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現在、青空満点なタナモ陣地でございます。天気がいい日が多くて良いねぇ、そのおかげかは知らんがグワンタナモ砦を二つに割る渓流の水位が上がってる。数cmくらいだったのが数十cmに激増だよ、危ないかもしれんわ。
まぁ良いこともあるか。俺が気づかないうちに30㎝くらいしかなかった丸太橋をエルフ達が改修してたみたいでよ、気持ち広くなって手すり代わりの縄も両脇に張ってくれてた。
ただ手放しで喜べるって感じでもない。要はグワンタナモ砦の放棄案はなくなったっていうのを受けて行動な訳だからなぁ...エルフ達も本気モードやな。
つー訳で、タナモ陣地の東側に集まってもらった我らが中隊本部要員と各分隊長達と相談しつつ装備を拡充いたしましょうね。
色々悩みが多いんだけど整理しながらやるか、今日増やしたいのはエルフ向きじゃないのが多いしな。
「ジョン、本当にブラッカスは来ないんでしょうね?」
俺のすぐ右横に立つ輜重科の副官シエラがげんなりしてる。
そう、うなじを手で押さえながら首をかしげなくても良いんじゃねぇかな。あいつらにはハッシュパピーあげてあるから数日は持つと思うぞ?ハイラックスと105㎜榴弾砲だったら暫く遊べんだろ。
まぁこれは今更だけど、ハイラックスにM102榴弾砲って牽引出来るかねぇ?ハイラックスの車重考えたら1トンくらいの野砲も送れるだろってサムに強請っちゃったけど不味ったかもしれない。
まぁハイラックスはタナモキャンプからグワンキャンプには渡れないし、105㎜砲はグワンにある小山の塹壕横に1門おいて終わりだから、牽引出来るかどうかなんて当分先の話ではあるしいいやもう。
「来ない来ない、ハイラックスの電装なり105㎜砲のバラシなりで忙しいって。それに今回の予定の品は銃だけって言ってあるから猶のこと来ないでしょ。どうせ後で回すの確定してんだし」
「そういうことなら信じるけど...で、今回は何が出てくるの?正直今の装備類に追加するなら、重量を考えた方が良いと思うのよ。持ち歩く物が多いと機動戦が難しいしね」
装備重量がネックなのは俺も同意するわ。実際限界近くにはなってると思う。
エルフ中隊の基準としてはスプリングフィールドが5㎏だったかで、それと500gくらいのマガジンが6本から8本ってとこだろ。それらがどんぶり勘定で10㎏ぐらいだ。でそこにM79グレネーダーだったり、他の分隊員が持つミニミの予備の弾帯を追加すりゃ15㎏超えてくる奴が出る。そんでもって銃火器関係だけ持てば良いわけじゃないからな、非常食とか止血帯とかのもしもの時セットも入れればもうパンパンや。ほんと兵隊って大変やね、うちは防弾プレートないだけマシです。
だからシエラ嬢、追加装備は考えないんで大丈夫やで。
「もう十分重たいのは分かってるよ。今日は今の装備、銃の改修か別のに持ち替えるかってのがメインだから。はいそういう訳なんで、ティルク戦士長から不満だったり要望だったりをお願いします」
シエラの表情が止まったから、俺は左横に並ぶ准尉チームを見ながら話を振ってみた。
いやぁこっちのお二方も面食らってらぁ、ノリスは眉間に皺寄せながら目を細めたしティルク戦士長もぎょっとした目だ。まぁ大っきい不満はないとは思うけどなんかない?うちは装備品の改造が自由な部隊なんだからさ、弄っていきたいんだが。
「...十分ではないか?寧ろ何を望めというのか」
いや、利便性を望みましょうよ。サムおじさんの改造パーツ舐めちゃいけないよ?あの国基本馬鹿だからとんでもないの一杯あるんだよ、2丁ドッキングさせたAR15とかほんと馬鹿だろあいつら。だから現場のあれあったら良いなってのを言ってくれ。
「ジョンドゥ、逆に何があるんだ?」
