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盗賊成敗

 リックは13歳になったばかりである。

 だが、年の割に体は大きく、いっぱしの大人に見える。女と見まがうような美少年で、そのために首領の愛人のひとりとして、売られずに残されていた。

 盗賊団にさらわれたのは8歳の頃。小さな村。家で寝ていたら、いきなり男が入ってきて、さるぐつわをかまされ、手足を縛られ、大きな袋に入れられた。


 次の記憶は盗賊団のアジトの牢獄。ほかにも子供たちが何人かおり、皆、虚ろな目をして座っていた。

 子供を性的欲求の対象にする首領に気に入られ、その日から彼の夜の玩具となった。

 当初こそ、恐怖と不快感を感じていたが、それもすぐに消えた。生き残るために精一杯努力し、気に入られなくてはならなかった。


 そんなリックの役目も2年前に終わった。

 体が大きくなり、変態首領の興味がなくなったためだ。それでも愛着はあったのだろう。彼は盗賊団に加えられた。


 強盗。人さらい。殺人。それらの手伝いをなんでもやってきた。すでにそれらを悪だと感じることすらなかった。子供の倫理観はとっくに崩れ去っており、いかに盗賊団で良い目に合うか。それしか考えれられなくなっていた。


 もちろん女も知っている。

 自分と同じくらいの年頃の女が泣き叫ぶといっそう興奮する。まるでさらわれてきた頃の自分を見るようで。運命に対する復讐のようで。


 盗賊団におかしなことが起こったのは2週間ほど前のこと。首領が女に夢中になったのだ。あの、男児にしか興味のなかった首領がである。

 その首領の命令で団の者はエレノア・ウィンデアという女を殺すことになった。なんでも莫大な報酬が得られるという。


 そこからはるばる東へ移動。アジトを引き払い全団員が集合場所の森へとやってきた。


「なにも全員で行かなくてもいいよなあ」


「まったくだ。ボスは狂っちまったんじゃねえか」


 一緒に移動してきた団員たちがそんなことを言った。5、6人の小集団で移動してきたのだ。


 だが、集合時間まで余裕があったし、途上、リックたちの集団は大いに楽しんだ。村人を襲い、旅人を脅し。特にリックは、母親の前で泣き叫ぶ娘を犯すのが最高に楽しかった。


 そんなこんなで予定日に集合場所の森へ到着。だが、そこには自分たちの盗賊団の他に別の盗賊団の者たちもいた。中には、自分たちの団と対立している団のものたちまで。


 本来ならば、そこで待機など無理な話だ。ならず者はテリトリー意識が強い。自分の身内以外と対すると緊張し、いっそう攻撃的になるのだ。

 だが、不思議なことに頭の中に、「この場でエレノア・ウィンデアが来るまで隠れて待機する」という強い想いが生まれており、それに従ってしまった。


 こうして隠れて待っている今も、頭の中でそれは絶対優先しなくてはならない事柄であるように思えていた。


 それが、ふいに消えた。

 頭の中をあれほど占拠していた、もはや強迫観念のような想いが、綺麗さっぱりと消えてしまったのだ。


 あれ、俺、なにしてんだ?

 こんなとこでじっとして。

 ああ、そうだ。エレノア・ウィンデアとかいう女を殺すんだ。そうすりゃあ、すごい金が入るってボスが言ってたんだ。


 いきなり、近くで怒鳴り声がした。

 それに呼応するような別の怒声。いたるところで、喧嘩が始まった。

 喧嘩を仲裁するような声も交る。


 たく、なにやってんだか。

 そう思うリックだったが、目の前で仲間と別の盗賊団の男が喧嘩を始めてしまい、その加勢をする。


 喧嘩は殴り合いからすぐに武器を手にした殺し合いへと変わる。


 その時だ。

 誰かが叫んだ。


「おい、エレノア・ウィンデアが来たぞ」


 その声に周囲が静まり返る。馬蹄の音が草葉を揺らす森の調べに交って聞こえる。まるで打楽器のようだ。

 間もなく、道の先から2頭の馬に引かれた大型馬車が走ってきた。


 弓やクロスボウを手にした者が、それを次々と射る。剣を手にした者たちが雄叫びをあげて森から飛び出し、馬車に殺到する。

 馬ならばすぐに馬首を返すこともできるだろうが、馬車、それも2頭つなぎの大型馬車ではUターンもままならない。もちろん、馬車は後退などできない。つまり、進むしかないのだ。


