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異世界起業報告書  作者: 登象門
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第5話 冒険者試験(1)

ヤムザさんと別れた後、マサオたちが町の人から少しおびえた目で見られていたこと以外は特に問題が起こることもなく、冒険者ギルドなる建物に到着した。


中へ入ると酒場が併設されているのだろう。昼間なのに酒の匂いがプンプンした。

防具に身を包んだガタイのいい人たちがガハハと笑いながらジョッキを片手に話している。僕はそんな人たちの中の1人に話かけた。


「すみませーん。冒険者になりたいんですけど…」

「へ?き、君が?」


「「「……」」」


「「「ギャハハハハハハハハハ!!!」」」


その場にいた全員が笑ってきた。


「ぼ、僕ちゃん?お、お遊びでこんなとこきちゃダメでちゅよ?」

「怖くて戦うことなんてできないでちゅよね?」

「戦うのは僕じゃなくて彼です」

「あれ?なんだこいつテイマーかよ…」

「テイマーだったらいけるんじゃないか?」

「いや、あの年齢だ。強い奴なんかテイムしてないだろ」


入ってすぐ馬鹿にされたので少し強めに言い返してしまった。それではいけないな。

早く試験を受けに行かないと。奥のほうに受付みたいな場所があるな。


「すみません。冒険者になるための試験ってここで受けられますか?」

「へ?う、受けられますけど、き、君が受けるの?」

「あ、はい。え、年齢制限みたいなのがあるんですか?」

「い、いや15歳以上だから一応大丈夫そうだけど、実際はみんな20歳ぐらいから受けるものなのよ?たまに15歳の子が来ることもあるけど皆諦めて帰っていくわ。君もケガをしてしまう前に帰ったほうがいいわよ」

「いえ、僕はテイマーなので直接戦うのは僕ではないので大丈夫です」

「そ、その年でもうテイム出来るの?すごいわねぇ。うーん。じゃあ受けるだけ受けてみる?」

「はい!おねがいします!」


そして受付の人は奥に引っ込んでいくと、何か紙のようなものを持って帰って来た。


「今回の試験は採集型っていう、物を取って来るタイプのものなのね。それで取って来てほしいものなんだけど、治癒の実ってわかるかな?東門から出てすぐ近くにある濃霧の森でとれる青いこのくらいの実なんだけどね、それを10個取って来るのが今回の試験の内容なの。でもその森にはゴブリンやワイルドウルフなどの魔物が徘徊しているからいくらテイマーの人でも難しい内容だと思うよ」

「あのー?」

「なにかな?やっぱりやめておく?今ならまだ引き「もう持ってます」え?」

「もう手元にあるんです。ほら」

「なにー!?」

「ほ、本当にある…」

「おいおい、お前それをどこで手に入れた?濃霧の森といやぁ非力な一般人には到底かなわねぇような敵がいる場所だぜぇ?」


隣でお酒を飲んでいた赤い髪のいかにもチャラそうな人が話しかけてきた。


「どこでと言われても…。普通にその濃霧の森?ってところで手に入れましたけど…」

「嘘だ!お前なんかが簡単に入れるわけがねぇ!あっ、わかったぞ!お前どこかに仲間がいるんだろ!そいつに取って来させたんだな!これは明らかな違反行為だぞ!」


おいおいおいおい!こいつ憶測ですっげー人聞き悪いこと言いやがったぞおい。

あれ?周りが少し引いてる気がするぞ?

え?みんなあいつの言うこと信じているのか?


「そんなわけないじゃないですか!」

「ふんっ!どうだかな!そんなこと言うんだったら今回のお前の試験は戦闘型に変更だ。そこでお前の実力を見せてもらおうじゃないか」

「いいですよ。でもその試験で合格したらあなたには謝罪と何でも言うこと聞いてもらいますからね!」

「いいだろう!ただしお前が不合格だったらお前を奴隷にしてやるからな!」

「レ、レッドさん!さすがに奴隷はいけませんよ!」

「いいんだよ、ミリアちゃん。世間を知らねぇ餓鬼にちょいとお灸を吸わせるだけだ。すぐに諦めるだろ。おおい!どこかにいるこの餓鬼のお仲間さんよぉ!出て来るなら今のうちだぜぇ!」


こうして、僕はただ冒険者になりたかっただけなのに、戦闘型試験を受けさせられることとなった。


「よぉし。まずは小手調べからだ。おい!出て来ぉい!」


とうとう始まってしまった戦闘型試験。あのレッドとかいう奴何なんだよ…。強引すぎだろ…。


「まずお前には1人の冒険者と戦ってもらう。今この町で話題のこのパーティとなぁ!」


でてきたのはいかにも初期装備だろという格好をした4人の男女たち。鑑定をかけた結果、男の剣士が1人、男のシーフが1人、女の魔法使いが1人、女の神官が1人ということがわかった。特に相手にはばれていないようだ。

うーん。これならマサオのほうが圧倒的に強いな。

まああのレッドとかいう人の仲間なんてそんなものだな。


「この『ストロンガーズ』は俺が見てきた若手の奴らの中でも優秀な部類に入るほど筋のあるパーティでな!お前みたいなへなちょこと違ってちゃんとパーティでDランク、個人でも最低Eランクのつえー奴らなんだよ!」

「どうも。『ストロンガーズ』のリーダーのブルーノです。君。ずるはよくないよ。正直に話しておうちに帰りたまえ。この職業は遊びではないんだ」


こいつもあのレッドとかいう奴の言うこと信じてるのかよ!もう少し周りの状況把握しとけよ!


「そういえばお前はテイマーらしいな。見たところ全部で5人ほどいるのが見えるが、お前が出せるのは1体だ」


はあ!?何を言ってるんだこいつは?それでは2対4じゃないか!不公平だろ!


「それは理不尽すぎませんか?」

「ふんっ!お前はもっと世間の強さを体験するべきなんだよっ!」

「そうだよ。痛い目にあいたくなかったらさっさと帰りなさい」


まあいいさ。お前らなんかマサオにやられてしまえ!

バーカ!バーーカ!

…………落ち着け。マサオのほうが圧倒的に強いんだ。冷静に勝ちに行こう。


「それでは冒険者ギルド ファイド支店 冒険者試験を始めます。スタート!」

「うおおおぉぉぉぉぉぉ!」


うわっ!あのブルーノとかいう奴一直線にこちらに向かってくる。

こんな奴が強い?どうかしてんじゃねえのか?


「マサオ!」

「任せるんだな!」


ドコーーーーーーン。

そんな音とともにブルーノがそのまま後ろに吹っ飛んだ。


「「「「ええええぇぇぇぇぇぇぇ!?!?!?」」」」

「ふっ!これが僕たちの力だよ」


ちょっとカッコつけちゃったけど内心では内臓が弾けそうなぐらい驚いていた。

マサオすげぇ…。



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