プロローグ
今、僕の目の前には、何故か現実離れした光景が広がっていた。
何故だろうか?ついさっきまで、普通に学校帰りの道を普通に1人で帰っていただけなのに。
何故、人「だった破片」がそこかしこに落ちている?それも1人分ではない。
極めつけには、目の前にいる化け物。
黒い鱗のようなもので全身を覆われた、身長2mはありそうな化け物。
その手の先についた爪で、さっきまでここに生きていた数人の人間を殺し、食い荒らした。
化け物が僕の方を向く、まるで虫でも見るような目で。
「ン?コイツハ・・・、チョウドイイ」
どこか片言な、底冷えするような声でそう言い、ゆっくりとこちらに近づいてくる。
「ヨカッタナァ、小僧、マダオマエハ生キラレルゾ」
そう言って少しづつ距離を積めてくる、まるでこちらの反応を楽しむかのように。
今すぐ立ち上がって逃げたいが、足がすくんで立つことすらままならない、腕の力だけで後退りするが、何の意味もなさない。
「コレヲ見ツケタハイイガ・・・ヤツラニ見ツカッテハ意味ガナイカラナ」
とうとう化け物が目の前に立ってそう言う、そして―
その鋭い爪の生えた腕が、僕の左胸を貫通した―