 馬車の御者台で立ち上がる者があった。

 リックは最初、御者かと思った。だが、違う。黄金の髪の女だ。キラキラと銀の胸当てや籠手。なびくスカート。


 あれがエレノア・ウィンデア。

 リックは思わず見惚れてしまった。

 御者台に立つエレノア・ウィンデアのなんと美しいことか。


 そのエレノアが跳んだ。高く高く跳び、宙でその足元がピカリと緑色に光り、またそこから跳ぶ。


 エレノアは群がる男たちの前に、さっと着地すると、剣を抜いた。


 なにが起こったのかリックには分からなかった。

 エレノアは男たちに群がられ、力づくで引き倒されるかと思ったのに。彼女は男たちの背後に立っていた。

 まるで瞬時に男たちをすり抜けたかのようだった。


 真っ赤なカーテンが揺れたかのように、血しぶき舞う。男たちの首が、胴が割れて、体の上をズレていき、地に落ちた。


 それに第二陣の男たちがピタリと足を止めた。エレノアが左手を前に突き出す。

 赤い閃光。真っ赤な魔法陣が現れ、そこからオレンジ色の球体が次々と放たれる。直後に起こる連続爆発。

 飛び散る肉片。立ち込める赤い霧。


 すでにエレノアの姿はない。

 彼女は木々の中に分け入って、木の幹を蹴っては跳び、宙を光らせ蹴っては跳び、盗賊たちを斬り殺す。緑色の斬撃を飛ばし、見えない風の刃で切り裂き。隠れている大木ごと切り倒す。


