第41話 怖かったぁ ある平民目線
気になっていた屋敷の門が開かれていた。ちょっと近寄ると門番がなかに入るように誘ってくれた。ちょっと変な匂いがする。
まぁ貴族のおうちだし、変なものはないだろうと少しずつ奥に進んだ。
なんかヤバそうなやつらに、これまたやばいやつが、話をしている。
なんだか、とんでもなく汚い。そりゃ俺たち平民だもの貴族様程きれいにしてない。だけどあれはひどい。
だが、そいつらと話していた金髪の男はほんとにやばいやつだ。やけに綺麗な顔が怖かった。
この屋敷の外へあいつらは出たらいけないらしい。よかった。子供への影響が心配だもんな。
それから、いつものたまり場に戻って安心して話していると、ジムが
「でもあのやばいやつって王太子に似てたな」と言い出した。
俺たちは王太子ともう一人が戻って来た時、見かけたのだ。
なんでも、竜が出て町とか村とかが、壊滅して、あの二人が行って竜を退治したとか・・・
戻って来たお二人は、しゃんとしてかっこよく、これまたかっこいい兵隊が足並み揃えて馬で行進していたのだ。
俺はおもわず頭をさげてひざまづきそうになったが、思いとどまった。なぜかと言うと、娘っ子がキャーと騒いで手を振って飛び跳ねていたからだ。あんなのに踏まれちゃかなわんからな。
俺は似ているといえば似ているけど、別人だと思う。そこで
「ありゃ、影武者と言うやつだろう」
「影武者ちゃなんだ?」
「えらいやつは忙しいだろ、だから自分に似たやつにも仕事をさせるんだよ」
「なるほど、それならあいつは影武者でも大した事ない影武者だな」
「そうだ。あんな臭い所に本物は行かんだろう」
「そうだな、あの日町でみかけたあのお人はもっときれいでかっこよかった」
「おぉ、だけど影武者えらかったよな、俺たちが外に出るまで変なやつを近づけなかっただろ」
「おぉお前も気がついたか。良かったよな。あんなのなんか、触りたくないしな」
「そうだ。あそこに近づかないように皆に言ったが当分、見張っといたほうがいいかな」
「俺もそう思う」
後で俺はふと考えた。そもそも王太子はあんなところへ来ないだろ・・・・ってことはあれは影武者とかじゃなくただのやばいやつってこと?
俺たちは関係ないことだ。




