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王命なんて・・・くそくらえですわ  作者: 朝山 みどり


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第31話 お茶会が終わらない ある貴族夫人目線 

レッド公爵のお母様、前公爵夫人からお茶会の招待を受けた。もちろん出席させていただく。先日、マダム・ボーテメルバの前で馬車をお見かけしたから、多分ドレスはあそこのをお召になるわね。なにを着ていくか難しい。あちらより華やかだと公爵夫人の機嫌が悪くなるし、地味にしてると他の方から馬鹿にされる。



さんざん迷って、ドレスは地味にして、アクセサリーをドレスと同色にして見る人が見ればって装いにした。


みなさん、気を使った装いにさすがと思いましたし、お嬢様二人もマダム・ボーテメルバだとは脱帽でした。さてどのタイミングで褒めるかと時期をみておりましたら、それどころじゃなかったですわ。



なんでもジルフォード様がご乱心なされたとかで、王命で結婚した平民を教育したお母様とご令嬢二人に暴力を振るったとか・・・・・公爵家は亡き公爵様の弟様の所のフレデリック様が継ぐとか・・・・


大変、早く帰って一族に伝えなくては・・・失礼を承知でおいとまを願うと当然、予想してらしてにこやかに玄関まで送ってくださったわ。


それで帰ろうとしたら出入りが止められてましたの。見ると野蛮そうな男とどこかの兵らしきものがいて、公爵家の護衛はやっつけられてました。だらしないわね。


それで、お茶会の続きをしましたが・・・・とても刺激的な話題だし、実際の戦いとかを見るのも初めてだし・・・ポイっと投げてましたわ・・・・いつもよりたくさん喋りましたわ。


だけど、最初はお客として当然のもてなしだったけど、だんだん食事が貧相になって、わたしの侍女は苛められるし。主人として庇ってあげたけど。



お風呂にも入れないし、着替えもないし・・・・外と連絡取れないし・・・・汚くなるし・・・・おなかすくし・・・わたしの侍女も、実家から連れてきて大切にしてたのに、自分の食べ物をわたしにくれなかったり。



主人がお腹を空かせているのに、なんで自分が食べているのよ・・・・叱ったらわたしの世話をしなくなった・・・


髪もとかしてくれないし、顔を洗う水を持って来ないし・・食べ物も・・・ほんとにあいつと来たら・・・



それで自分で食べ物を取りにいったら他家の者には渡さないと決まったとか、言うから平手打ちをしたら殴り返して来たのよ。


伯爵夫人に対して無礼だから引っ掻いたり蹴ったりしたの。爪が割れちゃったのよ。あいつら、躾がなってないのよ。


公爵家とか言っても大したことないわ。それからは食べ物が配達された時はまわりのやつらを手当たり次第に殴りつけて奪い取るのよ。手に持っていても油断できないのよ・・・・あいつら食べかけでも平気で取っていくんだから・・・・



この前、奪い取った肉を隅で食べたら、あいつが石で殴りつけて来たから、石を奪い取ってやり返してやった。ざまぁみろってんだ。いい気味だ。


倒れたあいつに蹴りを食らわして、靴も奪ってやった。ちょっと小さいけど・・・・裸足よりいい・・・



地面に突っ伏してもごもごしてるから、もう一回、石で思い切り殴ってやった。すかっといい気分だ。



次の日、あの王太子がやって来た。久しぶりにまともな、食いもんみた。



家に送ると言うから馬車に乗ったら、なにやらひそひそ話している。さっさと動いてちょうだいな。


やっと動き出した。どこかホテルに寄ってお風呂に入ってきれいになってから家に帰りたいと御者に命令したのに、返事がなかった。



いつのまにか寝ていたのか目が覚めたが、なぜ家に着いてないの?王都に家があるのに・・・・


馬車が止まり、扉があけられた。暗い建物が見えた。降りると・・・・ここは修道院だわ。


「何、間違えてんの?・・・間違えていますわよ。ここはわたくしの屋敷ではありませんよ」


「あたりまえだ。あんたは侍女を殺しただろ。ここで罪を償うんだ」と乱暴な口調で言われた。


「なんですって、たかが、侍女ですわよ。おまけにあの侍女は、主人のわたくしに対して無礼を働きましたのよ。それをたしなめたら、勝手に死んだのよ。主人の許しも得ないでよ」と丁寧に理由を説明したのに


「連れて行け」ですって!ここは身分を教えてあげなくてはと思ったら、


「こいつだね、汚いね。すぐに川につれて行っとくれ。洗うんだ。それから頭が冷えるまで地下に放り込んで」


すると誰かがわたしの首の後ろを掴んで引きずった。


「あたしは貴族よ。侍女を殺したぐらいで」と言うと


「残念ながら、あんたは貴族じゃない、平民だ。あんたみたいな貴族がいるわけない。誰がみたって地べたを這いずり回ってる女じゃないか・・・・」と引きずりながらそいつが言った。


「違う。貴族・・・・伯爵夫人・・・」と言うと


「そうかい、あたしゃ、神代王朝の姫君だよ」その女はわたしを川に投げ込んでから言った。そして


「食い扶持ぐらい稼いどくれ、穀潰しを買う余裕はないんだよ。修道院は貧しいからね」と腰に手をあてて、わたしを見下ろしながら言った。



あれから、あたしは、火の中で煎った「香果」を集める作業に割り当てられた。鉄でできた網ですくうのだが、支給された手袋は役に立たず、飛んできた火の粉で肌は火傷だ。


監督が見回りに来た。


「なに、ちんたらしてんだ?熱いだと?生きてりゃ熱さくらい感じるだろ。甘えてるんじゃないよ」


「こんちきしょう」とあたしはそいつに殴りかかった。


「なにするんだい!」そいつは手に持ったムチであたしを打った。三回打たれた所であたしは倒れた。


倒れたあたしを蹴りながらそいつがなにか言ったが、もう聞こえなかった。



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