ナナの娘リン、ケジメをつける(5)
ナナの娘リンは、テレパシー能力を使い、眠っている原西の次男に呼びかけた。
「原西、起きなさい、私の声、誰だかわかる?」
その声に、ハッとしたかのように原西の次男は眠りから目が覚め、消したはずの電気が点き、起き上がり、左の方を見て呆然とし。
「どうしてナナがここに!? いや違う、ナナではない、お前は、ナナの娘だな!?」
「そうだよ、だったら何?」
「どうしてここに?」
「さすがね。普通の人なら、どうやってここに、と聞くはず。でもあなたは違う、どうやら私の超能力に気づいたようね、さすがですね。あなたのお父さんが言っていた、天才を超えていると言うのも、悔しいけど、うなずける」
「天才を超えている!? 親父がそんなことを言ったのか?」
「言ったよ、あなたのお兄さんもね。だから私はここに来たの、あなたの記憶を削除するためにね」
「俺の記憶を削除する……!?」
原西の次男は、この状況から考えてナナの娘リンが嘘を言っているとは思えず、記憶が削除さることを想像した。
すると、他の記憶が削除されても構わない、けど、ナナの記憶だけは削除されたくない、娘の記憶だけはと思い。
そのことを読み取ったナナの娘リンは、事の重大さに気づいた原西の次男に、母親の思いを晴らすチャンスだと思い。改めるように自分の超能力のことを話し始めた。
私は、3つの超能力を持っています。1つ目は、瞬間移動。2つ目は、念動力。3つ目は、人間だけに通用するテレパシー能力。
このテレパシー能力は、人の頭の中を読み取り、記憶を削除することができます。しかし、追加・修正はできません。おそらく、人には、消したい記憶があるからだと思います。
そして、この部屋は、進化した念動力で守られています。私たちの声は外には聞こえない、この明かりすら見えない、ここには誰も入ってこられない。
なぜ私に3つの超能力が備わったのか、わかりませんが、もしかしたら、母の思いを晴らすためだったのかもしれません。
あなたは何もわかっていない。ここに来る前に、母は言ってた。
あなたに裏切られたショックよりも、研究で亡くなった5000匹の命の犠牲の上で生きていることがショックだって、非常に申し訳ないって。だからこそ、生きて、生きて、生き抜いてやるって。そして、皮肉だけど、亡くなった5000匹の猫たちの命のためにも、子孫を残すと決めたのよ。
あなたに母の気持ちがわかる、わかんないでしょうね。思いやりの心もない、相手の立場になって考えたことないあなたには。
想像しなさい、もし5000匹の猫たちの中に、あなたが言う娘が、ナナがいたら、あなたはどうしますか。想像しなさい、ナナはどんな気持ちなのか。恐怖のどん底で脅え、泣き叫ぶ声を想像しなさい。
原西の次男は、ナナが研究に使われることを想像し、研究に使われた5000匹の猫たちの泣き叫ぶ声が聞こえ。自分がどんなに身勝手極まりないことをしたのか、ことの重大さに気づき、申し訳ないことをしたと、その場に泣き崩れた。




