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猫の動物カウンセラー2  作者: K・Sメッセ
ナナの娘リン、ケジメをつける
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ナナの娘リン、ケジメをつける(6)

 ナナの娘リンは顔色ひとつ変えず、泣き崩れる原西の次男に容赦なくたたみかけるように話し始めた。


 あなたはいったい父親の何を見てきたの。父親のような獣医師になりたいんじゃなかったの。兄と比べられ、馬鹿にされた。それは、あなたの嫉妬から生まれた被害妄想じゃないの。

 私も妹たちに嫉妬していた。夢に向かって邁進する2人、私には夢がない。でも、ある時、気づいたの、私は私、それでいいんだって、何も比べる必要ないって。

 例え比べられても、誰に何を言われようが、あなたはあなたでいいじゃないの。だからといって何をやってもいいという訳じゃない。「見返してやる」、それは諸刃の剣。あなたのしたことは決して許されない、万死に値する。5000匹じゃない5000人だと思いなさい。

 どうやら少しは反省したようね。記憶は削除しない、その代わりに条件がある。言っとくけど、あなたことを許した訳じゃないからね、特に母はね。

 あなたには明日から、世界中の動物たちを救うために生きてもらう。いくら獣医師の資格をはく奪されても、その超天才の頭脳までは、はく奪できない。だからこそ、一生かけて世界中の動物たちのためにその能力を捧げなさい。そして、救って、救って、救いまくりなさい。それが、研究で亡くなった5000匹に対する唯一の償い。それができないというなら、容赦なく、母の記憶、動物たちに関する記憶をすべて削除する。


 すると、泣き崩れていた原西の次男は、顔を上げ、涙を拭い、その条件を呑んだ。しかし、刑務所の監視下の中、この独房でいったい何ができるのか。


 原西の次男の頭脳には、あらゆる動物を生かす知識が入っている。あらゆる病気を治すための新薬、薬の改良点。あらゆる手術の術式。長生きをするための方法など。そのデータを論文にしたり、アドバイスをしたり、ここでその作業をやってもらう。そして、必要な資料やパソコン等も準備し、それを可能にする協力者がいる。当然、出所後もその仕事を継続する。もし原西の次男が、ナナの娘リンを裏切るようなことを考えた時点で、容赦なく、ナナの記憶、動物たちに関する記憶をすべて削除する。


 記憶をなくすということは、生きた証がなくなるということ、最後に残るのは記憶だけ。


 ナナの娘リンは、平然とした態度をとり続け、更に原西の次男に、自分の愚かさを痛感さることを言った。


 私のことを知る者は、悔しいけど、みんなあなたのことを、天才を超えていると言う。世界一の獣医師になれたのにと言う、非常に悔しいけど、私もそう思います。

 私はあなたを生かすと決めた。くれぐれもそのことを決して忘れないように。そして、私は、あなたの生きざまをいつも見ています。もしその生きざまを認める時がきたら、約束はできませんが、母に会わせてあげます。すべてはあなた次第ということです。

 母は、毎日のように仏壇に手を合わせています。亡くなった5000匹の猫のためにです、あなたもそうしてください。あなたの実家の庭には、5000匹の猫たちが眠る墓があります、その意味をよく噛みしめてください。


 あなたの頭脳は、私たちが守ります。万が一を考え、二度とこんなことが起こらないように策も考えています。

 私の名前、リンです。いい名前、あなたに言われたくはないわよ。母は元気です、あなたのことを忘れるくらい、人間臭いけど、幸せよ。

 そうよ、私たちには大勢の味方がいる。もし私たちのことをバラすようなことを考えたら、それはないようね。とにかく、言いたいことは言いました。あとはあなた次第、くれぐれも私を裏切らないことね。


 ナナの娘リンは、原西の次男の頭の中を読むのを止め、瞬間移動でその場を去った。

 すると、原西の次男は、実家の方角を向き、手を合わせていた。


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