2029年8月1日 フランクフルト空港
サッカーのある人生は楽しい。
楽しんでサッカーをするようになってから、サッカーの神様に愛されてる気がする。
日本代表に定着してから、サッカーができる環境が好転している。
個のスキルが高い選手とサッカーをすると、自分が引き上げられる気がするんだ。
「まだまだ、私は上手くなる」
そう思わせてくれる。
いつもの感覚より1歩先でトラップできた時、オフサイドギリギリで飛び出してシュートできた時、
もっと先が見たい。
そう、思う。
海外のチームからオファーが来た。
ドイツのカールスルーエというチームだ。
まだ、やり切ってないけど、ドイツに行こうと決めた。
やり切ったから行くんじゃなくて、やり切る途中にドイツがあったってこと。
もちろん、会いたいよ。
でも、約束は守る。
2029年8月1日 フランクフルト空港
やり切ったら会う約束だよな。
ここに集合ってことは「やり切った」ってこと?
「おーい!ドラゴンマスク!」
「はっ恥ずいから!その名で呼ぶな!」
「久しぶりだね」
「2年?くらいかな?」
「代表戦とか一方的に見てたけど。あ!チケットありがとう」
「こっちも代表戦、見てたよ。すげーじゃん」
「いやいや、あの、ザイオンと戦っちゃうドラゴンマスクもすごい」
「なんだよそれ。怪獣映画じゃん」
・・・親子で発想が一緒だな・・・・
「なんかさー見てて眩しかったよ。ザイオンと並んでるんだもん」
「ザイオン超えるのは、ハンパないと思うよ。フィジカルじゃ敵わない。負けたくないと思ってやってるけどね」
「Zuki, ich drücke dir die Daumen!」 「Zuki, ist das deine Freundin?」
空港なので声がかかる。手を挙げて軽く挨拶をする。
「よ!有名人。なんて言ってるの?」
「頑張れよとか・・・」
「とか?」
「彼女かい?ってさ」
瑠は手を挙げて日本語で言った。
「彼女でーす。それと・・・」
それと?
「カールスルーエの選手でーす。よろしくー」
「ええええええええっ!」
「うん。オファーもらって受けた」
「それできたの?」
「そう、それで来た」イタズラっぽく笑った。
やっぱ笑った瑠はいい。
「やり切ろうと思ったら、途中にドイツがあったw」
「なんか、交差点みたいだな」
「うん。だからここで会うのもありかなって。サッカー以外は、深くも広くも先も考えてないで、ここに立ってる」
・・・さすが瑠だ・・・
「じゃ、とりあえずクラブまで案内するよwいこ!」
「ありがと!助かったー」
瑠の荷物を押して、瑠の隣を歩く。
これからのことに目を輝かせる瑠は、うん、いい。
瑠はこうでなくちゃ。
ドラゴンマスクはいつだって私を助けてくれる。
だから大丈夫。
私たちのサッカーは終わらない。




