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ナナの結婚(5)

 カウセリングから数日後、突然人間の言葉を理解し始め。もしかしたら、カウセリングが原因のような気がします。このままで大丈夫でしょうか。

 この問い合わせメールに対し、鈴はどう対応するつもりなのか。そもそも、なぜカウセリング原因だというのか。どうやら、カウセリングを受けた時の診断結果と、今回の件を結びつけていたから。

 確かに、ナナが人間の言葉で猫や犬たちに話しかけ、ストレスの原因を聞き出し、「動物型人相学」で出した結果だと、診断書を渡していた。


 そもそも、なぜこんな現象が起こったのか。どうやら、ナナが人間の言葉で猫や犬たち話しかけた時、その声に脳が刺激され、脳が覚醒したと思われる。ただ、飼い主に強い想いを寄せる猫や犬たちにだけに限って起こっている現象だと、よほど飼い主が好きだと思われ。鈴と田中先生は、そう結論付けている。

 早速、角野教授にメールでこのことを伝えると。念のために検査をした方がいいと言い、検査対象でうってつけの対象者がいると言う。それは、鈴のいとこの長谷川まさみの飼い猫のタマだと。

 確かに、長谷川宅の玄関先に置いていた、新聞紙の束に火をつけようとしていた放火犯に、タマは猫パンチを食らわし、逆上した放火犯に返り討ちあったが、怪我は治り、元気にしている。長谷川への想いはハンパではない。


 ただ、飼い主たちが心配しているのは、体に異変があるではとか、意思疎通ができことに嬉しい反面、戸惑っている。とりあえずタマを検査してから、この件の返事をすることなになり。検査に異常がなければ、次のようにメールで返信する予定になっていた。


 今回の件について、「動物型人相学」でストレスが取り除かれ、飼い主への愛情がそうさせたのかもしれません。科学ではわからない、そういうこともあると思ってください。但し、このことを人間の勝手でSNSで広げたり、自慢したりしないでください。それが余計なストレスになり、病気になる可能性があります。決して見世物にはしないでください。できるだけいつも通りに接してください。以上のようなメール内容になっている。


 しかし、なぜ真っ先に意思疎通の件を長谷川が連絡してこないのか。この件を長谷川にメールで伝えると、驚いていた。それもそのはず、タマに意思疎通を感じることはなく、いつもと変わらずにタマと過ごしていたと。なんか寂しいような答えだが、「言葉」、そんなものはいらないとも聞こえ。

 タマは、長谷川を静かに見守っていて、人間の言葉を理解できても、それを態度で示す必要はないと思っている。鈴たちにはそう感じていた。まるで、ナナとは正反対の性格にも思える。

 ナナは、常に話し合い、動物たちを守り、鈴たちを守り、自分の能力を最大限に生かす努力を惜しまない。


 長谷川は、自分でもわからないが、ちょっと緊張している。タマはいつものようにウッドデッキで、春の日差しを浴び日向ぼっこをしている。

「タマ、ちょっといいかな? 私の言葉ってわかる……? 明日、お姉ちゃんの病院にいくけど、大丈夫かな?」

 すると、タマがうなずき、長谷川はちょっと感動し。どことなく照れくさそうな感じにタマが見えた。 


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