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最終決戦 新ダンジョン②

 マキが持ち帰った情報を基にダンジョン攻略作戦が考えられることになる。

 持ち帰った情報からダンジョンは【氷獄】と名付けられ、ランクについては最低でも7という評価になった。


 この【氷獄】は道中でモンスターが出なかった事、ダンジョン内の環境が極寒だったことの2点から、作戦と呼べる手段が打てないことがはっきりしてしまった。

 マキとウォルター以外、挑戦できそうにないのだ。


「言われたとおり、試してみました。我々の顕現させるモンスターの全てが環境に適応していません」

「道中のモンスターが出ない事もそれが理由でしょうな。環境が敵ではないのでしょうか」

「そうなると、大崩壊が無い理由も想像できますなぁ。湧き出るモンスターがいないのであれば、外に行くモンスターがいない事も道理でしょう。

 その場合、なぜダンジョンが秘匿されていたのかも併せて調べる必要がありそうです。無駄になるかもしれませんが、城の書庫を漁ってみるとしましょう」

「ふぅむ。それでは御二方の出立をいつにするのかという問題が出ますな。書庫の結果を待っていては時間がかかりすぎませんかね?」


 大隊長、部隊長らは互いの意見をぶつけ、状況を推測する。

 その内容はマキもダンジョン内で考えた事であり、あのダンジョンがモンスターを保有しないダンジョンという事だった。



 ただ、マキは一つだけ気になる事があった。

 自身が氷系の『精霊化』を多用する事もあって思いつく内容だ。


 「氷属性のモンスターであれば極寒の環境下でも活動できるのでは?」という考えは、そう大きく間違っていない。敵に情報を与えたくないからとマキはそれを検証していないが、この推測はそう間違っていないように思われる。

 それに、ランク8ダンジョン【精霊の庭】には精霊化したようなモンスターが出現する。『精霊化』を知らない女神の使徒の面々もその事は把握しており、今は大隊長らの会話に口を挟まず、静かにしている。


 マキ達が推測を口にしないのは、自由を守るためだ。

 「このダンジョンは大崩壊をしない」という前提が無くなると、マキやウォルターから自由が無くなることが確定的となり、推測されるだけでも致命傷になりかねない。

 なぜなら、現段階で攻略可能なのが二人しかいないからだ。大崩壊があるなら定期的な攻略が必須になり、それを理由に拘束されるのが目に見えている。可能性があるとなれば、可能性がゼロでないなら、絶対そうなる。ダンジョンを枯らせられるなら回避できる未来だが、それができなかった時のことも考えておくべきだろう。


 チラン出身の討伐者や騎士がこの場にいないのは運が良かった。

 彼らは今、フリードの遺体をチランに運んでいる。彼らが居ればすぐにその可能性が指摘されていただろうから。



 その可能性を思いつかれる前に話を進めなければいけない。


「では、ワタシ達だけで先に攻略を進めますわ。

 書庫の情報といっても扉が隠されていたことから有益な情報が残っているとは思えませんし。先手を打たれている可能性が高いですわ。

 それと、調べるなら騎士団の詰め所や宮廷魔術師の私室なども探すべきですわね。国として持っていた情報が処分されていても、個人で記録を付けている可能性がゼロじゃありませんし」

「そうですな。念のためにそちらに人を割いておきます」

「御二方も無理はせず、危険と思えばすぐに退いてください。御二人の替わりになる者など居りませんので」

「分かっていますわ。攻略が難しいと思えばこの城にあるかもしれない情報に賭けるか、何らかの手を打った後にします」

「よろしくお願いしますぞ」


 念のため、情報を秘匿していることを悟られないように手を打つ。

 普通に考えてみれば徒労に終わる可能性が高い情報収集を依頼し、慎重に行動していることを印象付ける。

 もしも情報があったとしても現場の情報が優先されるだろうから、何とかすることができるだろう。

 あとは皇帝をどうにかしてダンジョンを枯らせられるか試した後でいいのだ。


 ……実際に大崩壊が起きてしまえばそんな事も言っていられなくなるのだが、その可能性について、マキはあえて無視をした。

 そこまで責任を負う心算が無いからである。

 薄情といわれるかも知れないが、マキの優先順位に人類全体の発展や平和は入っていない。今回は女神の依頼であり、人類絶滅の危機だから手を貸しているだけだ。



 その後、体調を回復させたマキとウォルターはダンジョンに挑むことになる。

 これが最後の戦いになるという予感を抱きつつ。

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