最終話 (6日目)
2024/05/06公開(3/3)
うん、結果的には一番良い結果になったのかな?
三下級の悪役の邪罵には、結局のところ失望させられた。
掴んでいる情報では分からない、何かの深謀遠慮が行動の背景に有れば、という期待は完全に空振りした。
まあ、1ナノ㌘くらいの期待だったけどな。
それだけに、期待を持たずに会いに来た、大精霊ゴックスが庇護を与えているミグロウザ2世・クン・ゴック王がまともな人物だったのは嬉しい誤算だ。
17歳と6か月の若い王だが、意外と大精霊と神に対応するセンスは良い。
まず、玉座から降りて配下と同じ床面に立って待っていた事が高得点だ。
もし、玉座に座っているか、後から入室して来る様なら、甘やかされて育った坊ちゃん、と見切りを付けていたかもしれないな。
受け答えも十分に及第点だ。
咄嗟の反応も良かった。
これなら、俺にとって最大の関心事だった、俺が庇護を与えるリックとベスの兄妹と上手く付き合えるだろう。
まあ、政治的な面はこれから判断するとしてだが、今回の件で政治基盤が整った筈だ。
足を引っ張っていた邪罵の失脚は大きな追い風になる筈だ。
この状況をどう使うかで、政治面の実力は分かるだろう。
「大変有意義な時間を過ごせた。どうやら良き隣人として良い関係を築けそうだ」
『よく言う。我を脅しておいて、どの口が言う?』
「はははは、ゴックス殿は大袈裟だな。まあ、最悪の場合、神罰の一つも下す必要が有るかも?と考えていたのは事実だよ」
おっと、口が滑った。
謁見の間の空気が凍り付いた。
ミグロウザ2世君もドン引きしている。
『ほう・・・ それはどんな事を考えていたんだ?』
「そうだね、この地に居る精霊たちに命じて、信仰心か神に対する惧れの度合いに応じて魔法を使えなくしたりする事とかね」
おっと、また口が滑った。
さっきまで北海道の真冬並みの凍り付き具合だったが、今は北極並みというところか?
まあ、両方とも前世では行ったことが無いんだが。
『恐ろしい事を考える。代神が許すとは思えん』
「ザビナオーレ様は何も言わないと思うよ。『一罰百戒』という素敵な言葉が有るんだ。罪人の1人を罰する事で同じ罪を犯した沢山の罪人に対する戒めとする、って意味さ。効率的だろ?」
宇宙空間かな?
絶対零度並みに寒い空気が漂っているけど?
「ミグロウザ2世・クン・ゴック王、この人間の処分を任しても良いだろうか?」
俺はそう言って、完全に心が折れて大人しくなった邪罵を指差した。
「新たな神ジョージ・ウチダ様、その者の処分はお任せ下さい。それと『一罰百戒』という素敵な言葉をご教示頂き、誠に有難う御座います。心に刻む事を誓いましょう。ふむ、良い言葉なので他の国もこの言葉を伝えましょう」
そう言って、ミグロウザ2世君はチラッと邪罵を見た。
切り離されたトカゲの尻尾を見る目だった。
その後で、こちらに向けた視線から判断すると、俺の言いたい事をちゃんと受け取ってくれた様だ。
そうそう、下手すれば国に対して振るわれたかもしれない神罰を、邪罵1人に押し付けて、この国や他の国に対する戒めにしてこそ、初めてこの会談に意味が出るんだからな。
これから苦労する事に対する対価では無いが、せっかくだから良い子にはお土産を上げようか。
「礼には及ばないよ。そうそう、忘れる所だった。俺の育ったところでは、引っ越しの際にご近所さんにお土産を渡す習慣が有るんだ。今回のお土産は、そうだなぁ、今まで以上に魔法士になり易く、もう魔法士になっているなら魔法尉になり易い様に精霊たちに言っておくと言うのはどうかな?」
反応はどよめきだった。
このお土産による恩恵は計り知れない。
これで、ドムスラルド領を取り戻す難易度は大きく下がる筈だ。
取り敢えず、今日の所はこんなもので良いだろう。
さて、今日のベスのお話は、どんな事かな?
また、花冠をくれるかな?
貰った花冠は全てお宝にするぞ。
で、いつか博物館でも造ろうかな?
小さな子供のおしゃべりを聞く事をこんなに楽しく思うなんて、こちらに来るまで想像も出来なかった。
人生は何が有るか分からんもんだな。
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