蠅様様
なんかブラックになりました。
これは報われない話。
というと硬いので崩すと。
蠅の噺。
ーーー
俺の名前はリク。お母さんのマミとお父さんのパピから生まれた一匹の蠅だ。
母親と父親は俺が生まれてすぐに、否。生まれる前に逝ってしまった。
死因はニンゲンの手に挟まれ潰されたのだ。
そう・・・・
俺たち蠅属は死因はだいたいニンゲンの手に潰される。
もしくはハエ叩きに。
蠅にも属種がある。
俺は小蝿族。親も友達も殆どが小蝿族だ。
しかしとなり街には、大蠅族がいた。
大蠅族は小蝿族に比べると死ぬ数が少ない。
しかし、死因はほぼ、ハエ叩きだそうだ。
だがしかし、俺たちはいつでも殺される覚悟で街を彷徨っていたのだった。
「ねーボーチャン。」
ボーチャンは俺と一番仲がいい。所謂親友だ。
「俺、今日死ぬかもしれない!」
「・・・何故?」
「今日、少し遠くの家のなかはいるんだ。」
「家の中?!ニンゲンの?!一番危ないじゃないか!!」
ボーチャンはいつも通りの笑顔だった。
「食糧の備蓄だよ。」
「なんでボーチャンが行くんだ!!」
「もう、大人と同じことしないとだから。」
ボーチャンはいつもと変わらない笑顔だったが、少し寂しそうにも見えた。
「大丈夫。絶対に帰ってくるからさ。」
「約束だ。」
ーーー
リクは後日、ボーチャンの家に向かった。
会うために。
あって生きてる事を確認するために。
その頃のリクは、死ぬことなど絶対にないと思っていた。
「ボーチャン!!オレだ!!来たぞ!!」
すると家からお母さんと思しき女の人が出てきた。
「ボーチャン・・・・帰ってこないの・・・。」
それを聞いたリクは必死になって周辺を探した。
探しても、探しても、見つからなかった。
リクはボーチャンの向かった家へと行きたかった。
しかしあそこは行くなと言われている。
それにもし、リクがそこで潰されてしまったらボーチャンが・・・・
俺は泣きそうになりながら必死に探し続けた。
ーーー
そのまた後日、ボーチャンの死体が例の家から見つかったそうだ。
そこに行ったエリートに見つけられたようだ。
「ボーチャン・・・・・・・!!絶対帰ってくるって言ったじゃんか!!!!!!」
「・・・・・ボーチャン・・・・私より先に逝くなんて、最後までダメな子ね・・・ボーチャン・・・!!」
となりでボーチャンのおかあさんが泣いていた。
リクはあまりに悲しすぎて悲しすぎて、涙さえ枯れていた。
ーーー
ボーチャンが死んでしまってから一週間。
未だに生きているリクはなんだかとても情けなく感じていた。
「やっぱりあそこで止めていたら・・・・・・・」
そう考えるばかりだった。
リクはあの家へと行った。
もう死んでも未練は無いと思ったからだ。
幸い、留守のようで。まどが空いていた。
「ボーチャンは何目的でいったんだろ・・・」
だいたいの食料はプロが持ってきてくれる。
それでも足りないものは自分で取りに行く制度であった。
飛んでいると、リクはとあるドールハウスを見つけた。
そこには小さなごはんと小さな人形がいた。
まあ、リクにしてみればそれでもでかいのだが。
暫く拝見していると気になるものを見つけた。
「なんだこれ・・・」
そこにはボーチャンがいつも履いていた靴が沢山置いてあった。
「もしかしてボーチャンはこれをとりに・・・」
最近ボーチャンは、なにかと「あれがない」と探していた。
あれが何なのか言ってくれなかった。
きっと無くしたと思われたくなかったのだろう。
ガチャ
家のドアのあく音が聞こえた。
まずいと思い、逃げようとした。
が。そこで戻って
「靴・・・持っていってやらないとな。」
靴を持って目立たないように窓から出た・
なんとか人に見つからず帰ることができたリクは、
ボーチャンのお墓に靴を添えた。
「ボーチャンの捜し物、これでしょ?持ってきてやったよ。」
「天国でも、元気で。」
俺は泣きながらお墓から去っていった。
もうお墓に行くことは二度とないだろう。そう、思いながら・・・。
お墓から出ていった時、何故か身が軽く感じた。
背負ってる物がなくなったからだと思ったが、その後意識を失った。
そしてその意識は、二度と戻ることはなかった。。。
ーーー
天国にて
「リク・・・?リク?!!」
「その声はボーチャン?」
「また会えたね。これからはまた一緒に遊べるね。」
「そうだな。もう、何も恐ることは。。。ないんだな。。。」
「リク!!」
向こうから男と女の声が聞こえた。
「もしかして・・・おかあさんとお父さん・・・?」
「覚えていたのね!!リク!!」
「これからはずっと一緒だな。リク・・・」
こうして、リクの人生には終止符がうたれ、天国で幸せに暮らすでしょう。
お幸せにリク、
ーーーーー
END