第1話 薬師はポーションを作る
ティーナは、自覚なしの天才薬師。薬師長はその才能を隠すためにティーナには助手をつけずに仕事をして貰っている。王宮薬師はむずかしい研究とか、複雑な薬作りしかやりたくないので、熱冷ましとか痛み止めとかを作ってくれるティーナに好意的だった。
ティーナの才能を守るにはどうすればっと考えていた王太子の親友にして側近の公爵が、ティーナに一目惚れしたことで、この問題は解決した。
したのだが・・・新たな問題が・・・公爵家の冷遇のぶちきれたティーナが家出したところから、新たな騒動が巻き起こった。
うーんと今日は熱冷ましを百本と、美肌薬を五十本。指示書を見たわたしは棚から薬瓶を五十本ずつ運んだ。重いから一度に運ぶのは五十本だ。
それから鍋のなかにそれぞれの薬草を入れると火にかけた。
後は薬が出来上がるまで、見守る。見守っていると薬が出来た。少し冷ますと瓶に詰めて行く。これは十本ずつしか出来ない。ちょっと面倒な作業よね。
でも頑張ったおかげで全部出来上がった。これは部屋に置いておくと係員が運んでくれる。
さて、今日の仕事は終わったけどまだ、お昼前だ。三時の退勤時間までたっぷり時間がある。
わたしは本を取り出すとソファにデレっと座った。
一時になるとわたしは水と簡単なサンドイッチでお昼を済ませる。
前は食堂に行って友達としゃべりながら食べていたが、貧乏になって食堂にいけなくなったのだ。
王宮薬師ってエリートだからわたし程度でも庶民にしては高給取りだったのに、たちの悪いのに捕まって給料をとりあげられているのだ。
所詮王様と貴族には勝てないってことだよね。
仕事は楽だし文句ないけど、甘い言葉に騙されたってことよ。
三時になるとさっさと部屋を出て、家に帰る。家は王宮内の寮だ。まえはちょっと町にでたりしてたけど今は直帰しかしない。
だいたい端数しかもらえないから今月使えるお金の予想がつかないのよね。九千ゼナだったらいいけど、三百ゼナだったら運命を呪うしかないでしょ。
さて、今日はお休み。だけどわたしは働く。雑貨屋さんにやって来た。
「おぉティナちゃん、空き瓶集まってるよ。疲労回復と喉の薬でお願い。なんでも喉のはね、声が良くなるって言い出した人がいて人気になってるんだ」
「わかった。奥をかして下さい」
わたしは休みの日は雑貨屋さんの台所を借りてポーションを作っているのだ。これがあるからなんとか食べて行けている。
材料のハーブティを確認する。大丈夫だ在庫がある。わたしはティーバッグの糸を切り取るとティーバッグを鍋にいれて火にかけた。
お昼をご馳走になった。命が繋がった!!感謝。
本屋さんにはわたしの好きな作家の新刊が並んでいるけど、買えない。
なんの為に働いているんだろうか・・・・・孤児院の先生に相談したいけどお貴族様相手だしね・・・・
図書館に寄って来週、仕事場で読む本を借りて家に戻った。