 ば、化け物。

 リックは戦慄した。体が震える。

 あんな女を殺せるわけがない。


 逃げろ。逃げないと、死ぬ、殺される。

 なんとか体を動かそうと力を振り絞る。

 その時、ふわりと風が起こった。髪が風を受けて踊る。

 えもいわれぬ良い匂いが香った。

 リックの額に触れるかどうかというところに剣があった。

 そして、目の前にはまるでフレア神の顕現した姿のような絶世の美女。


 リックは自身の命が今まさに刈り取られようとしているにも関わらず、エレノア・ウィンデアから目が離せなかった。心を奪われていた。


「あなた、お歳は?」


「え、あ、あ」


「年齢を聞いているのですけれど」


「じゅ、13」


「そう。それならば殺しませんわ。約束ですもの」

 その言葉を残し、エレノアは目の前から消えた。


 リックはへなへなとその場に座り込んだ。



 モーガンは国境近くの小さな村の出身だった。家は貧しかったが父、母ともに真面目に働いており、どうにか暮らしていけた。

 だが、モーガンが12の時に事件が起こった。父が強盗の冤罪をかけられて処刑されたのだ。母も後を追うようにすぐに亡くなった。

 ひとり残されたモーガンは街に出た。


 だが、なんのつても特技もないよそ者の子供に、世間は冷たかった。

 モーガンは生きるために身を堕とした。

 同じような少年たちと徒党を組んで、盗みや恐喝を働いた。


 こんな生き方、ダメだよな。

 いつもいつもそう思っていた。

 だが抜け出せない。仲間を裏切ることが怖かったというのもある。ほかに生きる道を知らないというのもある。

 それ以上に、現状にそのまま流されていくのが楽であったから。


 よく言われた。モーガンは甘い。

 仲間たちと一緒に殴ったり犯したりすることをしなかったからだ。必要最低限。どうしようない場合以外は殺人もしなかった。


 少しでもマシな人間でありたいと思っていたからだ。


 そんな風に流されたままダラダラと生きていたら30を過ぎ、盗賊団のそれなりのポジションについていた。部下を何人も率いる立場。

 だが、相変わらず、彼は影でこんな風に言われていた。

 モーガンさんは甘い。


 親友で、所属する盗賊団の首領に妙なことが起こったのは1週間前。どこの誰とも知らぬ女に夢中になったのだ。

 日頃から、「女は道具」と言っていた彼らしくもなかった。


 おかしなこともあるもんだな。

 モーガンはそう思ったが深く考えはしなかった。

 女にそそのかされたのか、首領はエレノア・ウィンデアという女を暗殺する仕事を請け負った。


「すげえ金が入んだよ。女ひとり殺すだけでだぜ。こんなおいしい話、乗るっきゃねえだろ」

 首領は言って、いぶかしむモーガンの肩を叩いた。


 確かに首領が言っていた報酬は破格だった。あまりにも高額過ぎて裏があるんじゃないかと疑うほどの金額。しかも、すでに前金を貰っているという。

 詳細を聞くと、なんでもそのエレノア・ウィンデアという女。隣のエフィレイア王国の上級貴族。政治闘争に負けて国を追われたらしい。依頼主は後顧の憂いを断つために彼女の暗殺を企てているとのこと。

 それならば莫大な報酬も納得がいく。


 金が入ったら足を洗うか。

 モーガンはそんなことを考えた。

 今までズルズルとこの業界でやってきたが、もう血を見るのはうんざりしていた。殺伐とした人間関係にも疲れた。

 貧しくても良いから田舎でのんびりと過ごしたい。


 計画通り部下を引きつれ、指示された森に来た。すると他の盗賊団らしきものたちが何人もいた。依頼主は節操がないらしい。

 よほどエレノア・ウィンデアを殺したいのか。

 だが、これではエレノア・ウィンデアを待つ間にもめ事が起こることは目に見えていた。盗賊団という集団は極めて排他的なのだ。


「この場でエレノア・ウィンデアが来るまで隠れて待機する」

 それは突如頭の中に起こった想念だった。

 強い想念。なぜ、などと疑問を抱くことすらできない。とにかく従わなければ。


 そうして待つこと半日近く。

 その間、周囲に隠れ潜んでいる男たちは声一つあげない。見事に森と同化していた。

 モーガンはそれを不思議に思わなかった。


 途中、何組もの旅人が森を通過していく。中には冒険者らしき護衛を連れた旅商人もいたが、誰も木々や草の中に隠れる盗賊たちに気づかなかった。

 それは『貪る女』レイナの魔術のためだったが、やはりモーガンは不思議には思わなかった。


 不意に頭の中がスッキリとした。

 つい先ほどまで頭の中を占拠していた強い想念が綺麗に消えている。


 なんだ、なんで、こんなところで隠れてんだ?

