あいしてるのに
愛してたのに貴方は裏切った
だから許さない どこまでもどこまでも
最近この曲が巷で流行っている。
私もよく口ずさむ。
私は客観的な人間だ。
だから自分のおかれた状況をよく理解している。
彼氏に急に別れを切り出されて姿を消された。
携帯をかけても出ない。
こちらは返事もしていないというのに。
もちろんNOだとわかっているのだろう。
よりをもどしたい一心で会社の玄関に待ち伏せした。
彼氏は平然とした顔を作って逃げ去った。
毎日していたら警備員に捕まった。
仕方なしに彼氏のアパートに張り込みをした。
これは客観的にみるとストーカーだ。
でも止められない。
だって勝手過ぎるじゃないの。
私は怒りと裏切りに燃えていた。
きちんと説明してくれればあきらめもつく。
それには会って説明してくれないとという。
しかし彼氏はアパートに帰ってこなかった。
私は客観的にものをみれる人間でもあるが、非常に感情も大事にする人間でもある。
帰宅しようとしたら自分の部屋の前に彼氏が立っているのが見えた。
「あ」
腹を刺された。
そして部屋に突き飛ばされる。
血が流れていく。
救急車を呼ばなければならないが致命傷の所にナイフがあるせいで力が入らない。
彼氏はにやっと笑うと玄関をしめていった。
「あーあ」
私はこのまま死んでいくのかと思ってもなんの感慨もなかった。
むしろ悩まず怒らず逮捕もされず良かった方だ。
しかし涙がぽろりとこぼれ落ちた。
彼氏に刺されるなんてなぁという思いはある。
そしてあのにやっとした笑い。
よほど私に死んで欲しかったのだろう。
それも悲しい。
まぁストーカーしている身だから何もいえないが。
ああ、意識がぼんやりしてきた。
私は最後にあの歌を歌った。
愛してたのに貴方は裏切った
だから許さない どこまでもどこまでも
死霊となっても側にいるから。