26
ちょっと状況を整理したい。
エルフ中隊は王国軍の先遣隊らしき軍勢に対してポイントを上げ続けてきたはずだ。まず、橋頭保の確保を主目的とした右翼50、左翼50、中央100人は全て強襲をかけて打破した。偵察の少人数パーティも数グループを哨戒中に消した。
俺がやったのは中央の100人だけだがエルフ中隊全体の戦果は倍を超えている訳で。もっと言えばグワンタナモ砦前面で100から200、西側の防衛戦闘で同じく100から200を屠った。結構な損害になるはずなんだが、どうもそうでないらしい。
「ほんとに大攻勢なのか?連中の指揮統制って数百単位で発揮するんじゃないのか、よく分かんねぇ」
「私に言われても困るわよ。取りあえず薄暗いから全部は見えてないけど、タナモ陣地の南200ヨルドくらいに阿保らしい陣容が広がってるわ。ここから見えてるだけで数百くらいかしらね」
朝のまだ暗いうちから叩き起こしてきた副官シエラが渋面で答えてきた。
今何時、朝の5時過ぎ?起き抜けで頭回らんしホントよく分かんねぇ。少しの間、静かになってた王国軍がここで全部ベットしてくる意味が分かんねぇ。その掛け金は期待値に見合ってんですかね、無謀じゃないのかね、もうなんなん。
まぁグワンの小丘の塹壕で寝泊まりしてたことですぐに対応に移れそうなことを喜ぼう。それくらいしか嬉しいことがない。
「こっちの準備はどうだ?各小隊の動きを教えてくれ」
「最前線のフォール小隊はもう臨戦態勢ね、頻りにルーイが交戦許可を求めてる。バーリン勢は西に展開し始めてるわね。コルディ小隊はグワンの沢でスクランブルってとこよ」
おーけー、準備万端やね。砲迫の支援も全力で行こうか、本気の防衛戦闘見せてやろうやないか。
んで俺の手持ちの兵隊はどうだったかな。俺とシエラとマリアもいつもの三人、ブラッカスの親父とドワーフ一人が105㎜砲の当番か。んでコルディ小隊からの1分隊貰ってるんだっけ。
隣の塹壕を見たらポニーテールが揺れてるやんな。今日のコルディエルフはジュディス分隊か。
「ジュディス!敵はそっちでも見えてるか?」
「見えてますよ。盾を斜めに構えたのとか」
コルディ小隊で唯一のライフルスコープ使用者のジュディス分隊長が、胡乱気な目線を南に向けつつうちの塹壕まで寄ってきた。
何それ、傾斜装甲的な発想?なんか面倒な匂いがするぞ。
「あとは盾に木の板張ってたりするのがちょろちょろですね。なんの意味があるか知りませんけど」
口にハーブかなんか含んで噛みながら報告を続けるジュディス。
飛び出してる双葉が若干アホっぽくもないが、精神が落ち着くとかなんとからしい。
まぁそんなことは置いといてだ。これ複合装甲的な発想じゃないの?なんか頭が切れるのが奴さんにいるらしいな、まぁ材質がチンケだから意味ないだろうがねぇ。
「取りあえず盾は気にしなくていい。初撃は砲迫でやるから、それの射撃管制をそっちの四人で手分けしてやってくれ。迫撃砲の修正と105㎜の照準は任せるからノリスのとこのルーイと上手くやってくれな」
「了解です」
そう言うなりライフルを構えて敵の陣容を再確認し始めるジュディス。残りの分隊員もルーイとハンドシグナルのやり取りをし始めたり、105mm砲に駆け寄ったりと動き出した。
まぁコルディ小隊はこんなもんでしょ。沢の家屋で待機してる残りの戦術予備チームもまだ動かさんでいいや。
「バーリン小隊もティルク戦士長が上申してくるまで任せるとして...シエラ、もう初めて良いよな?」
俺は横で狼を可愛がる副官に助言を求めた。なんぞ畜生は顔をペロペロしちょる。
ホンマこいつさぁ。やたら愛嬌振りまくけどよ、やっぱりデカくねぇか?体高が1mくらいある。だっつうのに猛獣の自覚はないんかね、やたらエルフや俺を舐め腐ってきおってからに。