ノリスが苦笑いだ。お手上げって手ぶりまでつけてくれたよ。
そうな、爆発物系は浮かぶけどどうだろうかね。手榴弾とか欲しいかなって思うんだけど、イマイチ魅力に乏しいんだよなぁ...エルフの交戦距離が長いから投げるよりランチャーで撃った方が良いんだよ絶対。
だから1911で使ってる.45ACP弾で短機関銃か機関拳銃かなんかが今回の候補なんだけど、これはこれで迷ってるんだよねぇ。
「今使ってる弾で7.62㎜弾があるじゃないですか?それはスプリングフィールド、ウィンチェスター、ミニミで共有してますけど、どれも重いです。これから砦で戦闘する時、特に100ヨルドより近いような戦闘になったら重いのがネックになりますよね?」
なるよね?この重さ関係のことで弱音吐いたエルフが居なくてどうも自信が無い。
つか重さもそうだけど、バレルがやばいでしょ。ライフルなんか銃身長が22インチで揃えてあるから取り回しが死んでる。AR15系のカービンって11.5とか14.5インチが相場なんだから20㎝くらい長さ違うじゃんかやべぇよその差は。
「...寄られないとは言えないか。そうだな、例えば外周の空堀の中ででも戦えば剣の方が早いだろうね。それこそスプリングフィールドにナイフでもつけて槍にしたいくらいだ」
おっ、ノリスはスプリングフィールドを導入したときの銃剣の話覚えてたか。
でも銃剣は最終手段ぞ?取りあえず候補に入れとこうとは思うけど、俺は使わせたくない。だから別の手段も欲しい。
「1911を追加するのはどうか。7発と心もとないがそれでも2人くらいはこなせるはずであろうよ」
ティルク将軍がへの字にしつつ拳銃の追加を希望してきた。
しかし残念だが1911は追加しません。シングルアクションなんで咄嗟に撃てるようなもんじゃねぇんだ、それに将校用に導入したんだから兵卒には持たせたくない。よって除外済みなんだよねぇ。
「分かりました、その線でちょっと考えてみますね。1911より実践的なのあるんで後でお見せします」
「実践的ってなによ怖いわね。取りあえず今回のジョンが接近戦志向なのは分かったけど、それだけなの?他に聞きたいことはあるかしら」
シエラさん笑うてますがな、饅頭が怖いとみえるわ。
ただエルフが好きそうな銃ではないんだよなぁ。ダブルアクションで45口径を雑に撃つ奴なんて絶対気に入らないでしょ、俺にはその自信がある。
「そうね...こうなったら良いのにみたいな願望でいいから欲しい要素を考えて欲しい。スプリングフィールドが大きくなったり小さくなったりとかそういうのね、ウィンチェスターが連射出来たらいいのにとかさ。分隊長の皆も考えてくれないか?」
ボルトアクションを連射したいとかは流石に無理だけど、もうそういうので良いから欲しいわ。正直、俺が欲しいと思った物は大体あるから改善をどうすりゃ良いか分からん。
優れた射手に高精度の7.62㎜のセミオートにボルトアクション、ライトマシンガンがある。しかも擲弾発射機付きだし軽迫撃砲に重機関銃もさらにオプションで付けられるんだ。これ以上は砲兵か近接航空支援くらいしかないでしょ。よって現有装備のブラッシュアップくらいだな、やれることは。
とまぁ考えてたら、目の前に座らせてた分隊長達の中でカルロが手を挙げたわ。はいどうぞ。
「ウィンチェスターの装填をどうにかしたいっす。マガジンが羨ましい気持ちで一杯っすよ」
あー、そういや固定弾倉だったねぇ。シエラのサコーはムーミンの国製だからマガジンウェルとかのコンバージョンキットなんて無いと思う。でもウィンチェスターのモデル70なんてベトナム戦争から使ってんだから何かしらあるでしょ。おし、改造しよう。
「デタッチャブルのマガジンね。OK、OK。他の人もなにかある?」
「はい!50口径で面白いのが欲しいです!」
