1,聞こえてくるのは卑怯な陰口
苦情等は受けつけません。
長々とした授業を頬づえをしながら聞く。ななめ前の男子の更に前の席…泉の隣の席に座る佐々木を見つめる。
佐々木は真面目だから、必死で黒板を移してる。偉いなぁ、とか思いながら私の隣に座る天野 政和に気づかれないよう微笑んだ。
そして、授業用ノートの下に隠していたノートに描かれた絵…漫画のような描き方で描かれた女の子…に手を加える。
そして、授業は終わる。
「ねえ佐々木。さっきの授業…ノート取ってある?」
「ん?あぁ。」
「悪いんだけど見せてくれない?私書き終えてなくて。」
「いいよ。えっと…はい。」
佐々木が差し出したノートを受け取って、ありがとう。とお礼を言って席に戻る。
席に着いたら次の授業の準備をしてから佐々木のノートを広げて自分のノートに書き写す。
―…泉の視線を感じる。
まぁ仕方ないけど。だって泉は佐々木が好きなんだもん。言ってしまうと泉のグループの夏美だって佐々木の事が好き。夏美は泉に協力するとか言いながら自分も好き、だなんて凄い度胸だと思う。私も前は泉と同じグループだったが佐々木を好きになったのはグループを抜けてからだから夏美とは違う。
ノートを書き写し終えれば、笑顔で丁寧にお礼を言って返す。佐々木は
「おぉ。」とノートを受け取った。何気ないやり取りが嬉しい、これは恋がどんなモノかを物語っている。
席に戻ると友達の美衣と亜美が話しかけて来た。
「奈々子頑張ったね〜!」
「ねぇ、偉いぞ奈々子ッ!!」
2人とも私が佐々木を好きな事を知ってるし、泉達との事も全部知ってる。だから良き相談相手だ。美衣と亜美とは仲が良い。だが2人には既に2人のグループが出来ていてそれに無理やり入ったって無駄だ。だから、普通のお友達として付き合う。仲はいいけど仲が良すぎるとまでいかない関係。
こっちの方が深い友情関係よりも全然楽だ。美衣達が私の席から離れると、
「邪魔だよねー。」
という言葉が耳に入って来た。
「ウザイよねー。」
「ホント。何でいるわけ?」
泉と詩織の声。どうせ私に向けて言ってるんだろう。先生とかに告げ口されるのが嫌だからあえて名前を出さない…卑怯な奴らだ。
くだらないけど、結構キツい。心を何かで締め付けられてるように悲しい。ここから逃げたい。
でも逃げられない。
――何でそんな事言われなきゃいけないのよ。私何もしてないじゃない。何かしてるのはあんた達でしょ?
居心地が悪い。泣きたくなる。誰か助けてよ。くだらない事って分かってる。でも悲しいモノは悲しいのだ。私の心は確実に傷ついてる。
――傷ついたことがないからあんな風に言えるんだ。きっと自分達がやってる事がどれだけヒドいのか、なんて分かってないんだろうな。
チャイムが鳴って、泉達の陰口は聞こえなくなった。詩織は席に戻って行った。詰まりそうだった息は正常に戻る。
いつか詩織も泉も同じ目にあう時が来るから。気にしちゃいけない。私は大丈夫。そう心に言い聞かせて授業を受け始めた。
うーん…ヒロイン可哀相です。次はヒロインの現在の恋愛模様が分かるようにしたいと思います!!次回も是非読んで下さいね(^^ゞ