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第十二章

我が家には既存の魔道具ではなく、私の意識にある知識から開発した独自の魔道具があふれている。コリンはその過程を見てきたため、違和感なく受け入れていた。


しかし、デベスは違った。顔を合わせたのも数回、知り合いとしても浅い部類だろう。そんな彼に提案した内容の魔法契約書を手に取った。


『秘密厳守』——これが守れなければ、住み慣れた森での暮らしが消えてしまうかもしれない。ヴァイスの懐かしい顔に押されたのは確かだが、それでも私らしくないと肩を落とす。


「その時は全て消してしまいますか」


私の生活が変わるより、多少精神に干渉してデベスの記憶を改ざんすればいいのだ。


こうして、私とデベスとの共同生活が始まった。


「すっげぇ、師匠って金持ちなんすね」

「長く生きるからね」


思っていた感想とは違ったが、既に彼には単独行動時に発動する魔法がかけられている。どこで何を話すかが記録され、私に伝達される仕組みだ。


「じゃあ、普段の二人の連携が見たいから、荷物を置いて少し離れた森へ行こうか」

「はい!」


魔法鞄と背負い袋に詰め込まれたデベスの荷物を見て、少し多いと思ったが、寝具から生活用品まで全て持参してきたことが分かった。


「俺、辺境の生まれで、そこから持ってきた荷物をずっと持ち歩いて宿屋に預けてたっす」


物を大事にする性格のようだ。客室はないが、個室をいくつか自由に使わせると、部屋の中はほぼ彼の荷物だけで暮らせる空間となった。


「魔法鞄がすっきりしたっす」

「じゃあ、行きましょう」


家から出ると、待たせていたハルに興味を示すドベル、そしてハルを見るイリスの目には、微かに好奇と警戒が混ざっている。あの目つきは、ドベルに何かを仕掛ける時の目だな、と私には分かった。


すぐに悪戯する気はないらしく、ハルに乗るデベスの後を追い、自由に狩りをさせる。普段の行動を観察することにした。


「ハル、いたっす!」


デベスが獲物を見つけ、ハルに指示している。ワイバーンを軸に、弱った所をデベスが仕留める狩りの方法だった。


「では、今すぐ改善できそうな狩りの手本を見せます」

「よろしくお願いするっす」


特に説明もせず、ワイバーン持ちの狩りを想定して、魔道具の杖を使った魔法連携を示すことにした。


「師匠も乗るんすか?」

「ええ、ハルに乗らないと教えられませんからね」


ハルに乗り、操作を交互に体感させる。横にずれたデベスには何も口を出さず、見守るように指示した。


「では、ハル。狩れる魔物を見つけてみなさい」


意志が通じたようで、高く上がり、ゆっくり旋回する。一体の中型だが大きな魔物を捉えた。


「あれは顔方向へ進む。ハルは私の魔法が当たるように魔物の気を引いて」


初めての連携で、ゆっくり意思を伝える。


「もう少し距離をあけて」


追い込まれ疲れた魔物が隙を見せた瞬間、風の魔法と杖の効果で首を落とす。場所を選べば、この狩りを覚えた後は素材を高く売れるし、持ち帰れない素材はハルが消費できるとデベスに説明した。


「なんとなく解ったっす」

「じゃあ、獲物は鞄にしまって、次はデベス」


やる気に満ちたデベスは感覚を掴むのが早く、ハルに追い込ませて魔法を放つ状態までは順調だった。しかし、ハルに当たるのではという疑念から何度か外し、最終的にはハルが倒した後の状態となった。


「お互い信じるしかないですね」


信じはしているが、まだ完全には信頼していないのだろう。森の風が穏やかに吹き、葉擦れの音が二人の緊張を和らげる。



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