元気いっぱい、挙手と発言が同時なうきうきボーイのサールが雑にぶん投げてきた。
お母さんから他人に面白いことを言えって求めるのは碌なことにならないって教わらなかったかな?いやどうでもいいか。それに50口径機関銃弾自体はWW2から使ってんだからなんかあんだろ、45口径拳銃弾と一緒になにかしらを導入だな。セミオートで持ち運べるなにかでも考えておくかね。
「面白いかは知らんけど何かしらは出すわ。はい、次」
俺がそう言うなり、皆して思案気になって会議が止まっちまったわ。
まぁ兵器選定に関しては今まで押し切ってたからしょうがないか、また様子見つつ要望を拾っていこう。
それとエルフって自作が好きなとこあるのも考慮せんと。ウッドストックいじるのそうだし、私服も戦闘服にちょっとづつ変わってるんだ。麻から牛革にベルトとリュックの材質変えたりって具合にな。あと拳銃のホルスターも作ってくれたか。でも裁縫係の女性陣が7人しかいないからホントにちょっとづづなのが悩みなんよ、こっちで用意してやりたいところでもあるけどどうなんかな。
あっやべぇ服装で今気づいたわ、シューティンググラスがどうしようもない。これがないのはかなり厳しい。これからなにかと爆発物が増えるし、そもそもマズルフラッシュからの目の防御とか大事やねん。彼らの目が命なんだから視力を落とされたら死活問題や、丁度良いから導入しよう。タクティカルベスト辺りと一緒で良いか。
「じゃ、希望はそんなもんね。今回は選抜射手がボルトアクションライフルのみだと対応力が低いことの解消を目指す感じだから。それとなんか面白いものと改造パーツはまぁ期待しないで待っててくれや」
流行りでいうとPCCとかPDWなんだろうけどなぁ...弾薬の兼ね合いでパスだ。それにMP7だのP90は100m越えたら糞みたいな弾道になってエルフ向きじゃないんだよ。マジでCQB以外に使い道なんかねぇから、拳銃弾で弾薬統一した方が良い。
つーこってサム。なんか丁度良いの見繕ってくれ。
瞳の奥に描いてもねぇのにニヤついた白人がお出ましになったわ。今日も今日とて下品なネクタイなこって。
まぁこれがユニオンジャックなら京都人ばりに嫌味飛ばされるから、カウボーイで良かったか。
「榴弾砲は気に入ったか?この分だと2トンくらいまでいけそうじゃねぇか」
そう脂っこいウインク飛ばすなや。あんたがやってもコメディじゃねぇか、ジーン・ハックマンみたくはいかねぇんだよ。
「まだ撃ってすらねぇよ。バラシて色々と確認中だ」
「なんだ、信用されてねぇな。まぁ一世代前のモデルだから分からんでもないがよ。それで今回はなんだ?また小口注文か」
M102榴弾砲が一世代前ねぇ...バリバリ使ってる感じでもないのか。ガンシップに乗せ続けてるくらいだから、1トンちょいで105㎜って便利に使い倒してると思ったんだがな。
で、どうなんだろうな。小口ではないと思うけど、大口でもないんだよな。
「.45ACPの護身用に丁度良いフルオート、50口径のセミオートライフル。後は細々したのがちょろっとだ。取りあえず45口径からいこうや、グロックってやっぱり9mmしかないか?無いなら古いけどイングラム辺りで妥協しようと思ってるんだが」
「...そりゃグロック18は9mmのモデルだからな、しかねぇよ。ただそんなものはサードパーティのパーツでどうとでもなる、それこそ45口径の好きなグロックにフルオートスイッチつけて終わりじゃねぇか」
はーっ、流石なんでもあるよホントにさ。だからその馬鹿な子供を見る目を止めろ、ちょっと腹立つじゃんかよ。
あれ、待てよ。それイリーガルなんじゃねぇの?グロックのフルオート改造もそうだし、AR15の疑似フルオートストックも駄目なんじゃなかったっけ。
「それは売っていい奴なのか?」
