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終わりの湖に咲く花

作者:桜木美海
 空が欠け、世界が緩やかに終わりに向かう世界。
 主人公であるリスは、世界の終わりを「観測」し、「記録」することだけを己の使命とする少女。感情を排し、内面を空っぽにすることで、世界の滅びを客観的に残そうとしていた。

 ある朝、氷のひびのような「空が欠ける音」を数える屋上で、リスは老人に頼まれ、街外れの半壊したパン屋を訪れる。そこで出会ったのは、シャッターに「今日も焼きます」とチョークで書いて本当に焼くノアという三つ編みの少女だった。
 ノアは母親に「最後のパン」を届けるため、危険が迫る南東の湖へ向かうことを決意する。ノアは言う。「今日の味は今日食べなきゃ」「覚えてるって、生きてるってことだよ?」。その言葉と、分け与えられた温かいパンの味は、リスの空っぽであるべき内側を微かに揺さぶる。

 非難警報が鳴り響く中、二人の前に現れたのは、冷静沈着な元兵士のシエル。シエルは、目立つ「子どもと、記録者と、パン袋」を連れたノアたちを、渋々ながらも護衛することになる。
 旅の途中、三人は亡くなった人々の記憶の残滓である「残響」に遭遇し、リスは過去の「痛み」に襲われる。感情を排するはずだったリスのノートには、ノアの言葉、シエルの判断、そして自身の「胸の痛み」が記されていく。

 世界の残骸が並ぶ「風の街道」を、パンの匂いと火の音、そして互いを支え合う小さな言葉を頼りに進む三人。
 これは、滅びゆく世界を前に、「記録者」として生きる選択をした少女と、「生きる」ことの熱を信じる少女、そして彼女たちを守る「兵士」が繰り広げる、切なくも温かい旅の物語。

 彼女らの旅路の果てにある「終わりの湖」で、咲く花とは一体何なのか──。
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