書を置き始めた。
「みるだけなら」
と目を通してみた。
『私はここボルバ街に住むムーア・ミッチという方をお世話している者です。ここ数週間ムーア様は食事も喉を通らず悪夢にうなされています。心配になって聞いてみましたけど相手にされずそれ以降ムーア様はベッドから起き上がることすらできないほど衰弱されています。お世話する私の身ですので報酬のほうはご主人であるムーア様に交渉するかたちになりますがどなた助けてください。〜世話係のメチルより〜』
レナードは読み終えると
「これ受けてもいいですけど、このムーア・ミッチという方のお宅はどこにあります?」
受付の人に聞き始めた。受付の人は街の地図を広げて
「ここがギルド協会で、協会からすぐに階段を登って左のこの大きなお家がムーアさんのお家です」
と丁寧に指でなぞりながら教えてくれた。
「ありがとうございます」
軽く頭を下げて協会を後にした。

「!」
レナード、ココはムーア邸にたどり着いた瞬間、異様な気配を察知した。
「この件はギルドには手に余るわな〜」
と言いながらココを撫で始めた。他の軒並みと比べてかなり広い屋敷があった。ひきつめられた芝生、しっかりとした門、門と屋敷の間には小さな噴水がある。人目でみてもこの街の有力者であるとだれもがそう思えるくらい立派な屋敷だ。
ちょうど庭の手入れをしてる中年な庭師の男性に声をかける。
「すいません。世話係のメチルさんはいませんか?」
大きめの声でかける。それを聞いて庭師はゆっくりと近づき、
「どんな用件ですか?」
警戒した目つきで答えた。
「ギルドの者です。依頼人のメチルさんに会わせていただけませんか?」
軽く頭を下げながらレナードは言う。
「わかりました、少しまってくださいね」
そう言って庭師は屋敷の玄関を開け中へ入って行きました。
「どんなのだろうね」
ココは気配のことを気にかけていた。
「わからない、一度会ってみないとな」
レナードも気配のことを気にしていた。
 しばらくして屋敷の方から小走りでかけてくる人がこちらに駆け寄ってきた。
「はぁ…はぁ…すいません、おまたせして」
肩で息を切らせて来たのはメイド姿のおばさんだった。
「あなたがメチルさんですか?」
レナードは言う。
「はい。ギルドに依頼したメチルと申します」
深々とお辞儀をしながら答える。
屋敷に案内され、ムーアさんの寝室に向かって歩きながらことの容態を聞くレナード、
「最初に異変に気づいたのは2週間前、いつもより食が進まなかったことが気になり始めていました。いつでもお夜食を運べるように準備して夜中に御主人様のお部屋にお夜食を届けようとしましたら、お部屋からご主人様のうなされる声を聞いて、慌ててお部屋に入り起こしました。すると御主人様の口から『あいつがきた、あいつに殺される』と仰っていました」
「あいつ?」
レナードは聞き返す。メチルさんは
「わたしもそのことをお聞きしたんですけど、なにも話してはくれませんでした」
すぐに答えた。そして不安げに
「私たちでは手に負えないと思ってギルドに御依頼しましたけど、取り合ってくれずに、今日ももう一度お伺いしたら、とりあえずという形でなんとか取り合ってくれましたけど、少々不安でした」
と心情を語り始めた。
すると一角のドアに前にたち、
「ここが御主人様のお部屋です。」
そう言って、メチルはノックをしはじめた。
「ご主人様、メチルです。今日はお客様をお連れしました」
メチルは部屋の前で声をかけると、
「…入れてくれ」
弱々しい声でかえってきました。その声を聞きゆっくりとメチルはドアを開けてメチルとレナードは入る。
 大きなベッドに一人のやつれたおじいさんがイスに座る感じで迎える。
「この方は?」
ムーアが言う。
「私の勝手な判断で動いたことをお詫びさせてください。…申し訳ございません。この方は私がギルドにお願いし、ご相談にのってくれるお方です」
深々とお辞儀をし、レナードを紹介した。
「初めまして、レナード・ボルクといいます」
軽く頭を下げながらレナードは自己紹介をした。
 そしてレナードの表情が少し真顔になりムーアさんに言い放ちました。「単刀直入にいいます。ムーアさん、あなたに霊がとり憑いています」
その答えを聞いた直後、メチルは驚き、ムーアは動じなかった。
「・・・やはりわしはあいつに殺されるのか?」
レナードに力なく問いかける。
「それはわかりません、ですが少なからずムーアさんを殺す気はないように感じます」
淡々とレナードは言う。
「!?」
この言葉にムーアも驚く。