「星がいくつあると思ってんだパイオニア。武装する権利は憲法が保障してるんだぜ、9mmルガーだって後押ししてくれてるだろ?まぁあんたの注文は45だがな」
取りあえずサムがライフル協会の親友なのは分かりきってた話か。それにあんた、顔がなんとなく共和党くさいもん。猶更ゴリゴリのタカ派にしかみえねぇ。
「じゃグロックはそんなもんで良いや、フルサイズかロングモデルで頼むわ。でイングラムはピカティニーレールがついたりしないのか?最低でもバーティカルグリップはつけたい」
TMPみたいな一体型でも良いんだけどこの手の奴は全部9mmパラベラムなんだよね。ウージーだってそうだし。45ACPだと反動がキツイのか、現代仕様にモデファイされた奴とかどこのメーカーもカタログにないのよ。じゃUMP45で良いじゃんってなるんだけど、この先カービンを貰うならAR15系統だろうからG3系統の操作法が邪魔過ぎんだよ。
ちなみに最初に戻って、9㎜パラベラムにしとけば良かったじゃん1911じゃなくてブローニングハイパワーが良かったじゃんには俺はならない。ポリスアクティビティってポリスやシェリフにインカム付けた映像あったりすんだけど、これを見たことあればそういう風にも思うんだ。マジで薬中の犯罪者ってテーザーガンは効かねぇし拳銃弾数発じゃ倒れないしで大口径信仰に浸りたくもなるのよ。どうでもいいけど。
「...ラージマニファクチャリングってところがアッパーレシーバー交換キットを出してるな。フルオート射撃競技向けだから精度もそれなりだ。モデファイの程度はまず、上部のレールにフリップアップアイアンサイトを載せたうえで工学照準器が載る。銃口下部のレールはバーティカルグリップをギリギリつけられる幅のレールだ。ただなぁ」
ただなんだよ、最高じゃねぇか。流石にMlockにしろなんて言わねぇからほぼ満点みたいなもんじゃねぇか、オープンボルトなんだから精度は期待してなかったけど悪くはないなら十分だしよ。
まぁでもアンクルサムは頭おかしいって、なんだフルオート射撃競技ってよ。そういうことやってっから学校が危ないんじゃねのかよ。でもあれか、キアヌ・リーヴスの国でも銃が禁止なのに大変な事件起こってたっけな。禁止してるかはあんまし関係ないな、俺んとこも池田...やめとこう。
「ただなんだよ?普通に欲しいんだけどよ」
「バレルが9インチに伸びてる。そんなこんなで全体的にゴツイ、だから重い、9.4ポンド。ついでファイアレートも落ちてるから撃ちやすいだけって感じだな」
いくつだよ。1ポンドって500gないくらいだっけか、でだから半分にすりゃキロに直って4.7㎏か。いや4㎏前半くらいだろうけど重たくねぇか?ああでも射撃は安定するか。スオミとかトンプソンみたいことになるか。
しっかしイングラムもアッパーだロアーだってやってんのかよ。AR15だけかと思ってたがやっぱし情熱が違うの感じるわ。89式なんか未だにバースト射撃ついてんだぞ、アホらしい。いや住友よりはマシなんだが。
「まぁ良いや、イングラムもくれ。軽量化できるかこっちでもやってみるし十分だ。で50口径の方はバレットしかないか?ある程度撃ちまくりたいんだけど」
50口径の話になった途端、なんかサムが得意げな表情に変わったんだが。
これあれだな、ゲテモノ来そうな流れだ。あいつら馬鹿だから出来の悪いギャグみたいなの平気で作ってるからな、まともなの出せよ頼むから。
んでバレットはショートリコイル式っていう1911で聞いたような作動方式な所為で微妙に精度が悪いんだよね。3MOAとか聞いたことあるんだよ、つまり100ヤードで3インチずれるって感じ。1000ヤードで30インチにもなるから約75㎝のズレは微妙ってことで出来ればそれ以外が欲しいとは思ってるんだがどうだろうかね。
