Ⅰ
うれしはずかし初投稿です。
実は童話を書くことが初めてなんですが、冬童話ということで丁度いっかなと思い投稿しました。
むかしむかし、ある大きな丘の上に、とても立派なお城がありました。そのお城は色とりどりのお花にかこまれ、虫や動物に愛されていたので、愛の丘と呼ばれていました。
そのお城の王さまはたいへんお優しく、お妃さまも笑顔のお美しい人で、国の民はみなこのおふたりを愛していました。
そしてある日、お妃さまはひとりの赤子をお産みになられました。赤子は頬をばら色にそめた愛くるしい女の子でした。
王さまとお妃さまはすぐに、民へ赤子をお披露目なさいました。民は王女の誕生だと、まことに喜びました。花は咲きほこり、動物はうれしさに歌を歌いました。
こうして国は、あたたかな幸せにつつまれていきました。
時は流れ、王女さまはたくさんの愛にかこまれて、すくすくと育っていきました。しかし、王女さまはあまりにも元気で、乳母のいうことも聞かずに木に登ったり、庭をかけ回ったりするお転婆娘になってしまいました。王さまとお妃さまはそんな娘が大好きで、いつもほほ笑みをうかべて共に戯れました。
王女さまはときに城下に忍んできては、同じ年ごろの子ども達と遊んでいたもので、国の民は「暴れん坊の姫さまだ」「お猿の大将がくるぞ!」などといい楽しげに王女さまと遊ぶのでした。
ところが王女さまの誕生日の日のことでした。みなに愛されていたお妃さまがお亡くなりになられたのです。
王さまも王女さまも国の民も、花も動物もみな声をあげて泣きました。おお、お優しかったお妃さま! ああ、かわいそうな王さまと王女さま!
王女さまはあまりの悲しみにたえられず、夜にお城を飛びだしてしまいました。王女さまはひとりぼっちで、丘のお花畑で泣きました。お母さま! お母さま! わたしをおいていかないで!! いつまでも泣き続けた王女さま。ついには夜が明けてしまいました。
「王女さま、どうしてそんなに泣いているの?」
朝日に照らされて、ひとりの男の子がお花畑に立っていました。金色の髪をした、とてもとてもうるわしい男の子だったので、王女さまはぴたりと泣き止みました。
「あなたはだあれ?」
「わからない。けれど、ぼくは君を守るんだ」
男の子はそういうなり、にっこりと笑って王女をだきしめました。王女さまは、なんだか心が温かくなりうれしくなりました。
「ねえ騎士さま、わたしが呼んだら、かならず来てくださいね」
男の子は力強くうなずきました。
こうしてふたりは恋をしたのでした。