「良いと思うけど...どうしたの、ラルフはやっぱり嫌いなの?こんなに可愛いのに何が気に入らないんだか。それともラルフに焼いたのかしら」
うるせぇ。確かに愛玩動物としては愛嬌たっぷりの合格点だろうよ、デカい以外は文句ねぇ。噛み癖はないし無駄吠えもしない。オマケに有能な猟犬だ。
でもよ、やっぱり怖いもんは怖いっつうの。
「個人的に嫌な思い出があるだけだ」
「なんだてめぇ、やっぱり獣が嫌いなのかよ」
「あっいや違う、そういうんじゃない。ウォルフが苦手ってだけだっての」
なんか声がしたから顔を向けたら黒猫獣人アレックスが小丘の急斜面を登っていた。
えっなんで来たの?コルディ小隊と一緒にいるんじゃねぇのかよ。どういう風の吹き回しだこれ。
「まぁいいや。ジルバートの爺にもう始まるだろうからって追い出されて来たんだけどよ。どうなんだ、勝てるのか?」
ええ...なんでジル翁はそんなことするんだ。アルダンの里は何考えてんだ?そんな獣人難民受け容れたくないの?なんなの?
「何をさっきから面食らってんだ。てめぇが出し物を見ろって言ったんだから俺が来たんだよ。ライカンの大部分だって砦に残ってんだぞ、そんな調子で大丈夫なのかおい」
ああ、猫ってキツイ釣り目になって怒っても可愛いよね。そんなことを思った。
はいはい、俺の所為ね。アレックス達がリクルート出来なくても獣人兵士はアルダンの里から募集すればいいんでね、なんて思ってた俺は予想が甘かったのね。
疎開を選ばず残った獣人が30人くらいいるんだっけ?ああ、そいつらうちに就職希望だったみたいや。負傷や病気もシエラが面倒見たら1週間くらいで回復したしな。なのに残ってたってのはそういうことか。
「まぁ任せろ。派手な花火が開演の合図だ。ジュディス!行けるか?」
「何時でも」
ストックに巻いた布を調整しながら女性陣唯一の分隊長が頷きを送ってくれた。
ジュディスは冷静でいいわ、他のコルディエルフはどうも燥ぎがちで困る。前に俺が水に浸けても撃てるって言ったら、サールはやってもみても良いかって聞いてくるしよ。コーマなんか耐久性のテストしたいって泥に浸けてたらしいからな。いや、俺も許可は出したけども。
「ジョンドゥ!儂らは撃つだけじゃからな!人間が弾けるところは見んからな」
なんかブラッカスが言っとりますわ。顔が真っ赤でごぜぇますね。
いや、気持ちは分かるよ。冗談抜きで手足が千切れ飛ぶからな。そんなスプラッタを好き好んで見る奴なんか信用出来ないからドワーフ達はそれで良いよ。
「だから照準はエルフ任せで良いって!んじゃ初めてくれよ」
とまぁそんなこんなでグワンタナモ決戦が始まった。
エルフが50人籠る陣地に恐らく1000人規模であろう王国軍の寄せ手の戦いだ。うんざりするな。
カールツァイスの双眼鏡を覗かなくても火砲の餌食なっているのがよく分かる。爆心地がちらほらと生まれ大地に血が滲んでいく。辺りにはだんだんと砂煙やらが立ち込め、朝日が届かないんじゃというくらいに状況不鮮明な雲行きになっていくではありゃせんか。
そんな感じに敵中央は崩れ、両翼はライフルや重機関銃、M79でもぐら叩き。前も後ろもうるせぇのなんの。取りあえず聴覚で感じ取れることはない、味方が景気が良いことしか分からん。よって視界が頼りなんだけど、迫撃砲3門と105㎜1門の所為で見通しがよろしくない。
ただなぁ...なんか奴さん、装備品で頭が良いとこ見せてきたと思ったら用兵は万歳アタックかますだけだ。しっくり来ないなぁ。
「穴から穴へとちょこまかウザったいわね。手が足らないわよこれじゃ」