「M14って面白いのがあるぜ。ヴィジランスライフル製でファイアセレクターとグリップ、ストックがAR10/15系から持ってこれる使いやすい奴がな。反動もバレットより軽いし重たいがまぁ、持ち歩くようなもんでもないしおすすめだ」
「精度はどうよ?バレルは何インチか気になる」
ええやん。皆大好きAR15と操作系一緒なんだろ?かえって丁度良いじゃん。どうせどっかでカービン使うんだからそういうの増やしていきたいし、バレットより重いってことはマズルブレーキ辺りが重くなったんだろうからしょうがないと思えば良いのよ。
「29インチバレルで1.5MOAだ。面白いだろ?」
はい採用。多分モデル70は0.25から0.5MOAくらいでM1A1は0.75から1.0MOAくらいだったと思うから十分じゃなかろうか。今までの奴と比べても問題は無さそうだし使えるだろ。
「グロックとイングラムを10丁づつ、それとM14だっけか?5丁くれ。で相談なんだが、前に貰ったウィンチェスターのモデル70をデタッチャブルマガジン化したいんだがいいキットあるか?サコーも出来ればいいがモデル70だけでもなんとかしたい」
ホクホクだったサム表情が呆れる感じの薄笑い変わっちまったよ。
そうな、そういう改造するならレミントンのモデル700のがパーツあるよな。マクミランストックとかそういうの一杯あるのは知ってたんだ、こればっかしは俺が悪いか。
「サコーのモデル85は元からデタッチャブルマガジンだろ?しっかりしてくれって。モデル70の方は5発マガジンが付けれるマガジンウェルがあるからそれ持ってけ」
あっサコーって固定弾倉じゃねぇのかよ。これあれか?ブラッカスにでも頼んでみりゃ良いのかね。マガジンウェルとマガジン作って付けるだけだからいけそうじゃんね。時計作れるんだから、スプリングとネジくらい出来るだろうしワンチャンあるかもしれん。
「モデル70は20丁あるからその分よろしくな。でよ、俺は正直ギアに詳しくないんだがチェストリグとベルト、マガジンポーチ、アイウェアが欲しいんだがおススメとかあるか?」
「フロックコートに決めて良いなら出せるが...イーグルとコンドル、オークリーで纏めとけば無難じゃないか?」
ああ、そういや諦めなきゃいけないのがあるんだっけな。
オートミールとエレクトロニックとか言ってたと思うけどどっちも要らねぇかな。飯は足りてるし、電化製品だって電波も衛星も飛んでねぇんだからイマイチ使い道が思い浮かばない。困りそうなのはハイラックスのバッテリー飛んだ時ぐらいだろ。軍事的にはコンバットギアが一番嬉しいわ。
「フロックコートで良いよ。特にアイウェアが大至急でいるしな。ついでにDCUの戦闘服一式にブーニーハットとパトロールキャップもくれ。60人に3着づつくらいいると思ってくれれば助かる」
「イングラムの導入を求められた時にはベトナムに取りつかれてるのかと思ったが、今度はDCUかよ。でボルトアクションにデタッチャブルマガジンだろ、あんたはファルージャにでもいるのか?」
そう言ってくれるなよ。敢えて砂漠迷彩にしたのは同士討ちを避ける為だなんだって。エルフに戦死者が出るなら多分味方を見間違えた時だからな、森林迷彩とかギリースーツなんか着て間違えた奴にぶち込まれるようなことがあったら大惨事だ。大体エルフの服はベージュが多いから似た色の服の方が受けて入れて貰えそうだしってのも思うがこれはいいや。
「で、ギアはどんな感じだ」
「オーライ、サバンナとでも思っておくよ。イーグルからRRVとオペレーターガンベルト、コンドルのM14マガジンサイズのダブルマグポーチ、オークリーのSIバリスティックMフレームのホワイトとグレイを人数分出しておくよ」
有名所の製品ばっかやな、シールズかデルタフォースが使うような奴だ。ほんと贅沢な兵隊だわ。まぁこれで装備をしやすくなったから多少はなんとかなるかねぇ...