「じゃあなぜあいつの夢を毎晩みるんだ、なぜとり憑いてるんだ!」
声を荒らげるムーア。レナードは顔色変えずに
「なぜそうなったのか今からあなたに憑いた霊と話しをしようとおもいます」
ムーアに提案をもちかける。
「…それができるなら……お願いします」
ムーアは座ったまま深く頭を下げた。それを聞いたレナードは
「わかりました」
と言い、ムーアの肩に手をそっとおき目を閉じてボソボソと呟き始めた
「怖がることはありません。あなたのその苦しみを和らげるために私はきました。あなたはどうされたいのですか? その気持ちを教えてください」
と聞こえるかどうかの声で語り始めた。
しばらくして、
「…うん……うん……うん」
と言いながらレナードの瞳が潤みだす。最後に
「わかりました、ちゃんとお伝えします」
と答えたあとそっと肩においた手をどかす。
 その光景をみて2人はレナードの答えを待つ。レナードもふぅとひと呼吸して口を開けて語りだす。
「霊と話しました」
と言い、続けて語り続ける。
「ムーアさん、あなたは30年前、この街をなにもない平原から開拓しましたね」
と聞き始めた。ムーアもそれを聞いて顔を下げ暗い表情になる。
「そこで一緒に開拓作業していた女性がいましたよね」
「…」
ムーアは無言で頷く。
「でもある時一緒に作業していた女性がいなくなった」
言った直後、ムーアは叫び始める。
「もうやめてくれ!」
涙を流して言い放つ。そのあとすぐに事の発端を語り始めた。
「30年前、わしとボルという若い女と開拓しました。…最初は2人だけだったが、風の噂で駆けつけてくれた旅人や開拓作業員たちが次々と来て、開拓作業も順調になり始めた時、ボルがいないことに気づいた。わしは無我夢中で探した、作業員たちも一緒になって探してくれた、でもだんだんと探す人たちが作業に戻っていった。わしは一人になっても探し続けた。一ヶ月くらい経ってボルは開拓作業をやめてどこか遠くに行ったのだと思い始めた。魔物に怯えない笑いが絶えない街をつくりたいというわしの勝手な夢に嫌気をさして旅に出かけたと思った。」
語るムーア。
「そしたら3週間前、急に夢で若い姿のボルが出てきて、わしをじっとみていた。『あなたは私よりも街を選んだんだ』とそういう風に思えてきたらだんだん怖くなって…」
涙を流しながらムーアは発端と心情を語り終わる。
それを聞いたメチルも涙を流す。その涙はボルに対してかムーアに対してかまではわからない。レナードは口を開け
「結果だけいいます。ムーアさんのこと恨んでいませんよ」
「えっ?」
顔を下げながら泣いていた顔がもちあがる。レナードは続けて
「俺はボルさんの気持ちを聞きました、ですがこの気持ちは直接ムーアさんご自身で聞いてあげてください」と言う。
「ですがその前に、ムーアさんがなぜこうなったのか順を追って説明しますね」
言いながら説明を始めた。
「実はボルさんは30年前、不幸の事故ですでに亡くなっていました。死んですぐに霊となりムーアさんにずっとそばにいました。ですが長い間霊となってるとだんだんと悪霊に染まりことになります。そうならないようにムーアさんが寝ている間だけとり憑くようになり、それで悪夢を見るようになっていました。ですが時々ムーアさんの体から出れずに中で留まってる時にボルさんの生前の食事の量を摂取することにもなりました。そして今ムーアさんとボルさんが一体化になりつつあります。」
レナードは喋り終わる。これを聞いたメチルは
「一体化となったらどうなるんですか?」
一番の疑問をレナードに問いかける。レナードは険しそうな面持ちで
「一体化となると肉体が耐え切れず、死んでしまいます」
レナードは残酷な答えを言った。メチルは口に手をあてて驚きを隠せなかった。ムーアも少し諦め気味になり、
「そうですか…。ボルが死んでるならわしも死なせてくれ」
と言い出す。これを聞いたレナードは慌てて
「今ここで死んだら、ムーアさんの魂とボルさんの霊が一体となり、悪霊となって彷徨いますよ」
レナードは続けてしゃべりだす
「そうならないように俺がいます」
優しくムーアに言葉をなげかける。
「これからムーアさんに憑いた霊をだし、ボルさんの気持ちを聞いてあげてくださいね」
レナードはムーアに声をかける。ムーアも
「お願いします」
レナードの目をみて言った。

「では準備しますので、メチルさん少し手伝っていただけますか?」
メチルにも声をかける。
「えっ!? お手伝いってなにを?」
驚くメチル。