観察中の俺を尻目に狙撃に勤しむシエラが憎々しく呟いている。
そうな、着弾穴だったりを上手く活用して距離を詰めてきてるわな。オマケに土煙で敵の機動の把握は難しい。敵部隊がちらほらタナモ陣地正面の切り開いた土地に侵入しとるわ。重機関銃で掃射かけたりですぐくたばるけども。
「なんでこんな寄られてんのー。なんか穴多いし」
不安げなマリアがリロードしながら愚痴ってる。気持ちレバーを引く手が雑やんな。
まぁ愚痴るのは良いんだけど、穴が多いってどういうことやねん。こっち一門でしか撃ってないねんで、なんかおかしいなこれ。いまいち言葉に出来んけど攻勢が強すぎる気がする。
「ジョン!固いのが出てきたわよ、300WinMagを止めたくさいんだけど!」
「その用意してるヴィジランス使って駄目ならまぁなんか考えるって!」
サコーを脇に置いて50口径対物ライフル持ち出してきたシエラを、俺は取りあえず宥めておいた。
魔術障壁って奴が出てきたんかな。ただ、正直どこもかしくもバカスカ撃ってるしバタバタ倒れるしでどこ見れば良いか分からんて。
まぁその防備の厚い部隊を特定出来たら40㎜グレネードをフルオートでぶち込んでやりゃええか。固まってんならそれで始末出来ればいいし、出来なくても釘付けに出来れば十分でしょ。こっちの40㎜はM79より薬莢がデカいから長射程だし、まぁ600ヨルドくらいまでならマリアが当てんでしょうからモーマンタイ。
ただねぇ...皆頑張ってる中で俺は一発も撃ってないんですわ。
SXPと1911しか持ってない俺には中距離戦闘は無理なんだけど気が引けるよね。本当に申し訳ない。
「なぁ!さっきから妙な爆発が混じってんだけど、あれはなんだ?あれもお前の手品なのか」
観客のアレックスが俺の肩を揺さぶってきた。
爆発は60㎜榴弾と105㎜榴弾しかないはずだがそれ以外があんの?俺に聞かれても知らんて。
「穴が空くようなのはすぐ後ろの大砲しか使ってねぇんだけど、なんか見つけたか?」
「狩り長!爆裂魔術確認!」
俺の質問にはジュディスが答えてくれた。
いやー、不味いっすね。以前シエラが馬鹿にし腐ってた魔術がここで来るのかよ。多分だけど俺が見ても見分けがつかんってことは、うちの榴弾と似たような規模の爆発ってことでしょ?それもろに食らったら不味いだろ。
「どこに撃ってる!ノリスの塹壕に届くのか!」
「アホ!届かんわ!火の魔法、魔術に遠隔性なんかあるかい!」
ブラッカスに引火して噴火したんだけど。なんなん、そんな駆け寄ってきてまで否定する必要なんかねぇでしょうよ。
「ありゃ穴を穿ってんじゃわい!そうやって遮蔽を確保しとるんじゃ。そんで榴弾砲を増やすなら今のうちじゃぞ、どうするんかいの!」
あのねぇ、玩具をこんな土壇場で強請るんじゃないよ。
とはいってもあれか、ブラッカスなりに戦況を見ての具申だろうから良いか。だが迫撃砲の運用に支障が出るんで一門で十分だ。つうか思ったより土煙が凄くて視界がやばい。
「まだ寄り切られた訳じゃないから焦んな!外堀まで少し余裕があるくらいだから心配すんなや」
しかし煮詰まってきたのは確かだろうよな。
砲撃やらで木々が倒れ、人が倒れて、大地には穴が空き、そうして出来上がる遮蔽から遮蔽に移る敵の剣士たち。203高地やハンバーガーヒルより悲惨だわこれ。
「弓兵部隊が出現!ほら、迫撃させて!あとあの亀野郎どもには105mm砲を向けなさいって!」
なんかジュディスが忙しくなった。ライフル片手に分隊に指示を出しておられるわ。
どうでも良いけど、なんでアンアンサイトついてんだ、それレミントンか?ストックが圧縮バットみたいな焼き色ついてる自家製ストックに交換してる所為で分からんけどレミントンだよな...