 ああ、そうだ、エレノア・ウィンデアを殺すためだ。それにしても暑いな。


 静まり返っていた森のそこらかしこから声が聞こえてきた。ざわめき。それに怒声が交る。


 なにやってんだ。静かにしろよ。

 モーガンはそう思ったが、他の盗賊団のこと。放っておいた。

 直後に、今度は部下たちがよその盗賊団ともめだした。


 さすがに放置できず注意する。

「おい、やめねえか。仕事の最中だぞ」


 だが、部下たちはモーガンの言葉など耳に入らないようで、他の盗賊団と殴り合いを始めた。最悪だ。


「おい、よせっつってんだろうがよ」

 アウトローになりきれない部分があるとはいえ、この業界も長い。威圧する方法は良く知っていた。低くドスの聞いた声。無視できぬ真剣味。そして殺気。


 部下もその相手もピタリと動きを止めた。

 モーガンの制止を聞いたわけではない。


「エレノア・ウィンデアが来たぞ」

 そんな叫び声が聞こえたためだ。


 道を見る。

 確かに遠くから大型馬車が走ってくるのが見えた。2頭つなぎ。かなりの速度を出しているようで、見る見る近付いてくる。

 気の早い者たちが矢を放つ。

 それにつられて、他の者も次々と矢を放つ。

 だが、矢は馬どころか馬車にもまるで当たらない。不思議なことに、馬や馬車に当たる直前に、勢いを失ってストンと落ちてしまう。


 その間にも、剣を手にした男たちが威勢の良い声をあげて飛び出していく。なにしろ、見たところ護衛はいない。馬車の中に数人乗っていたとしてもタカが知れている。


 御者台で女が立ち上がった。

 黄金の長い髪とスカートを後ろになびかせて。

 モーガンは女の美しさに一瞬、頭の中が真っ白になった。

 高級娼婦など比べ物にならぬ美しさ。

 神がかったような、いや、まるで神の化身のような美しさだ。


 はっ、と気づいたときには、道で男たちが血しぶきをあげて倒れていた。

 続く、爆発音。


 なにが起こっているのか、わけがわからない。

 ふと、部下たちを見ると、なにか黒い影が彼らをおおっていた。


「おい、どうした」

 怒鳴りながら腰の剣を抜く。


 黒い影が消える。その下から現れたのは、骨だった。綺麗に血も肉も皮も消えた骸骨が数体。それがまるで生きているかのような姿勢で立っている。


 見ると部下ともめていた男たちも同じように骸骨になっていた。


 なんだ、なにが起こってんだ。

 いや、それより、ダメだ。逃げないと。

 死ぬ。俺も死ぬ。


 その時、目の前に黒い人影が立った。

 まるで炎のようにたゆたう闇が体をおおっている。それは死そのものを擬人化した姿のように見えた。


 黒い人影がそっと手を伸ばす。


 ふっとなにか解放されるような心地。

 熱が身内から起こり、体中を満たす。

 それは心地よいとすら感じられた。


 そこでモーガンの人生は終わった。



 エレノア・ウィンデアの馬車が森を通り過ぎ、そからさらに東へ進んだ先にある村で休憩をとっていた頃。

 旅商人の一行が森へさしかかった。


 馬車2台。護衛に冒険者パーティを雇っている。冒険者パーティのランクはC。大規模な盗賊の襲撃にでもあわなければ、十分対応できる。


「待った。血の臭いがする」

 先行していた護衛の冒険者パーティの探査師スカウトが言って、鼻をひくつかせる。


「そうなのか? 誰かが魔物と戦ったとか?」

 並んで先行していた戦士の青年が言った。


「いや、そんな生易しい感じじゃねえな。ちょっと見てくる。俺が戻らなかったら、引き返せ。いいな」

 それだけ言うと探査師スカウトの青年は馬を降りて走った。さすがに速い。見る見る、その背が遠ざかっていった。


「どうかしたのかい?」

 先頭の馬車の御者をしていた依頼主が心配そうな顔で聞く。


「森から血の臭いがしたそうなんです。ザイルが様子を見てきますので、しばらくお待ちください」

 戦士の青年は依頼主を安心させるように笑顔で言った。


 一方、森へと入った探査師スカウトのザイルは、道の先に転がる死体の数々を見てうめいた。むせかえるような血の臭いが周囲に漂っている。まるで戦場だ。


 やべえ、魔物でも現れたか?

