下校3
佐々木君が私の家に来たいの!?
「もしよかったら、テスト近いし一緒に勉強しない?」
というのは、口実でやっぱり私の弟に会いたいのかもしれない。しかし、今日は無理だ。
「えっ……。わ、わ、私の部屋は、今、すごい汚くって」
部屋自体は、綺麗だけど大量のBL本がある。さらに、将来の夢は、BL小説家という私の部屋には、大量のアイデア帳、妄想ノートがあった。あれを見られるわけにはいけない。あれを見られたが最後、クラスで村八分となり、後ろ指を指されながら生きていくことになった私は引きこもりとなり、親のすねをかじりながら生きていくことに耐えられなくなり、最後は自殺ENDを迎えるに違いない。
私の返事を聞いた佐々木君は、残念そうにため息をついた。
「……それなら、しょうがないね」
話題が終わって、静寂が訪れた。しばらくすると、佐々木君は、静寂を打ち破るように口を開いた。
「そういえば、もうすぐ俺の誕生日なんだ」
「そうなんだ」
「誕生日は、誰と過ごすの?」
やっぱり彼氏と二人っきりなのだろうか。
「友達とかと過ごすよ。普通に過ごすからな」
何か普通を異様に強調された気がする。何かやましいことでもあるのだろうか。
「もしよかったら、山田さんもその日、遊びに来ないか。5月12日なんだけど」
「その日は、用事があったから遠慮しておくわ」
本当は、用事なんて全くないが、佐々木君にとって大人の階段を上る一歩目になるかもしれない誕生日を私の存在で邪魔するわけにはいかない。
「……そっか」
佐々木君は、残念そうに小さくそう呟いた。
誕生日……。そう、そこには、重大な恋愛イベントが勃発するチャンスが眠っている。誕生日は、きっと仲のいい友達である村田君と二人きりで過ごすのだ。
『誕生日プレゼントは、何がいい?』
そんな風に問いかける村田君。そこで、勇気を振り絞って佐々木君は、本当の気持ちを言うのだ。
『誕生日プレゼントには、お前の脱ぎたてのパンツが欲しい』
佐々木君の頬は、リンゴのように真っ赤に染まっていた。
『恥ずかしいな』
照れながらも、脱ぎたての温かいパンツをわたす村田君。
『ありがとう。でも、重大な問題があるんだ。脱ぎたてパンツ、上から被るか、横から被るか……。一体、どっちが正しいのだろうか』
真剣に悩みだす佐々木君。
そんな佐々木君に向かって、心優しい村田君は明暗をひらめきました。
『じゃあ、僕が昨日履いていたパンツもあげるよ』
そして、昨日のパンツを笑顔で差し出した。『やったー。それなら、両方から被れる』と無邪気に喜ぶ佐々木君。さっそく、佐々木君は、両方向からパンツを被った。
『気分は、どう?』
『まるでパンツの天国にいるみたいだ』
佐々木君は、笑顔でそう言った。まあ、佐々木君は、なんてはしたなくていやらしい子なんでしょう。
「や、山田さんの誕生日は、いつなんだ?」
何故か佐々木君の声が裏返っている気がする。気のせいだろうか。
「えっと、12月29日。冬休みなの」
「じゃあ、まだまだだね。何か欲しいものとかあるの?」
「えっと、新しいイヤホンかな」
「へー、意外と普通のものなんだね」
「意外とってどうしてどんなこと思うの?」
そう聞くと、佐々木君は妙に焦ったように頭をかきだした。
「えっと……。いや、だって、山田さんって、いつも一人で小説ばかり読んでいるから、周りの女の子と欲しいものとか違うのかなって……」
「私だって、いいイヤホンくらい欲しいわ。好きな音楽を高音質で聞きたいからね」
本当は、BLCDをできる限る高音質で聞きたいからだけどね。
「そっか……」
納得したように、佐々木君は微笑んだ。