「俺の手持ちのものでは足りないので、ここの塩を拝借したいだけです」
レナードは申し訳なさそうに言う。
「それくらいならいいですよ」
胸をなでおろす。意見がまとまったところでレナードは
「よしっ…ココ、余計な霊が近づかないようにムーアさんの傍にいてくれ」
と言うと、頭にしがみついていたココは勢いよく降りて、
「私にも出番きた〜」
体を伸ばしながら上機嫌に言う。メチルとムーアはココを不思議そうにみる。
「この狐が?」
ムーアは言う。普通に考えれば狐がなにするのか? っていうところですがレナードはココの頭を撫でながら
「この子はココといって、俺の良き相棒ですよ」
自信に満ちた声で言う。
「よろしくね」
ココは頭を下げながら挨拶をする。それをみたムーアは目を丸くして、
「よろしくお願いします」
頭を下げながら言う。レナードはゆっくりとメチルに体を向けると、
「では準備しましょうか」
と言いながらメチルさんの背中を押してそそくさと部屋をでました。レナードはメチルに台所の場所を案内してもらいおもむろにレナードの布袋を漁り始めた。漁りながらレナードはメチルに
「すいません、水を少しもらっていいですか? あとコップと」
と尋ねる。
「はい、いいですよ」
晩ご飯の準備の途中だったのだろうか、バケツに入ってる水をコップで掬いレナードの傍におく。
「ありがとうございます。あと大量の塩をムーアさんの部屋に持っていてください」
レナードは袋から取り出し、何やら白い粉二つを混ぜながらメチルにお願いする。
「わかりました…?」
レナードの作業の意味がわからないまま台所の棚から塩のはいった袋を抱えてムーアの部屋に戻りました。

 メチルがムーアの部屋に入ると、ココは尻尾を振りながらムーアのベッドの周りをまわっていた。
「?」
メチルはココのやっていることが理解できずムーアに聞き始めた。
「ムーア様、この狐はさっきからなにを?」
質問するが、ムーア自身もわからず、
「いや…わしもさっきから何してるのかさっぱり」
訝しげに答えた。そこへレナードが水のはいったコップを手に部屋へ入り、ムーアにそのコップを手渡す。
「はいどうぞ」
渡すと今度はメチルの抱えてる袋を受け取る。
「おおっ! これだけあればいけるかな?」
独り言をつぶやく、それをみたココは、
「こっちは準備OKだよ」
尻尾を振りながらレナードを見つめる。
「よし」
レナードは気合をいれて、先程もらった塩をベッドの周りに円を描くようにまきはじめた。レナードは作業しながらメチルに促す。
「あっすいませんメチルさん、ベッドの近くに寄ってください」
それを聞いてムーアの傍による。
塩をまきおわるとレナードはメチルに
「これから儀式をはじめますので、この円の外に絶対に出ないでくださいね」
と強調して言う。
「はっ…はい」
少し怯えながらメチルは返事をした。
「では儀式をはじめます。その水を飲んだらすぐにはじめますので、ムーアさんは気持ちは楽にして体の力を抜いてください」
ムーアに話す。
「はい。わかりました」
返事をする。覚悟を決め、ムーアは水を飲もうと口につけて一口飲んだ瞬間、
「げほっ…げほっ…なんだこれしょっぱいしザラザラするぞ」
むせながら不機嫌そうに喋る。
「材料は秘密ですが、一般的にそれを『聖水』と呼んでいます。ムーアさんの体に負担をかけずに霊をとりだすためです。我慢してください」
レナードはムーアの背中をさすりながら言う。ムーアは落ち着き、もう一度意を決して、聖水を一気に飲み干した。眉をしかめて
「うぇ〜」
不味そうな表情をうかべた。それをみてレナードは、
「よしっ…では体と気持ちを楽にして、仰向けになって寝てください」
ムーアに促す。ムーアもそれに従って横になった。レナードは優しい声で、
「今からあなたをとりだします。ゆっくりでいいのででてきてください。俺もサポートします」
ムーアに向かって語りだす。すると突然
「うぅ…うあああ!」
苦しみだすムーア。
「ムーアさん! 苦しいですがそのまま体と気持ちを楽にしてください。あなたが力むと霊もムーアももちませんよ」
レナードは声を少し荒げて言う。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
なんとか落ち着こうとするムーア。レナードは続けて語り続ける。
「さぁでてきてください」
といいながら、手を差し伸べる。そして何か掴んで引き抜こうと素振りをみせる。ムーアはまだ苦しがっていた。少しムーアが海老反りに仰け反り始めた。それをみたレナードは空いてる右手でムーアの体を抑える。