 最大限の警戒をしながら死体に近付く。

 ふと、気配を感じた。木々の中。まだあどけなさの残る少年がへたり込んでいるのが見えた。

 気配は他にもある。生き残りが何人かいるようだ。


 すでに死体の装備から彼らが盗賊団であることは分かっている。盗賊団が返り討ちにあった、そんなところか。

 だが、それにしても人数が多い。道路上にある死体だけでも40体はありそうだ。

 さらに木々の間にもそこらかしこに死体がある。


 ザイルは最初に発見した少年の元へと音もなく近付いた。

 少年はザイルを見ても反応がない。


「おい、なにがあったんだ?」

 ザイルが身を低くして少年の顔を覗き込む。


 青ざめ、震えている。凄まじい恐怖を受けたのだろう。


「ば、化け物だ。あいつは。あいつは……」


「あいつ? 魔物か? 魔物にやられたのか?」


 少年が首をぶんぶんと振った。

「綺麗な女。すげえ、綺麗だった。だけど、化け物。あいつ、化け物」


「女? 人間か?」

 あるいは女性型の魔物かもしれない。美女の姿で男を惑わす魔物もいると聞いたことがある。


「エレノア・ウィンデアだよ」

 いきなり少年が怒鳴った。

「あいつ、エレノア・ウィンデアが化け物なんだよ」


 それから少年は、おいおい、と泣き出した。


 ザイルは少年をそのままにして別の生き残りのもののところへと行った。今度は少女だ。見たところ10代半ば、いや、もう少し幼いかもしれない。

 彼女の周囲には綺麗に白くなった骸骨が林立していた。まるで生きているかのように、弓を構えていたり、剣を抜こうとしたりした、その姿勢のまま固まっている。


「どうした? やっぱり、女、エレノア・ウィンデアにやられたのか?」


 少女は少年とは違い、どこか夢見心地だった。首をフルフルと降る。


「黒い奴。闇を着ていた。黒い影がかぶさってきて。みんな、骨になっちゃった」


 ザイルは他の者にも話を聞いた。誰もが年若い。まだ子供といってよい年齢だった。

 身なりからいって盗賊団の仲間だったことは間違いない。だが、すでに戦意は欠片も無くなっている。むしろ動くことすらできないようだ。


 彼らの話を総合すると、どうもエレノア・ウィンデアを殺すために集められた盗賊団連合らしい。それが返り討ちにあった。

 戦ったのはエレノアと闇を鎧のようにまとう者。


 エレノア・ウィンデアといえば、エフィレイアの公爵令嬢で数ヵ月前に追放されたあのエレノア・ウィンデアだろう。セクプトの街を牛耳っていた領主代行と盗賊団と悪徳商人を一掃し。アロアーでドラゴンを退治し。圧政を敷いていた大貴族アドモア・ネイブル侯爵を一刀のもとで粛清し。王都では邪教の儀式を行っていたグリンニル侯爵にさらわれるも、返り討ちにした。

 もはやルゼス王国で知らぬものはないほどの英雄である。


 ザイルはもうひとりにも心当たりがあった。こちらも有名人だ。

『勇者』や『聖女』の属するAランク冒険者パーティ『ホライズン』の探査師スカウト、『闇をまとう者』クロウ。

 冒険者業界では最強の探査師スカウトと密かに噂されていた男である。


 エレノア・ウィンデアと行動をともにしていたのか。なるほど。

 妙に得心がいった。

『闇をまとう者』が味方についていれば、まさに百人力だろう。


 ザイルは引き返すことにした。

 あまり依頼主を待たせておくのもまずい。

 

 さて、どうするか? 


 生き残りの少年少女たちは無害といって良い。もし彼らの体調が万全でもザイル一人で十分対応できる。それが、もはや戦意喪失、呆然自失の態である。


 問題はこの惨状だ。依頼主に見せるにははばかりのある凄惨さ。一応、死体は道路の端に避けられており、馬車が通れそうだが。


 まあ、依頼主に任せればいいか。

 ザイルはそう考えると、急ぎ、馬車の元へと戻った。


 結局、依頼主はエレノア・ウィンデアがどのような所業を成したのか、ぜひ見たいと言い、森の中を通った。

 なにしろ旅商人は情報が命だ。それが今、話題のエレノア・ウィンデアのことともなればなおのこと。


 そういったわけで旅商人は森の中の盗賊の死体をしっかりと確認。彼は道中の先々で、その話をすることになる。

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