ナナとタマの新しい生活(4)
翌日、ナナはいつものように動物のカウンセラーとして、カウセリングの仕事を親身にこなし、あっという間に1週間が経ち。いよいよ明日から、長谷川家でナナとタマの新しい生活が始まる。
午後8時過ぎ、鈴家ではみんな晩御飯すませ、ナナがいつになく真剣な表情で大事な話があると、床の間にみんなを集め。いよいよあれを言うつものなのかと、鈴の両親は思っている。しかし、鈴だけはあれを言うとは眼中になく、大事な話って、まさかついに、いやいやそれはないはずだと、内心ドキドキしている。
ナナは、座布団の上にちょこんと座り、対面して、鈴たち3人は妙に緊張して座っている。
「お父さん、お母さん、お姉ちゃん……いままでお世話になりました。明日、お嫁に行きます……って言っても、わりと近所出し、明日も仕事で会えるし、なんか変だけど、けじめはけじめだからね」
鈴は、勘違いをしていた。てっきり、いやありえないけど、おめでたかなと頭をよぎり、ちょっと気が抜けてしまい。
「もう、何かと思ったら、そんなこと!? あぁ、緊張して損した」
「はぁ!? そんなこと? そんなことってなによ!?」
「だって、てっきり、あの話かと思って……ごめんなさい、私が早とちりでした、ということで、私、お風呂に入ります」
「……」
鈴は、2階の自分の部屋に行き。
「お母さん、意味不明なんだけど、お姉ちゃん、何言ってるの?」
「さぁね、たぶん、鈴は、ナナがおめでたかなって、思ったんじゃないの?」
「はぁ!? 何それ、とんだ早とちりだね……」
明日になれば、ナナの仕事はお休み、長谷川も大学を休み、午前8時30分過ぎにナナを迎えに来る。ただ、鈴は一つ気がかりなことがある。
もしナナに、妹に子供が生まれたら、子育ては大丈夫なのか。まさみちゃんは、私に任せてくださいと言ったけど。確かに、まさみちゃんがついているから心配はないと思うけど、なんかいろいろいと心配になってきた。
でも、あの2人ならきっとうまくやって行く、なんの問題もない、長谷川家がナナを守ってくれる。そうだ、いっそのこと、私もまさみちゃんちに住もうかな、1部屋空いているし。私って、こんなに心配性だったっけ、これじゃまるで過保護だね。
翌朝、午前7時を過ぎ、ナナはいつものようにリビングのソファーに座り、隣には鈴の父も一緒に座り、2人してニュースを見ていると。いつもの時間に鈴が起きて、リビングに行き、みんなにおはようと声をかけ。リビングから見える1本の満開の桜の木を見ていると、ナナが鈴の足元に行き。
「お姉ちゃん、まさみちゃんちの桜も満開かな?」
「多分、満開じゃないかな、元はうちの桜の木だからね」
「そうなの?」
「まさみちゃんが小さい時に、あの桜の木を気に入って、私に泣きついて頼んで1本分けてあげたの、あれって夫婦桜だったのにね」
「夫婦桜!? まぁ、いいんじゃないの、わりと近所出し、いつでも遊びに来られるし」
「そうだよね、昨夜も遊びに来てたし」
「それって、もはやホラーの世界じゃないの? 私、ホラー苦手」
「えっ!? そうなの? 一緒だね、私も苦手だけど、そこはディズニーの世界じゃないの?」
「確かに、そうだよね」
「そうだ、今度はディズニーランドを貸切ちゃうっていうのはどうかな?」
「お姉ちゃん、それはさすがに調子に乗り過ぎだって、私が言うのも変だけど」
「確かに、そうだよね」
以前、角野教授たちのご厚意で、USJを条件付きで5時間貸切ったことがある。
この2人、桜を見ながらまったりとたたずんでいると、鈴の母親が時計を見ながら。
「鈴、早くご飯を食べなさい。ナナ、もうすぐ今日の運勢が始まるよ」
「はーい、わかった」