「…もう少しです」
いいながらだんだん体を起こすレナード、すると、抑えた右手を何か見えないものを抱えて、まるで人間を扱うようにそっとレナードの近くにおく。「はぁ…はぁ…でましたよね」
ムーアも感じたのだろう、息がだんだんと整いだす。
「えぇここにいますよ」
手で紹介するがムーアもメチルも見えない。レナードは袋から眼鏡をとり、ムーアに差し出す。
「これは『霊眼鏡』と言って、かけるだけで霊がみえて、声も聞こえるアイテムです」
説明しながらムーアにかけるように促す。
 ムーアはレナードからもらった眼鏡を恐る恐るかけると、そこにはレナードのとなりに若い女性の姿が見えるようになった。当時の開拓作業してた時の格好のまま、彼女は笑顔をみせる。それをみたムーアは涙を流しながら、懺悔する。
「すまぬ…あのときもっとボルを探すべきだったんだ」
と言い出す。それをみたボルは
「いいのです。あなたが立派な街をつくろうとする姿をずっとみてみたかったの。あなたに一言伝えたくてずっと残ってたの」
嬉しそうに話す。
「ずっと探してくれてありがとう。あなたの想いはこの街の名前を聞いたとき、私嬉しかったよ。私は寄り添えないけど、あなたはあなたの人生を歩んでちょうだい、私はあなたのこと…ずっと見守ってるから」
言い終わると彼女の体がだんだん消えはじめました。
「わしもボルに伝えたいことがある。…今まで付き添ってくれてありがとう。愛してるよ」
ムーアが言い終わるとボルは笑顔をしたまま一粒の涙を流しながら消えていった。
 メチルは見えなくても、その光景をみて涙を流す。メチルはムーアに寄り添い、
「ねぇ御主人様、もしかしてボルバって名前…」
言いかけたとき、
「ボル・ラーバ…彼女がこの街を訪れるように名前を入れたんだ。『今でも愛してるよ』という意味を込めて」
ムーアは語りだす。それを聞いてメチルは大粒の涙を流す。
「これで浄霊は終わりました。日が経てば体調も回復しますよ」
あと片付けをしながらしゃべりだすレナード。
「自分は宿に2日程滞在してますので何かあればお声かけてくださいね」
そそくさと立ち去ろうとする。
「ま…まってくれ!」
慌ててとめるムーア。レナードは足を止めムーアに向き直る。
「お礼をさせてくれ。…10万Gゴールドだそう。…メチル」
メチルに促す。返事をしてメチルは部屋をでる。
「いや、俺は金目当てにしたわけでは…」
制止するが、
「わしは今この状態だし、わしがやれるとしたらこれくらいしかないんです、…受け取ってください」
深々と頭を下げそのまま動かなかった。
「…はぁ」
困惑するレナード、するとココは頭にしがみつき、
「私なら迷わずうけとっちゃうな〜」
尻尾をふりながら言うと、
「お金を重いしそんなには…」
話しを途中できると、メチルが部屋に入ってきた。
「話しはまとまりましたよね? どうぞ受け取ってください」
メチルはレナードにお金がはいった袋を差し出す。
「…はい」
受け取ると、すぐに漁りいくらかとり財布に入れると、ムーアに近づき先程受け取ったお金をムーアに渡す。
「いやっですからわしの気持ちを―――」
ムーアは言い出すがその言葉を遮るようにレナードもしゃべりだす。
「残りのお金はこの街に寄付します」
優しく言い放つ。
「なっ!?」
ムーアは驚きをかくせなかった。
続けてレナードは
「あなたの大切なボルさんのために…この街のために、このお金で街をよくしてあげてください」
またも優しく言う。その言葉を聞いて
「…ありがとうございます」
ムーアの目にまた一粒涙を流す。
「それでは失礼します」
一礼すると、今度こそ立ち去ろうとすると、今度はメチルが
「…あなたは霊媒師ですか?」
尋ねられるとレナードは、
「俺はただの旅人ですよ」
と言って立ち去る。
主人公   レナード・ボルク
年齢    17歳
職業    退魔師 
武器    剣
好きなこと 魔物や動物と触れ合うこと
嫌いなこと 命がなくなること
訳あって退魔師という身分を隠しながら世界を放浪する。相棒の白狐ココと共に助け合いながらこの世に彷徨う霊を浄霊してまわっている。その辺にいる退魔師とは計り知れない程の腕の持ち主だが、彼にはある欠点があった。それはこのあとの話しにでてきます。
ギルドの人達が言ってた街ひとつ消したという話しはレナードの番外編でご紹介します。
+注意+
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