そうか7.62NATOじゃ不満で30-06愛用してる感じかぁ...そういやスコープ乗せ換えた報告があったような。まぁどうでも良いか。
でそれっぽいのを俺も見つけたから双眼鏡で確認してみたけども、どうも判断に困る一団を見つけた。
ローマ帝国を想起させるような、斜めに大盾構えた部隊がデンと構えていてだ。その少し後ろから騎馬部隊がだっと走り出して強襲かけてきた。
大盾の方は中々頑強らしくて小銃弾じゃ倒れないが、装甲を軽く纏った馬の方はバタバタ倒れる。ちょっと無謀じゃありゃせんか?
「後ろの魔術師が邪魔して面倒ね!ノリスのところのM2は近くの敵で手一杯だから私たちで何とかすしかないわよ!」
シエラが空のマガジンぶん投げながらお怒りになられてる。間髪入れずにボルトキャッチも手荒く叩いてるし、めっちゃ怒ってるやん。
多分だけど、魔術防壁と複合装甲紛いの大盾で粘ってる部隊を遮蔽にして騎馬部隊で突入しようって腹だったんだろうけど、今この瞬間ご破算になった。弓兵の方は知らん、色々と忙しすぎて分からんわ。
んで結果としては大柄な馬がそこら中に転がってる。また遮蔽が増えて嬉しいね、王国軍さんって感じ?
「おい!また爆裂魔術だ!どうにかしないとヤバいんじゃねぇのか」
アレックス君ねぇ、そんな泡吹いた感じで焦んないんでくれない?ヤバくないから。
届かないんじゃ何の利点もないでしょうよ。なんに使うってのよ。
そんな考えで前を観察してた俺の視界でいくつか爆発が起きた。これで視界不良だ、元々良くなかったってのにタナモ陣地の前方100mから200mの辺りが、外堀過ぎたあたりが混迷極まったわ。暢気なのは俺だけかい糞ったれ。
あー、なんだこれ。えっマジ?寄り切るつもりか連中は。
「ジュディス!コルディ小隊を橋の手前で投入の準備させて!105㎜はあの亀みたいなんを屠らせろ!」
いやぁ不味い、不味いって。
小銃弾を掻い潜るためにここまでやるんか王国軍は!馬と人の死体、着弾穴と倒木、土煙で万歳アタックが効くだろう所まで場を万歳アタックで散らかすとか、何を食ったらそんな考えが浮かぶってんだ!馬鹿じゃねぇのか糞ったれ。
「マリアはデカ物のグレネードを準備!シエラはなんか気づいたことないの!?」
「そうね、さっき伏兵が渡河攻撃の準備してるのがちらっと見えたわよ。どうするの?そんな数はいないけど面倒でしょ」
渡河ってことは東からか!これはどう考えても陽動じゃねぇか!