「銃火器の方はMAX10/45MK2アッパー仕様でバーティカルグリップつけたイングラムとフルオートスイッチ付きのグロック41GEN4、M14対物ライフルか。ついでにモデル70のマグウェル、マガジンと弾薬がもろもろと。後、別でサコーのマガジンも付けとくか」
銃の方は射撃競技が好きな好事家と少しの犯罪臭って仕上がりだな。
そろそろカービンの弾薬も考えなきゃいけねぇなぁ...5.56㎜は嫌なのとドワーフ達に受けが良さそうなの選びたいので結構選択肢が狭いんだよね。まぁ少しづつ揃えていくしかねぇか、C4とクレイモアと有刺鉄線も後で貰うしよ。
「完璧だよ、サンキュー。難民に見せびらかしてくるわ。こんだけありゃ口説ける」
「まぁ気楽に開拓していってくれ。順調そうだから俺としては何よりだ」
順調なんかね...こっちは1000人に囲まれてんだが。まぁここを乗り越えれば山場は無さそうな気がしないでもないが、楽観的過ぎるかねぇ。
さぁ取りあえず試射していこうかね。
つーこってまたしても木箱がどどどんと出てきやがったから皆で開けました。まぁ慣れたもんよね、毎回これだもん。
しかし出てくるわ出てくるわ、弾だのマガジンだの服だの。まぁ.50BMGも.45ACPも在庫あるし、グロックは拳銃でイングラムは短機関銃だしで小さいから前回より量は無いしで楽だったけどさ。
んで取りあえずM14対物ライフルからいきましょうかね。用意してる時にスコープの話はしなかったと思いだしたんだけどよ。これあれね、元からついてるからしなかったのね。んで2脚がゴツイ以外はバレットM82とそんなに変わらないスタイリングね、まぁ良いんじゃねぇの。
「大きいスプリングフィールドって感じね...撃てば良いのかしら?」
取りあえずこのデカ物を一番撃ちそうなシエラに試射させてみることにした。こんなんグワンタナモから持ち出せねぇよ、20㎏くらいあるもん。グワンで小山から撃ち込むくらいだろ使い道はよ。
んでシエラは50口径弾10発入りマガジンをマグウェルに突っ込んでレバーを引いてる。シエラが依託射撃すんの一番上手いかもしれん。これがまた、木箱に二脚預けて構えてるけど様になってるんだ。まぁデカいだけだしお茶の子さいさいよな。
「そうそう。セーフティは左側のトリガーガード上にあるからセレクトレバー弄ってな」
「...じゃあ撃つわよ」
いつも通りと言わんばかりに、シエラは事もなげな様子で撃ってくれた。なお当たったのか、何に撃ったのかは知らん。
いやぁやっぱうるせぇわ。50口径デカいな、音も図体も滅茶苦茶や。
「悪くはないけど良くもないって感じね。600ヨルドまでならスプリングフィールドで良いし、そこから1000ヨルドまではサコーで十分よ。1200ヨルドくらいからやっと使う感じじゃない?」
ようそんな分かりますねぇ...そうだよなぁ、1km越えの狙撃で使うってくらいしか使い道がねぇよな。あとは念の為に車載して置くくらいは使えるか。つってもソフトターゲットしかいないのに何に撃つんかね。
あとは横から見てる分には反動が弱そうくらいかね、50口径にしてはっていう枕詞はつくけども。
そんで残ってるイングラムだけど、.45ACPを9インチバレルで撃つっていうのを踏まえればだ。1911より当てやすいくらいの性能しかない訳だから試射せんでも予想はつく気がする。
あと戦闘服は希望者だけ着てくれれば良い。イヤーマフの注文を忘れてたけど、これも言われてからで良いやもう。
カタログスペック通りに当てるエルフに対物ライフル渡しちゃったけどもどうなるかねぇ...流石に不味い気がせんでもないが、野となれ山となれで良いはずだ。なるのは糞ったれのカルマン人だしよ。
8/28 M14対物ライフルにフルオートはありませんでしたので修正。なんで48ポンドも重量あるんだ?