不味いなぁこれは不味い。小丘の東から来られたら俺らはそっちの対応に回るしかねぇ。
もう駄目だ諦めよう。穏やかに行こうってのが土台無理だったんだ。
「ああもうめんどくせぇな!ジュディス、迫撃砲の火力を東に回せ!あとフォール小隊に地下壕の発破用意させろって下のコルディ小隊から一分隊伝令出して手伝わせて!」
こうなったら外堀のIEDを使うしかないじゃねぇか。保険も掛けなきゃなんねぇ
フォール小隊がタイミングとちったら大変なことになるぞ。ったくよぉ、ここまで追いつめられると思わんかったわ。
取りあえずジュディス分隊が詰めてる塹壕のが対岸に近いから移動するか。
「ドミトリはそこのミニミ持って俺んとこに来い!マリアの40mmは東の対岸に向けてな。100でも1000でも来いってんだ糞ったれ」
ミハエルだかヤースだかかもしれんが多分ドミトリがミニミが持ってきたミニミに、俺は弾帯ぶち込んでコッキングした。んでその横にマリアとブラッカスがMk19だかを持ってきた。
しっかしこのMk19って重機関銃ってカテゴリーで米軍使ってんだよなぁ、弾は40㎜グレネードなんだけどなぁ。一緒にするのはちょっと火力違いすぎひんか?
んでミニミと対物ライフルが1丁づつにMk19が1挺、ライフルマンが4人、それと迫撃砲支援か。
なんでも来いよオラァ。あわよくばレベルだろうが渡れると思ってんじゃねぇぞ糞ったれ。
「なぁ100人はいるんじゃねぇか?」
アレックスが手持ち無沙汰隠すように聞いてきた。
そういやこいつ、俺より働いてないじゃん。なんか安心するな、いやまぁそういう下見て安心とかよろしくないけども。
「なんで分かる。向こう岸は特に木々が密集してんのに」
「こっちが風下だから匂いで分かる。それとよ、タナモも取りつかれ始めてるけど良いのかよ」
何それ。なんだよ俺が一番働けてないじゃんかよ。なんでこう、異世界の住人はスペックが高いのか。
あとタナモは大丈夫だから。あんだけの人の海を捌いてんだ、それのおかわり来たところでどうとでもなんでしょ。いざとなったらティルクの部隊も突っ込めば良いんだ。
結局、変な陣地の引き払い方したら危ないってだけだしそこら辺の塩梅はベテランに投げた方が良い。
「そっちはノリスさんが上手くやるから大丈夫に決まってんだろ。つーこってジュディス、敵が近いらしいから始めて」
俺の指示でジュディスがきびきびハンドシグナルを送ると迫撃が始まった。
バレてないと思っていたらしい連中が騒ぎだしたのが分かる。言葉はちょっと聞き取れないが叫び声は微かに聞こえる。
「もっと奥だ、声は奥からだ!」
目を見開いて叫ぶように吠えたアレックス。
獣人って鼻も良ければ耳も良いのか。聴音員とか出来そうね。ただ耳が良い奴には戦場は地獄だろうから個々人の資質が大きく作用しそうであれだけども。
「ジュディス!アレックスと迫撃砲の観測よろしく!ほら、アレックスは向こうに行った行った」
渋い顔でのそのそ動くアレックスは置いといてだ。見通しがキツくて分からん森をどうしたもんかな。
こういう時は撃って確かめるのが一番か。駆除業者みたく燻り出すしかないか。
「皆聞いてくれ!俺とマリアで虱潰しに撃って炙り出す。そしたら好きにハンティングだ」
「下品なやり口ねぇ。そうね、300ヨルド辺りに散らしてくれる?それくらいの距離で木板が見えたから」
機関銃が嫌いなシエラお嬢様からオーダーが出てきた。そうしみじみとこぼすんじゃないって。
なんでエルフってフルオートを好まないのかね。薬莢拾いが面倒だからといっても、拾わなくてもいいことにはなってるはずなんだけども。追い詰められてからやっと使うとかいう縛りプレイを選びがちなのは謎だわ。それか、俺が思ってるよりフルオートに利点がないからなのかも知れない。
まぁどうでも良いか。そもそもグレネードが撃てれば何でも良いマリアみたいなエルフもちょこちょこいるし。
「へぇへぇ、俺の頼りない腕で狙ってみますよ。じゃフォール小隊とどっちが早いか競争するとしようや」
ただね、気分はもう最悪の一言だ。生きてる人間より死んでる人間のが目に付くってどういうことやねん。
そこまでしてエルフを殺したいのかよ、王国軍はよ。